真冬の韓国散歩2015(8)慶州 導かれて仏国寺と石窟庵へ

仏国寺と石窟庵

山の街にやって来た。ここで降りるのかと思ったが、運転手はまだだという。そこで安心してしまい、すぐに下りるべき仏国寺のバス停を通り過ぎてしまった。韓国語が分からないとやはり失敗は起こる。そしてバスはどんどん進んでしまい、かなり遠くまで行く。あまりに心配になりもう一度運転席の横まで行くと、運転手が困った顔をした。そして反対側を指す。戻れ、という意味だろう。しかし反対側に来るバスは本当に仏国寺へ行くのだろうか。若い女性に英語で聞くと何とか通じたので、安心した。

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先ほどバスが坂を上り切ったところ、そこは公園に見えたが、仏国寺の入り口だった。世界遺産との表示も見える。中に入ると池が凍っている。小雨は降り続いている。とても広い空間で、日本の寺院とは様相を異にする。創建は新羅時代と言われるが、近年荒れ寺となっていたのを1970年代より整備したとある。だから比較的新しい雰囲気がある。

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冬の雨の日、いつもは多い参観者が今日はとても少なくてよい。静かに散歩ができる。大雄殿などは一段高い所にある。裏に回り、階段を上る。裏の方には色々な建物があり、1つずつに興味をそそられる。観音殿の観音様にはなぜか引きつけられた。庭や瓦屋根に小石が積み上げられているところもあった。そして何とも言えない仏塔が目を惹く。灯籠にしか見えないその仏塔は高麗初期のもの。1905年に日本に渡り、1933年に韓国へ戻ったとあるが、どんな歴史に流されていったのだろうか。しばし傍に立ってみたが、何も語られなかった。

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1時間ほどゆっくりと散策した。実に歩き出のある寺だった。最後は別の出口を出た。本当に広い寺だ。慶州に来たら仏国寺とセットで行くべきところ、それは石窟庵だと聞いていたが、そこへ行くにはバスに乗らないといけない。冬は凍結などでバスが動かないこともあるとガイドブックに書いてある。しかもどこから乗るのかは書いていない。言葉は通じない。どうするのだろうか?

 

そう思って先ほど降りたバス停に行ってみると、道の反対側にバスが1台停まっていた。取り敢えず行ってみると何とそれは石窟庵行きだった。しかも私が乗るとすぐに発車した。まるで私を待っていたようだった。前の席には日本人のじいさんが韓国人のおばさんと乗っていたが、声がデカい。とうとうと自分の自慢話をしている。乗客は日本語が分からないと思って話しているのだろうが、こういうのは本当に恥ずかしい。

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バスで20分ぐらいクネクネと山道を登っていくと広い駐車場に停まる。入場料を払い、門を潜ると、ハイキングコースのようになっている。皆の後に付いて歩く。因みにバスは1時間に一本、次回を逃すと最終になるため、時間を気にしながら行く。思った以上に山道を歩く。ちょっと時間が気になり始めた頃、小高い所に建物が見えてきた。なんだ石窟ではないのか。

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中に入るとガラス越しに釈迦如来像が遠くに見えた。非常にきちんとした、そういうのを精緻というのかもしれないが、お姿だった。日本にもありそうな仏像。よく見ると、仏像を丸いドームが覆っている。これは人工石窟らしい。何故こうなっているのだろうか。神々しいうっすらとした光も人工の演出だろうか。

 

外へ出ると空気がいいと感じられた。下に水を飲むところがあり、日本の神社の要領、柄杓で掬って飲んだ。生水は基本的に飲まないのだが、何となくそうした。日本と韓国の近さを実感した。バス乗り場付近に戻るとまだ時間があった。腹が減り出した。確かに昼食を抜いている。どうしようかと思っていると韓国人のおばさんとおじさんが路上で物を売っている。観光客が次々に何か買っている。

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それは焼き栗だった。それも小さなフライパンでその場で炒っている。他にも山の幸を色々と売っていた。昨日のプサンに続いて、何とも言えない哀愁、がここにある。このおじいさん、ここでずっと、雨の日も寒い日もお店を広げているのだろうか。この人の人生は、どんなものだったのだろうか。買った焼き栗を食べてみたが、1つずつ焼き具合にムラがある。それが彼の人生だった、と言われているようで、噛みしめて食べた。

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帰りのバスは満員だった。15分で仏国寺前に戻ると、また反対側のバス停へ行き、慶州へ戻るバスを探す。フランス人の女性が一人でガイドブックを眺めている。さっきの日本人のじいさんもバスを確認しようと、観光案内所に駆け込む。私も先ほど失敗しているので慎重に対処せざるを得ない。字が読めない、ルートが分からないのはやはり困る。

 

日本に来る外国人観光客も、きっと同じ苦労を味わっていることだろう。その時最後の助けになるのは、そこにいる人だ。韓国人は分からないながらも、何とか説明してあげようという気持ちはあるようだ。日本人は英語で話し掛けられた瞬間に逃げてしまう人が多いと、以前ドイツ人とタイ人に言われたことがある。ハード面を整備するのは勿論だが、最後はソフトだ。

 

何とかバスに乗れた。50分ぐらい乗って無事に市内に戻る。それにしても腹が減った。どうしたものだろうか。確か宿のすぐ近くにやはり古民家を改造したレストランがあったように思う。折角古都に来たのだから、偶には伝統的な韓定食でも食べてみようかと思い、宿へ急いだ。雨は止んでおり、少し寒さが和らいでいた。

 

1 thought on “真冬の韓国散歩2015(8)慶州 導かれて仏国寺と石窟庵へ

  1. ご連絡ありがとうございました。
    最近、FBやめましたので、こちらからご連絡させていただきます。
    いろんなお茶の旅、機会がございましたら是非お話伺いたく存じます。
    目下、松下智先生の収集されたコレクションを整理しているところです。
    うまい展示場所が確保されるとよいのですが・・・
    kodomari

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