茶の源流を訪ねるベトナム茶旅2015(12)モン族の村

帰りにM先生が、ヤオ族の布が欲しいと言い出す。勿論村には店などなく、その辺の人に聞くと、恐る恐る品物が出てきた。だが、売れると分かるとあちこちから布が持ち込まれ、驚くほど集まってしまった。一方衣裳好きのSさんは別の場所で、値段交渉をしていたようだ。このような田舎の村では、自分で縫った自らの衣装も売ってしまう、ということが、新鮮だった。ヤオ族の女性は、暇があれば縫物をしているが、これが商品化されるとどうなのだろうか。

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ホテルに戻る。Sさん製作のお茶が笊を入れられ、今日も干されていた。皆さんでその出来を確認する。何だかいい感じに乾いている。ホテル従業員は相変わらず、日中何も言わなくても、太陽の動きに合わせて、笊を移動してくれている。これは凄いことだと言わざるを得ない。

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夕飯には新鮮な鶏肉が出た。私は気にしないのだが、先ほどバイクの後ろに括られていた鶏を思い浮かべてしまった人もいる。我々が初日にうまいって言ってお替りを要求したソーセージ、毎日のように出してくれるのは良いが、さすがに飽きてきた。明日の食事はどうあっても改善しなければならない。

 

そこでついに行動に出た。まず朝ご飯はパンでなく、フォーにしてくれるように要求。そして明日の昼も、ホテルに戻るのではなく、外でランチを食べるので、弁当を作るように依頼した。これはM先生から『昼にホテルに戻る時間がもったいない』とのリクエストによる。分かった、ということだったが、果たしてどうなることだろうか。まあ、それもワクワク材料。

 

ホテルの部屋では連日Sさんがすごい音を立てていた。最初はシャワーを浴びているのかと思っていたが、実は洗濯していたのだった。しかもただの汚れ物を洗うのではなく、道で拾った布きれを一生懸命に洗っていたのだ。一度ではとても落ち切れない汚れ、なぜそれ程までに頑張るのか。それはその布に古い刺繍が施されていたからだ。その刺繍が気にいったSさん、最終的にこれを自分のジーンズの膝当てとして見事に再生させた。後日見たその布きれは、非常にジーンズにフィットしていて、皆を驚かせた。凄い才能と言わねばなるまい。

 

10月30日(金)

朝からフォー

ついに翌朝のご飯にフォーが出てきた。チキンが入っていた。久しぶりに麺を食べられる幸せ、皆さん満足ではなかっただろうか。日本人はきっと皆麺好きだ、ということだろう。実はこの日の朝は、鳥のさえずりではなく、豚の悲鳴がホテル周辺に響き渡っていた。昨日市場近くで見た豚売りのバイクが、ここへやってきたのだ。簡単な価格交渉があり、ホテルの人がお金を払うと、バイクの後ろに括りつけられた豚は引き渡され、そしてそのまま裏へ。その間の悲鳴は見ていられないほどだった。気の弱い人なら、当分は豚肉など食えないかもしれない。

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馴染みになった厨房へ行ってみると、ここも珍しく活気があった。何と我々の弁当を作ってくれていたのだ。プスチックケースにご飯を詰め、その上に卵焼きが置かれた。そしてそこへ、ヘルメットを被ったおじさんが、何かを持って戻ってきた。見ると太いソーセージだった。どこか他所で焼いてもらい、バイクで取りに行き、そのままの格好で、弁当に詰めている。これはこれでとてもユーモラスな光景だった。

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モン族の家

今日はモン族の村へ行ってみる。基本的には林に分け入り、タリエンシスなどを探すためだった。ただ何の案内もなしに分け入ってもどうにもならない。近くの小川で洗濯している女性たちがいた。すると集落近くにおじさんが立っており、こちらをジッと見ていた。変な奴らが来たな、と見張っていたのかもしれない。運転手が趣旨を説明すると、おじさんは笑顔になり、率先して、案内を買って出てくれた。

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この付近にも人工的に植えられたとみられるタリエンシスの木があった。商品化の計画があったということか。おじさんもこの葉を摘んできて、簡単に自分でお茶にして飲むことがあるという。林には多種多様な木々が植わっていたが、やはり昨日までの調査と変わったものは残念ながら発見できなかった。

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おじさんが家へ来いと誘ってくれたので、行ってみた。家のすぐ近くには背の高い喬木がそそり立っていた。この家の歴史は相当に古いらしい。数代前に中国から来た。馬も飼われている。家の中は薄暗いが天井が高い。家の壁には、なぜか摘んだ葉っぱが挟み込んである。一通り話を聞いて外へ出ると、ちょうどおじさんの家族が帰ってきた。畑はかなり遠いとろろにあるらしい。

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今日は木材を調達してきたようで、背負っている。再度家の中に入り、話をはじめる。息子は、竹で出来た楽器が吹ける。奥さんは踊りが得意、などいかにも少数民族らしい会話が続く。実際に息子が吹いて見せてくれた。Sさんも楽器を借りてチャレンジ、微かに音が出ていた。

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