茶の源流を訪ねるベトナム茶旅2015(17)強かに生きるベトナム

私の目を引いたのは、爆撃の様子やフランス人の捕虜などではなく、この時期、この付近に既に住んでいたモン族やヤオ族の動向だった。ベトナム軍に協力して、荷運びなど使役に耐えている様子が写真で展示されているが、実際はどうだったのだろうか。本当はどこにも支配されない自分たちの国を持ちたかったのではないか、などと勝手な妄想に取り付かれる。

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それからA1の丘、と呼ばれる場所に行った。ここはフランス軍の爆撃弾が直撃した場所。丘を緩やかに登っていくと、その穴が丘の上にぽっかり空いている。その横には地下司令部かなと思われる、地下道が開かれており、ここを目掛けて爆撃した様子が分かる。激戦地だった、ということだろうが、今やベトナムの若者が楽しそうに、それを眺め、記念写真を撮っている。時代は変わったのだ。

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ここの入り口には戦車が飾られており、ちょっとした展示館があった。そこには中国清朝時代の地図が掲げられており、その説明には『この地図には中国の最南端は海南島と明記されており、南沙諸島は明確に中国領ではない』と書かれていた。このあたり、現在問題なっている歴史をはっきりと主張している。きちんと主張しなければ、何をされるか分からない。ベトナムが過去に経験してきた歴史上の戦いは決してフランスだけではない。アメリカとのベトナム戦争もあれば、中国との1000年の長きに渡る戦いも当然含まれてくる。強かでなければ生きてはいけない。

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最後に街の真ん中にある『勝利の記念像の丘』にやってきた。ここの階段を見ただけで、なぜM先生らが、我々と別行動したか、すぐに分かった。この数百段ある階段を登るだけでも、相当の労力がいる。実際それほど日差しが強いわけでもない午後、我々は物凄い汗を掻きながら、一段一段よろよろと歩を進めた。何故ここを登らなければならないのか、と考えても始まらない。

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喘ぎながら上まで登ると、そこには勝利の像があった。周囲は全て見渡せるが、木々があり、クリアーではないところも多い。しかしそれ以外には何もない。ここでも入場料を取られたのにはちょっと驚く。この苦行の末に何故。それがベトナムのために戦ってきた人々の慰霊になるとはとても思えない。

 

空港はここから直ぐだった。しかも国内線なのに、2時間弱前には空港にやってきた。この辺もツアーの不便なところ。確かに遅刻して乗り遅れてはいけないが、こんな小さな空港で、何をしろというのだろうか。チェックインが始まったが、その対応スピードはかなり遅い。それでも時間はあり余っているので、気にはならなかったが、ガイドは何故か別室へ向かう。

 

何か問題があったのか、と心配になったが、出てきたガイドに聞くと『地酒を預け荷物に入れてよいか』と質問して、何と全て没収されたというのだ。えー、信じられない!あのシンホのホテルで作られた酒をポットボトルに入れて持ってきていたのだが、それを自ら申告するとは。彼は本当にガイドの経験があるのだろうか。国内線の飛行機に乗ったことはないのではないか。疑問が湧き上がる。今回の旅のストレスの一つは、これだったかもしれない。

 

日本語ガイドの質はアジアのどこへ行っても、低下していると感じることが多い。それは本人のせいもあるが、日本人観光客の減少、そして収入の減少が大きく響いている。彼と話しても『実は中国語の勉強をしている。中国人相手の方が遥かに儲かる』とつぶやいていた。日本人相手は儲からない、そう思われていることを当の日本人は気づいているだろうか。かつての金持ち日本人のイメージは完全に中国にとって代わられ、『妙にうるさいだけで、金には渋い』というレッテルが貼られそうだ。フライトは定刻に出発し、順調にハノイに着いた。

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8.ハノイ2

夕飯で事件

また前回と同じホテルにチェックインした。もう判で押したように同じ行程だ。実はハノイ在住10数年の日本人に聞くと、『知り合いのビジネスマンをこのホテルに泊めることはない』と言い出した。このホテルは古い上にベトナム人からも何故か評判が悪く、取引先のベトナムの会社へ行って、このホテルに泊まっているといえば、それだけで仕事がうまくいかないことさえあるらしい。まあ我々はそういう意味でビジネスをしているわけではないから、どうでもよいのだが、なぜ旅行会社がこのホテルを使うのかはとても良く分かった。

 

既に暗くなっており、夕飯に出掛けた。どこかのショッピングモールの2階にそのレストランはあった。中華料理だったが、広いスペースにお客は殆どいない。時間が早いのだろうか。何でこんなところに来たのだろうか。料理はコースで、どんどん運ばれてきて、選ぶことはできない。唯一選べるのが、ドリンク。日本人なら、『取り敢えずビール』となるのだろうが、ハノイでこれまで食べたレストラン同様、市価に比べてビールはずいぶん高い。

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