懐かしのミャンマーを行く2012(8)ヤンゴン この変化はミャンマーのためになるのか

6月26日(火)  5.ヤンゴン2  (1)散歩

ガローから車でヘーホー空港へ行き、お約束のシャンヌードルを食べ、何となくTAMと別れた。うーん、寂しいというか、何というか。また会えるだろうとの思いは強いが、TAMもガイド業を少し減らしているようで、ちょっと心配。ミャンマーが変化するということは、一般庶民もその影響を大きく受けるということだろう。

エアバガンに乗り、あっと言う間にヤンゴンへ戻る。ヤンゴンはかなり強い雨が降っており、旧国際空港ターミナルが煙る。タラップを降りると、何と航空会社職員が皆で傘を持って並んでいた。お客が濡れないように、傘を差しだす。この何とも原始的なサービスが嬉しい。

空港にはTTMが待っていてくれ、またWishホテルへ戻る。ホテルの部屋でインターネットをしようとしたが、何とここでもできなかった。あれ、数日前に宿泊した時は出来たのに。ホテルの従業員に伝えると、部屋を替わればよいと言われ、部屋を替わったが、やはり状況は変わらず。専門業者が呼ばれて、意味が分かる。ニャウンシュエのネットカフェでカフェの人が入力した番号が障害となり、繋がらなかったのだ。専門家が来ればすぐに分かる。久しぶりにゆっくりとメールした。

それからTTMのオフィスへ行く。SSが忙しそうに働いていた。もう一人、日本語の出来る女性も来ていた。結構忙しいなんだな、と分かる。やはりシャン州とは違う。空気が違う。ヤンゴンだけが突出した都市であり、ある意味でここはミャンマーではないと感じる。

散歩に出る。交差点に大きな化粧品の広告が出ている。良く見るとハングルがある。韓国系の化粧品だと分かる。ミャンマー人は特に意識しなくても、本当の金持ちは日本製、一般人は韓国製を買うとある人に言われた。そうだろうか、そうなのだろう。

ソニーのテレビの宣伝が見えた。日本製は圧倒的に人気があったのに、今ではどうなんだろうか。ちょうどサッカーのヨーロッパ選手権があり、サッカー好きのミャンマー人男性を惹きつけた様だが、テレビはどこの物が売れたのだろうか、何となく日本ではない気がする。


   

車も中古品はトヨタなど日本製が多い。だが、最近は現代など韓国製も伸びてきており、またインド製のタタも安さを武器に進出しようとしている。中国製も奇瑞のQQなどがタクシーとして使われて、一定の地位を保っている。

6月27日(水)   (2)ウラミットさんと

今日は午前中、ミャンマーの企業を訪問し、沢山の刺激を受け、情報を貰った。ミャンマーの変化の象徴を見た気がした。面談は全て英語、最先端の技術を駆使して、ミャンマーを変えていこうという意気込みが感じられた。

訪問終了後、ガローで会えなかったウラミットさんを訪ねることになった。これは望外の喜びだ。ウラミットさんの住まいは少し郊外の分かりに行く場所にあった。車はある塀の中へ入っていった。ここは別世界だった。豪華な戸建ての家がかなりの数存在していた。ここがヤンゴンの金持ちの住処であることがすぐに分かった。

ウラミットさんと8年ぶりに再会した。80歳になったウラミットさんは最近この家から出ることもなく、日本語を使うこともなかったようで、訪問をとても喜んでくれた。この家は息子さんの関係で留守番として住んでいるとのことだったが、ご本人はガローに戻りたい様子。

ミャンマーの変化も冷静に見つめており、大変参考になる話が多く出た。日本とミャンマーの友好関係については特に重視しており、今後の発展に期待している様子が分かった。でも、そんな簡単に事が進まないことも、この人生経験豊富な老人は良く理解しているように見えた。

「死ぬ前にもう一度日本に行きたいな」という言葉に、ウラミットさんが歩んできた日本との関係が表れていた。彼が戦後付き合って来た日本人、元兵士、遺族などは既に鬼籍に入った人も多く、知り合いがどんどん減って行くことに悲しみを覚えている。日本とミャンマーの関係は、新時代に入ろうとしているが、果たしてそれは良好な、好ましい関係になるだろうか。

帰りは車で送ってもらった。何とウラミットさん夫妻も車に乗り込み、ホテルまで同行してくれた。「最近表に出ていないから、ちょうどいい機会だ」と言ってくれたが、そこには表せないほどの日本への愛情が感じられた。

(3)ヤンゴンのカフェ

お昼はヤンゴンの老舗カフェでクラブサンドイッチを食べた。このお店、7年前にもあった。当時は珍しいといわれており、すぐ横で爆弾テロがあったような気がする。兎に角ヤンゴンの欧米人の間で有名なカフェ。

今では当然のようにWifiはフリー。お客は欧米人だけではなく、韓国人やミャンマー人の姿も見られた。相変わらず料金は高めだが、ロケーションが良いため、所得の高いミャンマー人、外国人と商売をするようなミャンマー人の出入りも多そうだ。

夜はSSとフィアンセと、庶民的なイタリアンへ行く。今回のミャンマー訪問で一体何回イタリアンレストランへ行っただろうか。私は自分から食事を指定することはなく、皆に付いて行くだけだから、これが今のトレンドということだろう。

このお店は住宅街にある一軒家。外国人が来るのではなく、ミャンマー人の中上流家庭が家族やカップル、友人同士で来る場所のようだ。ミャンマー人の若い女性4人が楽しそうに食事している様子が不思議な感じだが、それが今のヤンゴン。イタリアンながら何故かスパニッシュのパエイリャが登場。海鮮がふんだんで意外とおいしい。ピザもイケる。お茶飲みながらピザというのも何だが、まあまあ良い。

SSはいつ結婚するのだろうか。もうフィアンセと付き合って4年、TTMからは仕切りに早く結婚するように迫られているらしい。私もSSの結婚式には是非出席してみたい。相変わらずSSは「結婚式場はXXホテル、家はXX」などと我儘放題言っているが、最後の抵抗、甘えだろうか。そうは言っても実はSSは料理上手。昨日も私の為に自ら料理してくれた。いい奥さんになるだろう。

実はこのフィアンセ、国境貿易の仕事をしており、ヤンゴンに住んでいる訳ではない。態々私に会うために?いやSSに会うためにヤンゴンにやって来て、我々に付き合ってくれている。それだけでも日本では考えられないが、性格的にも穏やかなナイスガイ。タイから製品を輸入するのだが、コーヒーや家庭用品から、衛星放送の機材まで何でも扱うらしい。最近急増している輸入品がキャットフード、というのも今のミャンマー、いやヤンゴンを象徴している。

6月28日(木)  (4)ショッピングセンタ―の衝撃

今日はミャンマー滞在最終日。心残りは多いが、また来ればいい。最後に最新ショッピングモールに連れて行ってもらう。今年初めにオープンしたというこのモール、シネマコンプレックスも併設し、ここはヤンゴンか、と思うほど、新しい。

お客さん、特に若者はスマホやIPadを手に持ち、Wifiはフリー。まるでバンコックなどの他の東南アジアのモールではないか。勿論若い女性でロンジーを穿いている子はいない。どころか、ミニスカート、ショートパンツが多い。お金持ち風のオジサンだけがロンジーを穿いており、このコントラストが面白い。

化粧品コーナーは日本製も多いが、宣伝は韓国製が優っている。上の階にはダイソーの100金ショップもあり、ミャンマー人が好きそうな雑貨が売られている。この店はミャンマー人がミャンマーで売れそうな物だけをコンテナごと、ダイソーから買い取ったとも言われた。渋谷系の最新ファッションを売る店も出ていた。値段は相当に高いようだが、お金持ちのお嬢さんが買いに来るらしい。

更に上には食堂街もある。タイやシンガポールのレストランに混ざり、日本のラーメンショップも出ていた。Bred Talkのようなシンガポール系のパン屋もあり、結構高いと思うのだが、売れていた。一度美味しい物を食べてしまった人は後戻りできないということか。

銀行のATMも店内に設置され、普通にお金が引き出せるようだ。7年前には全く考えられないこの光景、ここだけを見れば、ミャンマーの将来は明るい、とも言える。

(5)変化はミャンマーの為?

最後のお昼はヌードル&カフェへ。この店のコンセプトは軽食としてミャンマー各地の麺を出すことと居心地の良いカフェであること。入り口から吹き抜けのロビー、ゆったりとした庭。恐らくは欧米人を意識した作りだろうが、お客さんはミャンマー人、それも若い男女が多い。お金持ちや政府高官の娘や息子ではないだろうか。ここでもダラッとした姿勢で座り、スマホをいじっている。

ヌードルはやはり屋台などで食べた方が美味しいような気がする。それでも雰囲気が良いので、気持ちはよい。ヤンゴンにはお金持ちやその子弟がかなりいる。彼ら向けにアメリカやヨーロッパで生活したミャンマー人がカフェを作る動きもあるようだ。日本への出稼ぎ者は寿司屋、欧米系はカフェ、面白い。

そしてついに空港へ。また綺麗な空港へやってきた。チェックインもスムーズ。昔のような緊張感はまるでない。SSと彼氏、あっと言う間に分かれた。TTMは仕事でいない。昔ならながのお別れをやったものだが、全てが近代化?している。イミグレに向かうと、透明の壁の向こうからSSが強く手を振っているのが見えた。そうでなくっちゃ??

空港内では何故か緑茶を売っていた。結構おしゃれなパッケージだが、ミャンマーで中国茶??うーん。やはりミャンマーは変わった、いや大きく変わったのはヤンゴンだけだが、私の知るあの懐かしのミャンマーは少しずつ消えて行っていることは確かだ。残念なようであり、それがミャンマーの人の為であるような。何とも複雑な気持ちで飛行機に乗り込んだ。





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