茶の源流を訪ねるベトナム茶旅2015(11)ヤオ族の葬儀

市場で茶葉を発見

ヤオ族の家を辞して、再び市場へ向かう。もうここでの目的はほぼ達成されたので、時間つぶしのようなものだった。Sさんは相変わらず、昨日も訪ねたヤオ族の包丁屋に寄って、飽きもせずに、鉈や包丁を眺めている。道ではバイクの後ろに豚が括り付けられて売られていく。何とも言えない。

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市場に入っていくと、Uさんが生葉を発見。Sさんが買い取り交渉に入る。ガイドがいたので通訳を頼んだが、売り手が5000ドンと言っているのに、『1万ドン払ってやって』と自分の意見を入れてくる。Sさんも仕方ない、といった表情で、1万ドン札を出した。そして皆で記念撮影。いいんだか悪いんだか、よく分からないが、何となくそれでよくなるところがいい。

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隣では、蜂の子を売っているが、その横にはさんまのような魚も置かれている。更にその横には、蛙が。そして幼虫も。これらは魚を除いて、ミャンマーなどの山の中でもよく見掛ける品々だった。だがなぜここにさんまがいるのだろうか。これを焼くと美味そうだな、と思ってしまうが、実際はどんな味だろうか。

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市場を出ると、Sさんが携帯ショップへ寄る。既にここの店員とも仲良しになっている。彼らは片言の英語を話し、日本人にも興味を持っているので、にこやかに談笑している。スマホでSさんを写真に収めている。ちょっと前なら携帯ショップだが、今やあっという間にスマホショップに変わろうとしている。先ほどの中学生ですら使っているスマホ、中国あたりから安い製品が入ってきており、この田舎ですらかなり普及しているのには驚くばかりだ。

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部屋に戻ると、Sさんが私の買った柿を剥いてくれた。さすが、鉈のSさん。手の動きが素早い。そしてその柿を食べてみるとかなり甘い。実は先ほど市場で、この柿がどこから来たのかを調査してみたのだが、箱に漢字が書かれていたことからすると全て中国製だ。ベトナムでも中国産は嫌われているのかと思っていたが、甘いので食べるということだろうか。いまだにハノイ空港のターンテーブルで見た、日本の柿が忘れられない。柿は高級品らしい。

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そしてまたいつもの部屋でランチした。さすがにもう飽き飽きしてきたが、一向に何も改善されない。これがツアーというものか。Sさんたちも、他に食べられるところはないか、ビールが飲める店はないか、と道を歩きながら見ていたが、確かにちゃんとした、日本人が入れるような店は見付からない。まあ私とSさんだけなら、どんなところでもよいのだが。

 

ヤオ族の村訪問

午後はヤオ族が多く住む村を訪ねることになった。20分ほど車で行くと、田植えが行われた水田が見えてくる。そして村の入り口に車を停めて、歩きだす。周囲の村人が珍しそうに我々を眺める。いい感じの古い家が並んでいる。ヤオ族の衣装を着たおばさんとすれ違った時、M先生が話し掛ける。耳や首に付けているアクセサリーが珍しい。よく見ると、そのアクセサリーには漢字が刻みこまれていた。単なるデザインとしての意味しかないようにも思えるが、こんなところにも漢字が使われているのを見て、何となく感動してしまった。

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村の細い土の道を、フラフラと歩く。いい感じに蛇行しており、アップダウンもある。気は植えられているが、茶の木が見られることはない。垣根の隙間から家が見られるところもある。石垣があるところもある。そして一人のおばさんを捕まえて、話を聞き、彼女の家を訪問することになった。

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家に招き入れられたが、何やら慌ただしい。息子や近所の人達が、鉄の釜に何かを入れて作業していた。おばさんは湯を沸かし、我々にお茶を淹れてくれようとしたが、近所の人が引っ切り無しにやって来て、その対応に追われている。ガイドによれば、この家の親戚に不幸があり、これから葬儀があるというのだ。何というタイミングでここへ来てしまったのだろう。

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ちょっと話を聞いて、すぐに失礼した。葬儀の準備なのに、釜に黒いものを入れて何を作っていたのだろうか。後で聞いてみると、何とそれは火薬だった。勿論ベトナムでも民間人が火薬を作ることなど禁止されているはずだが、田舎の風習として、葬儀に使う少量の製造は許されているらしい。それにしてもこの火薬は葬儀でどのように使われるのだろうか。

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外へ出て、また村の道を歩いていると、向こうから、人々がやってきた。10人以上の男性が棺を乗せた丸太を肩に担ぎ、その後ろからも大勢の村人が付き従う。死者に村を見せるため、一周するのだという。一番後ろから、喪主である男性が馬に乗って行った。これからどんな儀式があるのだろうか。

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そう思っていると、突然目の前で、男性が何かをした。すると大音響で爆発?が起こる。あまりの凄さに、写真を撮る手がブレブレとなり、その音の大きさに心臓が高鳴った。村の各地で哀悼の意を表して、この大きな音を響かせるらしい。それにしても予想以上に威力がある。亡くなった方は70代の男性ということだった。ずっとこの村で一生を送ったのだろう。

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