茨城歴史旅2022(1)常陸太田 水戸徳川家墓所を訪ねる

《茨城歴史旅2022》  2022年11月14₋15日

バンコクから帰ってすぐ、また旅に出た。11月中旬の日本、しかも北関東の風は冷たい。それでもなぜか出掛けていく。

11月14日(月)常陸太田へ

前回水戸へ行ったのが2年前。あの時は博物館や偕楽園に行くはずが、何と原因不明の頭痛で逃げ帰った。そうだ、1年前も青春18きっぷでいわきに行く時、水戸を通過しているが、降りてはいない。今回はある人の歴史を追って茨城入りする。まずは水戸まで行くのに特急に乗ろうとネットで予約したが、何となくよく分からない。

少し早めに上野駅へ行き、緑の窓口で確認すると年配の職員が私のスマホを見て、『そこに置いて』と横柄な態度で指示(コロナ対策)する。そしてそれを取り上げて色々と見ているが、彼もスマホ予約について行けていないようで『多分大丈夫でしょう』と心もとない返事をする。確かに年配者にとって次々に繰り出されるネットITは苦手だろう。気持ちはよくわかる。でも駅員でしょう、もう国鉄の人は退場しましょう、と言いたい。

結局ときわ57号は殆どが空席で、確かに何の問題もなかった。1時間半で水戸駅に到着する。ここで乗り換えに少し時間があったので、別のホームにある駅そばで、名物から揚げ蕎麦を食べる。分かり難いホームにあるにもかかわらず、常連さんが次々入ってくる。そばに乗る唐揚げは、まあフライドチキンという大きさだった。駅には鉄道開業150周年のポスターが見えた。

12時過ぎの水郡線に乗る。二両列車は川を越えて、冬枯れの田舎風景をゆっくりと進む。上菅谷駅で向かいのホームの列車に乗り換え、合計30分で常陸太田駅に着いた。Suicaが使えたので、トラブルなく外へ出た。駅前からバスに乗ることになっていたが、どこで乗ればよいのだろうか。何と乗客もあまりいないこのバス停に向かって、数台のバスが重なってやってきた。思わず隣のおばあさんに聞くと『前のじゃないよ、後ろだよ』と親切に教えてくれ、何とかバスに乗り込んだ。

だが私が今日訪ねる水戸徳川家墓所については、おばあさんも、そして運転手でも、全く知らないというので、驚いてしまった。水戸徳川家と言えば、茨城では誰でも知っているものと勝手に思い込んでいたが、今や知られているのは水戸黄門様だけなのかもしれない。取り敢えず検索していたバス停まで行くことにする。バスは常陸太田の街を抜けて、郊外の畑に出る。

誰も下りない『里の宮』で下車するが、周辺には何もない。少し歩いて行くと、日は西に傾き、何だか子供の頃の栃木の風景がやけに重なってくる。栃木ならからっ風が強そうな時期だが、今日の常陸太田は日差しも柔らかく、気持ちの良い散歩となる。そして歩いて10分ちょっとで誰も知らない水戸徳川家墓所の前に来た。だが門は固く閉まっており、隙間から中を窺うしかない。墓地は高台にあり全く見えない。

実は事前の検索でも、入れないことは分かっていた。それでもここに来たのは門の写真を1枚撮る、たったそれだけの目的だった。門の横には墓所内の配置図が掲示されており、初代藩主徳川頼房(家康末男)から13代目までの墓があるようだ。あの有名な黄門は第2代である。だが私のお目当ては徳川家ではなく、そこに一人ポツンと名前が刻まれていた、朱瞬水という中国人だった。明朝再興に命を懸け、後に長崎に亡命した彼を光圀が水戸藩に招いた訳だが、それにしても藩主たちと同じ墓所に入る中国人とは。興味は尽きない。

少し回り道をして周囲を散策したが、特に何もない。1時間後のバスを待っていると、隣家の柿が熟れている。日に数本しかないバスに乗ると乗客はいない。帰りは少し余裕が出来たので、常陸太田の街を眺めると何ともレトロな建物がいくつも見えたので、思わず散策する。

鯨が丘という地名が見える。ここは日本武尊の東征時に丘が盛りあがって鯨のように見えたことからその名が付いたと書かれており、真偽は別としてその歴史は思ったより古い。更に平安時代から戦国まで、佐竹氏がここに城を築いていたというから、やはり歴史的な街なのだ。赤煉瓦の蔵や木造の趣のある建物を見ると、明治以降もそれなりの発展を見せたのだろうか。駅の横にも煉瓦のレトロな建物が建っていた。

水戸で

来た時と同じ鉄道で水戸まで戻る。何とものどかな風景、帰りは直通だった。駅前では黄門様と格さん助さんの像が迎えてくれる。お城の周囲を回りこむと、道路脇にひっそりと朱瞬水の像が建っている。駅から徒歩15分、実は2年前、お知り合いのKさんの家に招かれた際に暗闇でこの像を見たのがきっかけで今回の旅となったのだ。その時は写真も撮れなかったので、ゆっくりと撮る。瞬水の功績を称える文言が横に書かれている。水戸藩への影響力は絶大であったようだ。

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