茶の源流を訪ねるベトナム茶旅2015(18)とんでもないツアーの仕組み

だが今回はビールだけではなく、ソフトドリンクも相当に高かったので気になった。コーラが4.4万ドン、市価の4倍以上ではないか。しかもこのメニューは紙1枚に日本語で書かれている。どう考えても怪しい。そこでやってきた若いウエートレスに何となく『英語か中国語のメニューはないのか』と聞いたところ、彼女は立派なメニューを持って戻ってきた。

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それを開いてみてビックリした。コーラは1.6万ドン、ビールでも4万ドン台だった。これは一体どうしたことか、と尋ねようとしたその時、マネージャーの女性がスッ飛んできて、『すみません、古いメニューを渡してしまいました。この日本語メニューが最新なんです』と英語で言う。だが、それでは中国語版の最新メニューを出せ、というと彼女も困ってしまった。

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ガイドはこの事態を静観していたが、『いや、この日本語版は団体用メニューなんです』と思わず口走ってしまう。どうして個人と団体で料金が違うんだ、というと、二人とも無口なってしまった。そして最終的に『今日は個人版の料金でよい』と言い出した。後でガイドは言うには、『あなたたちが払わなかった差額はあのメニューを渡してしまった若いウエートレスが弁償することになる』と。まるで我々が悪いかのような言い草にはさすがに腹が立った。楽しいはずの夕飯、何を食べたかもよく覚えていないし、完全に台無しになってしまった。

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翌日我々の要請により、このツアーの現地請負A社の責任者なる人物が説明にやってきたが『我々には一切の責任はない。全てレストランが勝手にやったことだ』と言い放ったのには、本当に驚き、そして呆れた。日本人だからちゃんとやれる、などと言うつもりはないが、団体旅行を請負い、レストランを選定したのは自分たちであるのに、そんな言い草がある通用すると思っているのだろうか。ガイドも団体から高い料金を請求している事実を認めているではないか。

 

結局その日本人がとった行動は、我々が日本へ帰国するため空港へ向かう直前に、押し付けるように1枚の紙を渡しただけ。それは英語で書かれたレストランのわび状だった。最後まで『楽しい旅を台無しにして申し訳ない』などという日本語は全く聞かれず、自分は悪くない、言い続けた。日本語ガイドの質の低下を嘆く前に、日本人の質の低下を嘆くべきであろう。

 

因みにこの件について、ある旅行関係者から『現在のパッケージツアーでは、レストランの食事料金をツアー会社が低料金で設定させ、その代りドリンクは別料金として工学を黙認して、補填させる仕組みをとっている』と丁寧に教えてくれた。もしこんなことが常にまかり通っているのなら、日本の旅行業界に未来はない、とはっきり断言してもよい。何もわからない、海外に不慣れな老人たちを騙して商売している、と言われても申し開きはできないはず。

 

これまでのように豊富な資金を使い、旅行社に利益を落としてくれる日本人など、いなくなるのはもはや時間の問題だ。70歳以下で普通にパソコンを操り、ネットにアクセスできる世代は、航空券やホテルは自分で取り、自分で旅行するようになってきている。ベトナムにいる日本人の中には、以前と同じやり方を繰り返し、進歩がない人が時々いて困る、とも聞いている。海外で日本人相手にプロ意識なく仕事ができる時代は過ぎているという認識がない。

 

11月2日(月)

翌朝はまたビュッフェでたらふく食べた。もうできるだけ元を取ってやろう?という気分である。このツアー、特に安い訳ではない。いや、むしろそれなりの料金を払っているのに、一人一部屋でもない。その上、こんなツアーオペレーターの度を越した対応には呆れるしかない。もう2度とツアーには参加しないという思い。その不満が食欲に見てしまったようだ。

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食後、大学の後輩で、ハノイ在住10年を超えるNさんがわざわざホテルまで会いに来てくれた。最近のベトナム経済の状況、不動産市況、そしてベトナム人の日本への渡航状況などについて、短時間に丁寧な解説をしてもらった。やはりベトナムの景気は良くないが、中国との関係改善もあり、観光客が持ち直し、投資も回復傾向。今後は少しずつ良くなってくるようだ。

 

ベトナム茶協会

ベトナム最後の日、午前中はベトナム茶協会を訪問した。約束の時間より早く到着したので、そのビルの1階に入っているティーショップでお茶を見てみた。ここは茶協会の直営店、それなりの品質のものが買えるだろうと期待したが、試飲はないので、パッケージだけを頼りに緑茶を選んでみた。棚には紅茶や烏龍茶も並んでおり、蓮茶も合わせて、ベトナムでは多彩なお茶作りが行われていることがよく分かる。

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協会の会議室で、会長と面談した。ベトナム茶業の係数(輸出額や輸出先、種類別の生産量)などが欲しいと言ってみたが、『正確な数字は持っていない』などと、不可解な返事が多かった。そして『日本からベトナム茶業への投資を歓迎する』という発言が何度も出てきており、この協会が投資促進協会であったことを認識する。

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まるで中国共産党と同じスタイルだ。政府が作った協会の目的は、対外交流という名の外資導入、金儲け。純粋な研究目的の訪問にはほとんど興味を示さない。本当は会長もこんな話はしたくないのかもしれないが、今のご時世、そうも言っていられない、というところだろうか。とても残念だったが、これも今のベトナムの現状だろう。昔作られたと思われるパンフレットをもらって、早々に退散した。

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