インドでアユルベーダを2017(10)肝臓、そして消化を大切に

1時過ぎに下からヨゲーシュも上がってきて、何やらテレビを点けている。何か見ていたが、急に皆が歓声を上げた。『こないだの市議会議員選挙、与党BJPが勝ったわ』と姪が喜ばしそうに告げる。選挙結果は忘れた頃にやってくるのだった。意外なほどに選挙に関心があること、そしてやはりモディ首相が支持されていることを感じる。敵対勢力はいるものの、これは階層を問わないようだ。

 

部屋に帰ると、『掃除するか?』と聞かれ、掃除してもらう。部屋にはあまり頓着がない私は、掃除することも考えていなかった。ソファーに座っていると、重い荷物を持ったビンセントがやって来た。これからムンバイ方面の知り合いの家へ行き、その後フランスへ帰国するという。荷物の多くはアユルベーダの薬。買付だから当然だが、大変そうだった。リキシャーが呼ばれ、彼は颯爽と乗り込み、去っていった。私にとっては実にありがたい隣人だったのでちょっと寂しい。

 

4時頃、軽いマッサージとスチームバスがある。そしてバスティと言われる。先日はエネマという腸内洗浄に過敏に反応してしまったが、今回のバスティ(浣腸)でも肛門からオイルを入れているだけで、もう我慢が出来なくなり、途中で中断して、トイレに駆け込んだ。これにはヨゲーシュもあきれ顔だが、仕方がない。最近我慢しない癖がついているようだ。

 

5時半頃、シャワーを浴びる。シロダーラのお陰で髪の毛がオイルまみれのままだが、シャンプーも特別の物を使った方がよいと渡される。とにかく頭がすっきりしたので良かった。6時半にはチャパティ+ライス、ダルと野菜を完食する。やはり腹が減っていたのだが、自覚があまりない。食べ終わると満足する。先生から『少し食べ過ぎかな』と言われるほど。

 

224日(金)
クリニック8日目

 

前夜は9時半頃には眠りに就いたのだが、夜中に蚊に襲われ、相当刺される。眠りは常に浅くなり、蚊が気になって仕方がなかった。朝5時には痒くて起き上がってしまうほど刺された。これはどうしたことだろうか。最初にちょっと蚊が気になったが、その後はお目に掛からなかったのに。そう言えば、ビンセントは蚊に刺されたと言っていたから、彼が私を守ってくれていた、彼が居なくなったから、また蚊が私のところに戻って来た、ということだろうか。

 

7時頃までゴロゴロしていたが、何ともぐったりする。おまけに鼻水まで出てくる。明け方は涼しいのだ。白湯を飲む。8時には朝食。トースト+ゆで卵、そしてバナナにオレンジ、夢のような朝ご飯。完食して、完全回復が証明された。バナナにギーを塗ると消化を助けるよ、と言われたが、拒否!折角の美味しい物を。

 

先生と話をする。紅茶がよくないとか加工食品はダメだとか、色々な話があったが、ようは当たり前だが『食べ過ぎない、飲み過ぎない』ということのようだ。アユルベーダの世界で絶対にダメ、ということはないような話だった。個人がそれをどこまで意識してできるか、という問題のように思う。過ぎたるは及ばざるが如し!

 

実は最近記憶力がとみに低下していると話したところ、最初に自覚したのはいつ頃かと問われ、そういえば20年ぐらい前だったと答える。するといきなり『肝臓が悪い。肝機能が低下したのでは』と言われ、思い当たるふしがあって驚く。『肝臓はKing of Bodyだよ』と先生は言い、肝臓の障害によって引き起こされる病は実に多いと。確かに20年前、私は肝機能が低下し、アルコールを飲むと痒みが出ていた。副作用を押さえながら2年半に渡り薬で治した経験がある。

 

実はその時、記憶力も低下していたのだ。そして最近はずっと意識するまでに低下している。肝機能を向上させるにはどうすればよいかと聞くと『アルコール、酸っぱい物、そして発酵食品を取らないこと』と間髪を入れずに言われる。アルコールは分かるが、梅干しもダメなのだろうか、いや納豆は体にいいはずだ、と考えが駆け巡る。

 

日本では発酵食品を食べる生活習慣があり、それをダメと言われると困る、と言っておく。先生も『日本の食生活はよくわからないが、アユルベーダでは発酵食品は腐っているもの、という位置づけだ』と説明するにとどまった。ここで食文化の違いを議論しても始まらないが、発酵食品=腐った物、という考え方があるのはある意味新鮮だった。

 

また食事のタイミング、日常のルーティン化が重要だともいう。4-6時間の間をあけて三食をきちんととることがよいという。消化力はたとえて言えば、竈のようなもので、朝火を点けると徐々に温まり、昼間は一番消化力が高まり、そして日が暮れるとともに弱まる。だから、ランチは多く食べてもよいが、ディナーは軽めがよい。また寝る前に食べるのもよくない。消化できなかったものは体内に老廃物として残され、排出されない。これが病を引き起こす元になる。全ては消化にベストの状況を作り、ベストの物をベストのタイミングで食べることだ。

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