真冬の韓国散歩2015(7)プサン 迷いながら慶州へ

1月15日(木)

釜田駅とノポのバス

翌朝も雨だった。冬のこの季節に雨が降る、東京などでは考えにくいが、プサンは日本で言えば日本海側の気候なのだと気付く。冬は暗くて寒い、これが昨日から感じている哀愁の原因だろうか。今日は朝、海岸を散歩し、それから焼サバを食べに行こうと目論んでいたが、どうにも外へ出る気が起こらない。やはりソウルの寒さなどが体に堪えたのだろうか。こういう時は休むに限る。

 

朝食はホテルが無料で提供する食堂へ行く。日本の東横インでは1階ロビーの狭いスペースで、おにぎりとみそ汁を食べた記憶があるが、それは正直美味しくはなかった。ここはどうだろう。メニューはそれなりにあり、雑炊とキムチなどを食べてみたが、韓国に来てから美味い物しか食べていないこともあり、やはり物足りない。無料だから、そこそこでいいだろう、という感覚はちょっと残念だが仕方がない。

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結局焼サバも次回に回し、ホテルをチェックアウトする。何故かプサンを離れたくなったのだ。初めてプサン、しかも1泊、24時間も滞在していないのに、どうして逃げ出すように離れたいのか、正直自分でも分からない。次回は夏に来てみよう、何かが変わるかもしれない。

 

駅前から地下鉄に乗り、昨晩のソミョンの次の駅、釜田で降りた。今日は古都、慶州へ行きたいと思っている。KTXで新慶州まで行けば簡単だったが、それは面白くない。折角なのでローカル電車で行こうと思う。何となくそれが今の気分に相応しかった。KTX開業後、ローカル線はプサン駅から釜田駅始発に変更になっていた。地上に出たが、どこに駅があるのか分からない。キョロキョロすると、市場が目に入ったので、行ってみる。ローカル市場、人影もまばら。寂しい。

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駅を発見してエスカレーターを上る。随分と寂しい駅だと思っていると、駅の窓口だけが大混雑。長蛇の列だ。おまけに何時に電車が出るのか、どこ行きなのか、全て韓国語のため、全く分からない。どうしよう、まずは列に並ぶしかない。すると駅員がやって来て、何か言った。分からないので『慶州』と行ってみると、自動販売機の前に誘導された。そして親切にも操作してくれ、切符を買おうとする。

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『慶州行きは何時?』と英語で聞くと、何と今から2時間後しかないことが分かる。切符購入を止め、しばし考える。そして『バスは?』と聞くと『ノポ』という。それは地下鉄1号線の終着駅。取り敢えずそちらへ回ってみようと笑顔で駅員に礼を言い、去る。プサンは韓国第2の都市だと思っていたが、鉄道に関していえば、日本のかなりの地方都市より、田舎だった。それにしても駅窓口の行列は何だったのだろうか?

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また地下鉄に乗り、延々と行く。思ったよりノポは遠かった。ここでもしバスがなかったらどうしよう。何も調べない私の旅はピンチを迎えていたが、焦る必要もない、特に急がない旅はこういう時に強い。ノポ駅で降りると、そのままバスターミナルに繋がっており、慶州行のバスチケットは呆気なく買えた。20分に1本ぐらい出ているようだ。ただチケットを見ると英語で『Gyoeng Ju』と印刷されており、一瞬違う都市のチケット買ってしまったかと錯覚して慌てる。慶州がGで始まるなど、想像していなかった。

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3.慶州

サランチェへ

バスは田舎道を走り、1時間弱で慶州に着いた。これなら電車を待つよりはるかに速かった。乗客も少なく、座席も広く、快適でよかった。ただバスターミナルを出ても、どういったらよいか分からない。観光案内所の女性は英語が流暢だったが、私にふさわしい宿を紹介してはくれなかった。東横インのような味気ないホテルはもういい、古都に似合った宿に泊まりたかったのだが。ターミナル周辺にはまるでラブホのようなモーテルが何軒もあったが、そこへ入る気にはなれない。

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仕方なくガイドブックを開くと、『120年前の伝統的韓屋。朝食はトーストと卵が無料』というのを見つけて聞き直すと、彼女はその宿を知らなかったようで、調べてくれ、何とか道を教えてくれた。日本でもありそうな話だが、旅行客のニーズと対応する側の期待は異なる物。最近日本人観光客が減っていることも影響しているだろうか。

 

教えられた通り歩いていくと、街中に古墳が見える。大きな庭園も出てきた。こんなところに宿があるのだろうか、と不安になった頃、何とも素晴らしい、古い、しかし立派な建物が見えた。『サランチェ』と日本語で書かれていなければ、通り過ぎたかもしれない。古い小さな門を潜るとそこは韓流ドラマの世界、だが犬に吠えられる。それを合図に女性が出てくる。チェックインには早いので、荷物を置かせてもらい、『仏国寺へ行きたい』というと、流暢な英語で親切にバスを教えてくれた。ランチ時で腹は減っていたが、とにかく流れに任せて、バスに乗ってみようと思い、宿を出た。

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先ほどのバスターミナルまで行く必要はなく、仏国寺行きのバスはあっさりやって来た。また小雨が降っている。料金はどこまで乗っても1500ウォンらしい。普通の市内バスなのでちょっと心配になるが、流れに任せた。途中で乗客が大勢乗り込み、バスは山道に入っていった。

 

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