タイ巡礼、そして茶旅2017(12)茶旅始まる

7月23日(日)
空港に集合して

翌朝は小雨だった。今日はチェンライ空港で日本から来る一行と合流することになっていた。今回は『お茶の無い旅』をするためにタイにやって来たのだが、やはりお茶が付いて来てしまった。バンコックに着いたことをFBで知らせると、静岡のIさんから、『私たちも来週タイ北部に行くけど』との書き込みがあり、その後やり取りを重ねると、そのツアーの幹事がお世話になっているNさんだと分かり、何とそのご一行に飛び入り参加することを許可して頂いたのだ。

 

空港まではタクシーで行くしかない。雨なので念のため早めに宿でタクシーを頼むとすぐに迎えが来てしまい、8時過ぎには着いてしまった。一行のフライトは9時過ぎ着なので、何となくボーっと過ごす。その内空港内のお茶屋スタッフが来たので、旧知のメーサローンビラ経営の茶荘に行ってみたが、そこの女性は中国語も英語も出来なかった。もう一つの茶荘では中国語は通じたので、ちょっと話を聞く。以前と比べても凍頂烏龍茶など、台湾名のついたお茶が沢山売られていて驚く。

 

だが9時過ぎになっても、なぜかバンコックからのフライトはランディングしない。雨が強くなっているせいだろうか。ようやく一行が国際線ゲートから出てきたのは9時半を過ぎていた。何とかIさんとNさんを見つけて合流したが、他のメンバーが誰なのか全く分かっていなかった。今回の団長Hさんは研究者、他に静岡の機械メーカー、肥料メーカーの人が数人いた。そして最後にお顔を見知った方がいた。T先生、日本茶業界では有名な方だったが、お会いしたことはなかった。

 

ご挨拶すると『月刊茶のコラム、読んでいますよ』と言われて恐縮した。更には『あなたは何となく同じ匂いがするね』とまで言われて心から驚く。T先生は『若い頃、よくM先生と一緒に中国やアジアの奥地でお茶調査をしていたから』というツワモノだったのだ。確かにそれなら系統は同じかもしれないが、先生は茶業試験場で長年研究していた方で、その専門性には雲泥の差がある。しかもよく考えてみれば、僅か3週間前に行った富山の朝日町、そこに植えられた品種富春を選んだのはT先生だと聞いたばかりだったから、茶縁というのは恐ろしいものだと感じる。

 

ここからは皆さんに同行して一週間を過ごすという、完全な茶旅になった。タイ側の受け入れは、チェンライにあるメーファールン大学のピアポン先生だった。メーファールン大学には茶学の専門学部があるようで、ピアポン先生はそこの主任教授だという。流ちょうな英語を話し、実にアクティブな女性だった。

 

ゴールデントライアングルへ
今日は日曜日なので、主要な活動は明日からということで、観光となる。まずはチェンライ郊外にあるメーファールン大学のキャンパスに貸し切りロットゥ2台で行く。案内されたところは中国風の建物。よく見ると孔子学院の文字もあり、中国の資金により建てられた中国文化基地であることが分かる。どんなところにも網の目を張り巡らす、こういうところが中国の凄いところだ。それにしてもこの大学の敷地も大きい。

 

 

続いてメーサイからチェンコーン方面へ行く。いわゆる観光地としてのゴールデントライアングル、1年半ほど前に一度連れてきてもらった記憶がある。向こう岸はラオス、モスクに見える建物はカジノ、中州はミャンマーなどと、前回聞いた話を又聞く。でもゆっくりとみられたので良いか。

 

その川岸で昼ご飯を食べる。これだけ大勢で食べるのは久しぶり。しかも団体でありながら、メニューのオーダーはピアポン先生がしているから、美味しいものが出てきて嬉しい。食後は散歩がてら、近くにあるお寺へ行く。黄金の大仏を拝む。バナナを買った人から分けてもらい、美味しく頂く。

 

その後オピウム博物館を見学する。かなり立派な建物だが、見学者は殆どいない。私はここの展示には相当に期待していた。というのは、茶馬古道というのは実は雲南省から南下する道もあり、その主要産品はお茶だけではなく、アヘンなどがあったからだ。ここに来ればその歴史を見ることができると考えていたのだが、その期待は見事に裏切られた。そこに展示されていたのは、アヘン戦争と中英交渉など、遥か離れた場所でのアヘンの歴史だったのだ。

 

だが考えてみればあたり前かもしれない。誰が好き好んで地元の黒歴史を語るものなどいるだろう。その利害関係は今も続いているのかもしれない。未だにミャンマー国境あたりではケシの栽培が続き、その利害関係が少数民族問題という形で語られ、時には武力衝突にまで発展している。取り敢えず、タイ政府が国連などの手前、博物館を作ってお茶を濁しているに違いない。

 

それからチェンライ市内のホテルに入った。立派なホテルだが、団体観光客用だろうか。昨晩泊まった宿のすぐ近くだが、料金は1000バーツも違う。まあ、日本から来た人々と一緒だから、偶には贅沢しないと。夜はホテル内で歓迎会が開かれ、中華を食べる。やはり近辺でもご馳走とは中華料理を指すらしい。食後は皆さん、両替に行き、それからマッサージや買い物に出掛けたが、私は必要がないのでホテルの部屋でゆっくりした。いいホテルでも蟻がいるので、ちょっと噛まれて痒い。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です