KL散歩2011(2)インド人ヨーガ講師と華人会計士

(3) 新しいホテルにはいい点も悪い点もある

その新しいホテルはフラマであった。香港に出張した時など、昔よく使ったのだが、最近はどうなのだろうか。ネットでは非常に安い値段で出ていたので、思わず予約。確かに新しいが、立地は今一つか。

朝の8時過ぎにチェックインしても、笑顔で迎えられた。お客はそれ程いないのだろうか。元々今日の午前中は夜行の疲れを考量して、チェックインできそうなホテルを選んだという事情もある。その予想は的中。

部屋に上がるエレベーターは最新式。部屋のカードを差し込まないと上がれない。しかし、私のカードでは動かない。着いてきたスタッフが「まだ新しいので」と言い訳しながら、自分のカードで動かす。部屋は広く、おまけにもう一部屋ついていた。セミスイート?しかし私は休むわけにいかない。朝9時の約束を入れてしまったのだ。

既に時間は8時40分を過ぎていた。慌てて下に降り、タクシーを探す。玄関前に1台、トヨタのバンがちょうどおり、乗り込む。住所を告げるとそのまま発進。さて、どこへ行くのやら。

3.KL (1) KL郊外のヨーガ

車は南へ進路を取り、高速をスムーズに走る。何だかその昔来たような道だが分からない。20分ほど行くと、リゾート地、といった感じの家々が並ぶ。その中へ入る。実に広々とした敷地、木々が溢れ、南国の別荘である。

目的の家は広大な敷地の中にあり、なかなか見つからない。運転手も何度も場所を聞き、ようやく探し当てた。タウンハウスの2階建て。1階には各家に駐車場もある。その1つを恐る恐るドアをノックすると、隣だと言われる。隣をノックするとインド人が顔を出す。

ディープ、それが私が訪ねた人。インド出身でありながら、KLにやって来て、ヨーガを教えているという。彼は30代半ば、実に柔らかい笑顔で迎え入れてくれた。広ーいリビングがあり、その向こうにはベランダが。そこから池が一望でき、とても心地よい空間が広がる。如何にも自然に生きている感じがする。

ディープは東京でヨーガを教えているHさんの紹介。何でもインドのヨーガ学院で一緒だったとか。当時からイケメンで女子には人気があったらしい。特に何となく当たりの厳しいインド人が多い中、彼の優しさは受けたことだろう。その彼がなぜKLに来たのか。それは彼女がKLに住んでいたからだそうだ。KLにヨーガ教師の仕事を探し、契約した所で、その彼女はいなくなってしまった。後にはヨーガの契約のみが残った。仕方なく、ヨーガを教え始めた。

そしてそこで今の奥さんと知り合い、結婚。現在は自らヨーガ教室を主宰し、この別荘地内で教えている。朝はヨーガをやり、昼間は教室、暇な時は読書、食べ物は自分で調理。実に理想的な生活をこの歳で送っている。素晴らしい。「インドより遥かに快適な空間がある」という言葉には、重みがある。

今回彼は早朝到着する私を気遣って、「家で朝食を食べよう」と言ってくれていた。有難い。彼自身が、スクランブルエッグ、トースト、ヨーグルトを準備してくれ、美味しく頂く。油は控え、基本はベジタリアン。「食べ物が体を作る」「心を穏やかにするのは環境」と静かに話すが実に説得力がある。心穏やかな生活が垣間見える。

彼は仏教などについてもよく勉強していた。「ブッダの教え」などはない、あれは弟子が聞いたというものを纏めただけ、と言ってのける。宗教がビジネス化していることを嘆く。そういえば、この家にも観音様がある。奥さんは中華系。彼は奥さんの宗教もよく理解している。

帰りがけに、彼のスタジオを見学。彼の車はダイハツ合弁の新車。「これならあまりお金が無くても買える」とのこと。乗り心地はまあまあ。スタジオまで2-3分で到着。華人の家の1階部分を借りているそうだが、庭もあり、気持ちの良いスタジオであった。ここで爽やかにヨーガをやれば、効果も抜群かと思う。

更に数分行った家に入る。大きな別荘だ。オーストラリア人が所有しているが、ヨーガ合宿を実施する際は、この家に皆泊まり、ヨーガもここで行うらしい。部屋は沢山あり、大人数が収容可能。食事はここのお手伝いさんが作るとのことで、大きなキッチンもあり、家の外と内と両方で食事が出来るテーブルがあった。プールもあり、広いリビングで寛ぐこともできる。良いスペースだ。一度ここでヨーガ合宿をやってみたい。

(2) 華人

ディープの奥さんが帰って来た。会計の仕事をしているらしい。KLに来る前にディープに「マレーシアの最新事情を教えて欲しい」とメールした所、「僕は世俗のことは分からない、世俗のことは妻に聞いてくれ」との返事。どこかで聞いたセリフだが、やはりヨーガ教師は世俗を離れる必要がある。

奥さんにマレーシア経済について聞く。「ここ10年、色々なことがあったけど、基本的には順調」「KLの一等地の不動産はかなり上昇したけど、この辺の別荘地は結構安く買える。郊外へ引っ越す人も出て来ている」

奥さんはKLのチャイナタウンに実家がある。華人に関しては「ここ数年、マレーシアの人口はかなり増えている。でも増えているのはイスラム系(主にマレー人)だけ。彼らは残念ながら生産性が低く、ブミプトラ政策で守られているが、実体経済を主導しているのは華人。その華人は人口比でどんどん減少している。これはマレーシアの将来にとって極めて危険な兆候」と懸念を示す。

大陸中国人の進出に関しては「華人と組んでビジネスしようと言う人は結構いるようだが、特に目立った動きは感じない。マレー人優遇社会では大儲けは出来ないのでは」と素っ気ない。

帰りにタクシーを呼んでもらったが、「来た時のタクシーはデラックス。ここまで60RMもする。節約が大事。帰りは普通タクシーを呼んであげるから。30RMでホテルまで帰れるよ」と。

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