山形・新潟旅2024(2)本間美術館

休憩後、夕飯をどうするか悩む。雨は強く降っている。近くのラーメン屋に駆け込もうかと考えたが、一応検索してみると、『とんや』という店名が目に入る。外へ出るとなんと雨は奇跡的に止んでいたので、その店に向かったら、何とそこは平田牧場の本社だった。平田牧場といえば、前回山形市に行った際、駅ビルの店舗で600円のとんかつ定食(タイムセールで半額)を食べ、その品質に感じ入っていた。なぜ私がこんなところに宿を取ったのか、が何となくわかった気がする。

店舗内は広々しており、お客は雨のせいか多くはなかった。メニューを貰うと創業60周年とある。酒田代表する有名企業なのだ。ロースカツとランプカツのセットが400円引きになっているので思わず注文する。さすが創業60年、とろけるようないいお味だった。帰りも雨には降られなかった。よし!

7月10日(水)酒田から鶴岡へ

あれから一晩中、雨が降ったらしい。そして今朝も雨だ。朝食は宿に付いているのでそれを食べて雨が止むのを待ってみたが無理だった。10時にチェックアウトとなり、タクシーを呼んでもらった。女性のドライバーさんだったが、『夏はお客さんが多くて忙しい』などと言っている。

途中で川を渡ったが、雨でかなり増水している。溢れたりしないかと聞いてみると『50年ぐらい住んでいるけど、溢れたことはない』ときっぱり言われた(ところが後日の大雨の時、NHKのニュースでこの川が氾濫している様子が映し出されてビックリ)。駅に着いて料金を払うと、領収書と一緒にティッシュをくれた。地元タクシーのいい所かな。

取り敢えず駅に入り、荷物を預けようとコインロッカーに近寄ると、支払いは交通系ICカードのみ、と書かれている。随分進んでいるなと感心していたが、何と電車に乗るにはICカードは使えず、切符を購入しろというから驚いた。駅員に聞いたら『私もおかしいと思うんですよね』と言いながら、そそくさと立ち去る。まあ、ロッカーが切符より早く進化してしまったということか。

外を見ると何と雨が止んでいる。急いで歩いて本間美術館へ向かう。実は昨日の本間家で『必ず行くべし』と言われ、共通券を購入していたので、行かなければならない。6分ほど歩くと入口があった。ここは美術館というよりは、本間家別邸といった方が分かりやすいのではないか。

美術館へ入って声を掛けると、『雨が降りそうですから、庭から先に見たらどうですか?』と傘を渡された。こういう対応は実に好ましい。その庭というのが、かなりの庭園で、敷地も広いし、手入れも素晴らしい。鶴舞園という200年以上前に作られた庭で、最初は藩主の休息場として作ったというから本間家は凄い。

その向こうの方には、清遠閣という見栄えの良い木造建築が建っている。その横には茶室もある。清遠閣には様々な展示があったが、2階に登ってみると、その大きな座敷から庭が眺められるのがよい。実はここで30分もの間、ただただ庭を眺めていた。こんなに落ち着ける空間があっただろうか。松尾芭蕉関連の展示にも興味を引かれる。

雨が降り出したので美術館の見学に切り替えた。ちょうど『本間家と茶道』の特別展示をやっており、天目茶碗をはじめとして、お宝所蔵品が多く展示されている。ここにも本間家の財力を見る思いだ。「本間様には及びもないが、せめてなりたや殿様に」とはよく言ったものだ。

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