ふらっと四国茶旅歴史旅2022(3)宇和島 驚きの再会と台風

雨が強いので、近所にあったとんかつ屋に逃げ込んだ。濡れた体をふきながらメニューを見ると、なぜか『カツとちゃんぽんセット』というのがあり、意外な組み合わせに思わず注文してみる。ちゃんぽんは鶏がらスープでしっかり炒めた野菜が載っており、好みだった。この店はとんかつ屋だが、オーナーは郷土料理屋も経営しており、そこから美味いものを取り出して提供しているという。何とも有難い。

伊達家の伊達博物館は本日休館日。その向こうの天赦園を覗くと係員が『こんな雨の中来てくれたんですか?雨で歩きにくいと思いますので、本日は入場料無料で結構です』というではないか。実は私が今日初めての客だったらしい。何だかその対応がとても好ましい。天赦園は宇和島藩第7代藩主である伊達宗紀(伊達宗城の父)が、隠居場所として建造した池泉廻遊式庭園だったが、激しい雨でその景色も良く見えない。足元も水浸しで歩くのも大変だった。

ここで面白い表示を発見。あのシーボルトの娘イネは、師である二宮敬作と共に宇和島で医業に従事していたが、その娘高子は1865年二宮の縁で宇和島藩の奥女中奉公に出て、翌年三瀬諸淵(三瀬周三)と結婚。三瀬はシーボルト門下の医者で、二宮敬作の甥だった。高子の美しい容貌は有名で、後に松本零士がその写真を見て『銀河鉄道999』のメーテルや『宇宙戦艦ヤマト』のスターシャとそっくりだと言ったらしい。

帰りも歩くしかない。今になって台風が接近してきたのだ。大雨に風も強く歩くのが難しく、立ち往生してしまう。人の店の軒下で何とか耐えるが我慢できずに、商店街のアーケードまで走って逃げこむ。アーケードを抜けて行くと、なぜか雨が小降りとなり、宿の向こう側の和霊神社まで歩いて辿り着く。

それから宿まで戻るとチェックインの3時までまだ少し時間があったので、フロントでもらったウエルカムドリンクを飲もうと1階のカフェに入った。何とそこに見たことがある顔があり、本当に驚いた。ただ一瞬お名前が出てこなくて、『あの、カンボジアの、地雷処理の方ですよね?』と話し掛けてしまった。

先方も怪訝な顔をしながら、『はい、そうです』という。周りにいた方がTさんの名前を言ったので完全に思い出し、一生懸命自分がカンボジアを訪ねた時のことを話したら、何となく思い出して頂けたようだ。何という奇跡だろうか。6年ぶりの遭遇、ここで逢うとは本当にご縁を感じる。Tさんはちょうどここで支援者の方々と打ち合わせをしようとしていた。地雷処理を進めるため、今日も頑張っておられ、すごいな、と思わずにはいられない。8月にバンコクに行くので、機会があれば、もう一度村を訪ねてみたいと思う。

それにしても今日は色々なことがあり過ぎて疲れたので、そのまま部屋にこもった。雨は断続的に降り続き、外へ出て宇和島名物を食べようという気分は起こらなかった。持ち合わせの菓子を出して、食べてそのまま寝てしまう。

7月6日(水)宇和島

朝早めに起きてしまった。昨日も早起きで、昨晩は早寝だから当然だが、ずっと寝ていると、何だか体が痛くなる。以前と違って最近は体が重いと感じることが多い。なぜだろうか。この時期だから、変な病には罹りたくない。

8時過ぎて大谷の試合が始まる。1打席見て、小雨の中すぐに外出して駅前のカフェへ。たまごサンドセットが美味しいというので注文。たまごの味がちょっと独特。何を入れているのだろうか。でもおいしい。ホットコーヒーと合わせて頂く。お客は3人いたが、誰もタバコは吸わず。店内に絵が沢山あったが、常連さんににらまれないように、大人しく食べて外へ出た。老夫婦は丁寧な対応だった。

雨は止んでいたので、そのまま散歩。小川沿いに歩いて行くと、徐々に坂道となり、寺がいくつか見えてくる。その先に古びた立派な門が見えた。統覚寺、ここは伊達家の菩提寺。寺の横の細道を行くと、伊達家の初代以降数名の墓が見える。伊達宗城の墓はあったが、その父の墓は見当たらない。どうなっているのか。

その後も散歩を継続しようと思ったが、朝早くにかなり冷たいものを飲んだためか、腹が重くなり、宿の方向へ帰る。帰り際に、高野長英の隠れ家に寄る。蛮社の獄の後、逃亡した長英は1年ほど宇和島で隠れていたらしい。その少し先が穂積橋。宇和島出身の穂積陳重は明治初期の法学者。渋沢栄一の娘と結婚したので、昨年の大河ドラマにも登場した。

あっという間に時間は過ぎてしまい、宇和島駅から昨日来た道を松山へ向かった。今日の電車は2両のみ。どちらが自由席か良く分からない。本当は各停で行きたいところだったが、この路線は恐らく各停より特急の方が遥かに多いので、致し方ない。1時間半で松山駅に着く。天気は回復し、晴れ間が見えてきた。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です