鉄観音の故郷を訪ねる2013(4)安渓 安渓から金門へ

5月7日(火)  雨が上がって

翌朝も6時前に起きる。既に辺りが明るくなっている。何と健康な生活か。これもネットが全く繋がらない環境であることが大きい。ネットが繋がらない、家がそれほど明るくなければ、夜やることは寝るだけ。日頃如何にPCの前で時間を取られ、目を疲れさせ、脳を疲れさせているかが良く分かる。

朝粥を食う。野菜はおばさんが自分で植えている。これまた健康的。ここで生活していれば、何もしなくても健康になれそうだ。日頃の生活を見直し、質素に生きる本当に意味を知るにはこのような生活をしなければならないと思う。


   

この家は2階建てだが、屋上もあった。今朝はみんなで屋上へ出て、畑を眺めた。この風景がまた良い。記念撮影などもした。午前9時半頃、麺が出た。午前中のバスで厦門へ戻る私の為に、麺を作ってくれたのだ。例の長芋も入っている。嬉しい。

小雨が降っており、今日も茶摘みはない。と思っていると、雨が上がった瞬間、機械的な音が村に響き渡る。外へ出てみると女性が一人で機械を使って茶摘みを始めた。兎に角早く摘まないとどんどん伸びてしまい、お茶に出来ない。張さんに言わせれば『もう伸びすぎて使えない』茶葉でも、普通の茶農家にとっては重要な原料となる。

バスで去る

帰りは路線バスを使って戻ることにした。大坪から厦門へ直接戻る方法はない。バスで同安へ行き、乗り換えるという。同安までのバスも一日4便しかない。午前10時半のバスを予約してもらった。何と家の前まで来てくれるというのが、田舎らしい。

バスが来るまで茶を飲んで待つ。名残惜しかった。いつまたここへ来られるか分からない。張さんがそれまで茶作りを続けている保障もない。そんなことを思いながら茶を啜る。出発の時間になってもバスは来ない。まあそんなものかと思っていると突如外でバスのクラクションが。皆一斉に飛び出しバスを止め、張さんは運転手に指示を出し、私を運転手の脇の席に座らせてくれた。あっと言う間にバスは走り出し、呆気ない別れとなってしまった。

バスは茶畑の見える山道を進んだ。それから一路山を下り、1時間ほどで同安の街に着いた。だが、同安から厦門へ行くバスが分からない。てっきりバスターミナルにでも入って、そこで厦門行きを探せばよいと考えていたが、運転手は道路脇で『降りろ』と言い、前方の普通のバス停を指すばかり。仕方なくバス停でバスを探したが分からず、近くの女性に聞いたところ、『私も同じ方向だから』と一緒にバスに乗せてくれた。

バスは普通の路線バス。ただひらすら大通りを厦門に向かって走る。しかし1つずつバス停に停まるので、なかなか進まない。それから1時間走ってようやく厦門市内へ。私を乗せてくれた女性は『終点まで行きなさい』とわざわざ声を掛けて降りていった。何と親切なのだろうか。終点の輪渡に着いた時にはへとへとに疲れていた。そのままタクシーに乗り、また華僑大廈へ戻った。料金は僅か1元だった。

4. 厦門2   日本留学生夫妻

夜、知人から紹介された中国人女性と会う。彼女はご主人と一緒にホテルに現れた。華僑大廈にある日本料理屋へ入る。お客はあまりいない。食べ放題だというので、彼らはどんどん好きな物を頼んだ。元日本留学生なので、日本食は得意だ。ちょっと違うなという味もあったが、意外とおいしかった。腹一杯食べてしまい、ご馳走にもなってしまった。

彼らはわざわざ遠くから私に会いに来てくれて、そして色々と貴重な話をしてくれた。日本企業の置かれている状況、中国民営企業の状況など、現場で戦っている人ならではの話ばかりだった。彼らは日本が好きだが、日本には恵まれなかった。

その夜は、3日ぶりにネットが繋がり、遅くまでPCの前から離れられなかった。これでは折角の大坪行きが台無しだが、致し方ない現実がある。

5月8日(水) フェリーで金門島へ

翌日はちょっと冒険してみようと朝食後出掛けた。何と台湾へ行って見ようというのである。これは知り合いの劉さんが『厦門から金門島はフェリーで直ぐだよ』と教えてくれたので、チャレンジしてみようかと思った次第。ただフェリー乗り場さえ分からず出発。

華僑大廈の近くからバスに乗り、フェリーターミナルへ行って見る。と言ってもいくつもあるようで、どこかは分からない。適当にバスを降り、海の方へ行くと、立派な建物が見えたので、そこで『金門行きはどこ』と聞くと、何とここだ、という。そして『何時のフェリーに乗るのか、11時か』と聞いてくれる。時刻は10時40分。一応国際フェリーだべえ、20分じゃ無理かなと思ったが、切符を受け取る。イミグレも税関もスムーズで、5分後には通過、余裕でフェリーに乗り込んだ。

フェリーは400人ぐらい乗れそうな船。ちょっと違うが、香港からマカオを行くときの気分。それぐらい手軽に利用できる。厦門や福建省の人、台湾人が乗っていたが、金門に観光に行く、という雰囲気の人はあまりいない。彼らは何のためにこのフェリーを使うのだろうか。などと考えているうちに出発し、小さな島々を見ながら、進んでいく。ウトウトしていたら、金門島が見えてきた。何だかとてものどかな島、に見えた。



 

 

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