ウラジオストクを歩く2019(2)歴史の街を歩く

9月18日(水)
ウラジオストク歴史散策

今朝も晴れて気持ちがよい。ただ夜中の気温は急激に低下したようで、起きるとちょっと肌寒く感じた。ホテルに朝食が付いていたので、パンなどを食べてから出掛ける。まずはとにかく可徳が120年前に開いたオフィスの場所を確認したいと思い、歩き出す。住所は3月のハバロフスクでお世話になったポボロツキーさんからもらっていたので、簡単に辿り着いた。

 

但しオフィスは2か所あったという。何故途中で引っ越したのだろうか。スヴェトランスカヤ街の緩やかな登り、そこに立つ古い建物。それが引っ越した後の事務所ではなかったかと思われる。今はカフェと革製品を売る店が1階に入っているが、ここの2階に事務所が置かれていたのでは。斜め向かいにはアルセーニエフ沿海地方州立博物館という立派な建物が角を占めている。ここはその昔、横浜正金銀行の支店が入っていたらしい。

 

そこから少し歩くと、アレウーツカヤ街に大型のショッピングモール、クローバーハウスがある。ここが元々の事務所があった場所らしいが、今やその面影はない。ただ道の向かいには日本の商店がいくつも入っていたという如何にも古い建物が保存されており、往時の雰囲気が少し味わえる。この2つの場所を確認し、写真を撮ったことでかなりホッとする。

 

そのまま北の方に歩いて行くと、日本時代に本願寺のあった場所まで行く。今は碑が建っているだけで寺院はない。その先にはなぜか仏像が置かれているところがあり、その横にはなんと与謝野晶子の歌が刻まれた碑がある。彼女は燃えるような思いを持って、ヨーロッパに旅だったようだ。更には素敵な教会もある。

 

そこから南下すると、いい感じの建物がどんどん出てきて、気分が乗る。最後の方には旧日本総領事館などの建物があり、この周辺が当時の中心だったことがよく分かる。日本人関連の商店などもこの付近に集中しており、ほんの少し行くと、先ほどの可徳のオフィスがあったところに出るから、可徳もこの辺を行き来しているのだろう。ただ彼はハバロフスクにも行き、日本にも帰っているから、どの程度この地にいたのかは疑問ではある。

 

今日はホテルを代わらなければならない。折角なので海の見えるホテル、に行ってみることにした。そこは地図で見ると近かったのだが、かなりのアップダウンがあり、また細い道を行くと木造の古い家があったりする。何とか通り抜けて、今度は海まで下り、ようやくたどり着く。

 

このホテル、何だか映画に出てきそうな海辺の大型ホテル。勿論廃墟ではないが、バルブ崩壊のような、かなり寂しい感じだ。国営ホテルの匂いもぷんぷんしており、とても満室とは思えないが、2時まではチェックインできないというので、荷物を預けて出掛ける。実は海の方からでなくても、上の階に出口があり、こちらの方がかなり近い。

 

また駅に行き、その先に泊まっている大型客船に見入る。駅と港がくっついており、実にコンパクトだ。その向こうには大きな広場があり、教会が見える。更に先には市立博物館がある。この場所に二葉亭四迷が住んでいたことがあるらしい。その横は、ニコライ二世の凱旋門だ。

 

海沿いに歩いて行くと、橋が架かっており、そこを越えた所には、なぜか嘉納治五郎の像もある。ロシア柔道発祥の地ということらしい。そこでエネルギー切れを起こし、スタンドでホットドックとコーヒーを買って食べる。かなり風がよい中でも、外で食べるのは気持ちがよい。

 

更に進んでいくと、東洋学院(現極東連邦大学)の赤いレンガの建物が見えてくる。これもかなり古く、入り口には何となく日本を思わせる石が置かれている。1899年に設立されたこの学校は日本研究なども行われており、日本とのゆかりは深い。その建物を抜けていくと、裏の道路の反対側にはプーシキン劇場がある。ここはバレーなどが今も上演されているようだが、戦前は松井須磨子が舞台に立ったこともあるらしい。

 

あまりに歩いてしまい、へとへとになって、宿まで戻った。部屋に入ると確かに海は見えたが、結構遠い。窓も汚い。このホテル、Wi-Fiはほぼ使えない。部屋数はかなり多いのだが、一体どれだけ泊っているのか。やはり一晩でおさらばしよう。夕方、夕日を見ようと海辺に行くも、フェンスで覆われて入れない。

 

仕方なく、ちょうどFBでTさんに教えてもらったピロシキ屋に向かう。駅のすぐ近くの小さな店で、テイクアウト専門。何と日本語メニューが登場したので驚く。おかずパンの定番、チキンレバー入りと煮キャベツ入りを注文、合わせて暖かい紅茶もテイクアウトして、駅が見える場所でゆっくり味わう。これは予想以上のうまさ。しかもとても安いので有難い。

 

帰り道を行くと、日がどんどん落ちて行くので、色々な角度から見てみた。海は風が強く、非常に荒れているので、空はきっくり見える。日が落ちてしまうと真っ暗になり、風の音だけが聞こえて本当に寂しい。如何にも北の海という感じだ。まあ一晩なら耐えられるかと、早めにシャワーを浴びて寝込む。

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