《蘇州お茶散歩2013》(4)蘇州 碧螺春の茶畑

10月15日(火)

3. 東山

先ずはじゅんさい屋さんへ

翌朝王さんがホテルに迎えに来てくれた。トヨタの高級車、王さんも今では会社を経営する老板である。何だか夢のような気分だった。王さんと交わした会話など、このことはコラムに書いた。

 

http://www.chatabi.net/chatabi/thailand/418.html

 

そして30分走り、先ずはじゅんさい屋さんへ。日本では高級料理の先付などに使われる高級食材だが、蘇州にただ一軒、じゅんさいを栽培しているこちらの農家は日本に輸出している。勿論王さんも貿易で活躍している。だが何故じゅんさい屋さん?実はこの家の親戚が東山で茶農家をやっており、紹介を得るためにやってきたのだ。25歳の2代目が同行してくれた。彼は日本への留学経験もあるが、この2年は殆ど使っておらず、忘れてしまったと嘆く。

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大きなプラスチックの桶に、じゅんさいが溢れんばかりに詰め込まれている。こんな大量のじゅんさい、見たこともない。それを大きさで選り分けている。これは意外と大変な作業だ。特に日本は大きさにうるさいので、慎重にやっているようだ。多少大きさが違ってもよさそうだが、日本の料亭で出て来る時は、ほんの少しだから、大きさに差があってはまずいのだろうか。

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とても広い敷地内に立派な家があり、工場もある。工場は狭くなったということで別の場所にも持っているようだ。これからは中国国内市場の需要に合わせたじゅんさいの出荷をしていきたいとのこと。日本より中国市場の方が有望であろう。

 

東山茶農家

そしてここの息子が同行してくれ、いよいよお茶農家へ行く。車で10分ほどの場所だった。ここも立派な家構えで、車も保有している。蘇州の農家は裕福なところが多い。早々に主が出てきて、茶園へ案内してくれた。

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歩いてすぐの所に小高い丘があった。そこを上ると、両脇に茶畑が広がる。そして聞いてはいたが、茶畑の茶樹の上には果樹が覆いかぶさっている。適度に光が当たるように調節されているようだ。実際に見てみると何だか不思議な感じだが、『果樹は茶樹を遮る、かぶせの役割のためにあるのか』との質問には、『我々はそんなことは全く考えていない。果樹を植えたのが先か、茶樹が先かすら分からない』との答え。ちょっと意外だった。

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主が果樹を指して『みかん』という。ちょうど今はみかんのシーズンのようで、日本とほぼ同じサイズのみかんが沢山なっていた。他にも枇杷や杏子など数種類の果樹が植えられており、ほぼ1年中、何かが採れるということだった。だから『碧螺春は1年に1回、春にしか作らない』のだとか。芽が出ている茶樹もあり、ちょっと残念に思ったが、収入から言えば果実の方が実入りはいいのかもしれない。無理して摘まないから、茶樹も力がある。

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更に坂を上る。石畳になっており滑らないようになっているが、とても機械で茶葉を刈ることはできない。この農家でも毎年江西省から茶摘みおばさんを呼んできて、手摘みしている。『茶摘みをする労働者は年々減っているので、確保が大変だ。旧正月には江西省の彼女らの家まで手土産を持って新年のあいさつに行くんだ』という。驚くべき状態だ。賃金も毎年上昇しており、お茶の価格が上がらなければ、その内辞めてしまうかもしれない。危機的な状況だ。

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茶樹と果樹が混合しており、また雑草なども何種類も生えている。農薬などは極力使わないようにしているらしい。単一の作物を植えるのは、決して木にも土にも良くないと聞いている。そういう意味ではこの畑は自然とよく調和しているのではないか。

 

家に戻り、お茶を頂く。豪華なリビングルームの横には、何と大きな鍋が備えられていた。『これで茶葉を炒るんだよ』と手真似をしてくれたが、どうやら主の仕事はこれだけであるらしい。茶葉は産毛が多く、湯を注ぐと濁るが、独特に香りと甘さがあった。茶葉を分けて欲しいと思ったが、今は既に10月、『来年の3月にまたおいで』と言われてしまった。いつの時期でもお茶があると思う方がおかしいのだろう。来年を期す。

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