シンガポールで老舗茶商を探す2019(5)教会とモスク

8月2日(金)
散策2

今日も昨日に続いて散策する。昨日暑さで最後にへばってしまったボッキーでバスを降りる。キャナルロード付近にも老舗茶荘が残っていると思われたので、その住所を訪ねてみたが、今は跡形もなくなっている。ただそのあたりには古い薬屋があり、潮州料理屋があることから、やはりこの辺に茶貿易のための茶荘があったことは容易に想像できる。

 

その道をふらふら歩いて行くと、5分ぐらいで、初日に訪ねた茶荘が入っているコンプレックスに出た。これで位置関係がはっきりする。やはりこの一帯なのだ。チャイナタウンを通っていくと、ヒンズー寺院があり、新しい中国寺院もある。このあたりの混沌ぶりが、往時の貿易基地を思わせる。

 

もう一つ住所が分かっていたところへ行ってみると、何と6年前にSさん一家と行った茶荘だった。Tea Chapter、ここはちょうど30年前にできた新しい茶荘。1階がショップで、2階でゆっくり茶が飲める。いわゆる茶芸が台湾から入り、新しい茶のスタイルの草分けとなった店、と言えるだろう。

 

1階に入っていくと年配の女性が流ちょうな英語で接客していた。私が華語で話しかけると、ちゃんと華語で返ってくる。話を聞くと、この店は数人のオーナーの共同主出資だが、コンセプトは30年変っていないという。30年前開店して10日目にエリザベス女王夫妻がこの店に来て茶を飲んだというからびっくりした。当時中国茶が飲める場所がなかったのだろう。店員の彼女も原籍は安渓だが、この店で働くまでお茶などほとんど飲まなかったらしい。この辺が一般的な茶の普及の歴史だろうか。

 

その店のすぐ近くに、昔よく言ったマクセルフードコートが見えたので懐かしくて行ってみた。改修中だったが、営業は通常通り。中はそれほど変わっていない。すでにお客が多かったが、鴨肉麺をゲットして、何とか席に着く。この鴨肉にかかったタレが絶妙で、麺にかけるとうまい。S$5程度で十分満足できるのがよい。

 

午後はこれまでバスで通り過ぎてきて気になっていた、教会とモスクを訪ねる。聖アンドリュー教会はとても立派な白亜の建物で、100年以上の間、目立っていた。内部で祈りを捧げる人々、壁のステングラスなども美しい。敷地も広いので出口を間違えると、そこには建設中のスタジアムが見えた。こんな街中にスタジアムを作るとは、さすがシンガポールだ。

 

そこの横からバスに乗り、今度はマスジットモスクに向かう。この建物も趣がありよい。周囲は急にアラブ人街になる。だが今日は金曜日、残念ながらイスラム教徒以外は中を見学できなかった。その横の方には博物館があり、そちらをチラッと見学する。周囲にいくつか歴史的建造物があり、古きシンガポールを残しているという。ただかなり改修されてきれいになっており、観光地化は否めない。

 

それからまたバスで図書館へ向かう。ここに入るとオアシスのように涼しく、快適だ。更に資料を読み込む。特に福建とシンガポールの茶貿易の歴史に興味が沸く。相変らず英語の感覚は戻らず、素早く資料を読むことができずに歯がゆいばかりだ。夕暮れが近づく頃、今日もバスで家路につく。

 

夜はまたご近所のNさんからお誘いがあったので、ゲイランでご飯を食べる。今晩は東北料理屋。水餃子をはじめ、土豆糸、地三線など、いわゆる東北料理の定番をズラッと並べて悦に入る。シンガポールでもこんなものが食べられるんだ。うれしくなって、腹が膨れるまで食べ続けた。やはり一人では食べられないが、食事は2人いるとよい。

 

私は毎晩宿へ帰る前に、便利店に立ち寄る。シンガポールにもセブンイレブンはあるが、同じ飲み物でもなぜかかなり高い。そこで2日目からはインド系がやっている店でジュースを買っている。何日も通えば自然と会話も生まれ、日本人だと分かると、なぜか一層親しみを見せてくれるのが面白い。旅も1週間同じ場所に居れば、また違った景色が見られるというものだ。ただ当てもなく街に滞在する、沢木幸太郎の深夜特急を思い出す。

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