東マレーシア散歩2016(7)あっという間のクワンタン

7.    クアンタン
市内へ

バスは2時間ちょっとでクアンタンのバスターミナルに着いた。だがここは高速道路の脇に新しくできたもので、市内までは結構遠いらしい。インド人の女性は『市内まではタクシーで10mrだけどマレー語ができないとね』と言いながらサッサと行ってしまった。この辺がインド人らしい。

 

かなり大きなバスターミナル。白人カップルはすぐさまチケット売り場でKL行バスを探している。やはりここは泊まる場所ではなく、通過する街なのである。私はタクシー乗り場を探して、市内まで、と言ってみる。回答は『25mr』。インド人が言っていた10mrとは2倍以上の開きがある。15mrでどうだ、と言っても誰一人取り合ってくれない。ここでは完全な談合が出来上がっている。『マレー語が少しでもできれば違うんだけどね』と言った彼女の言葉がのしかかる。これも一つのブミプトラ政策だろうか。

 

おじさんの一人がそんなに金がないならバスで行け、と言ったように聞こえた。そうかバスがあるのか。それならバスで行こう。だがバスはどこから出るのだろうか。ようやく見つけたバスは長距離が出る、その一番端にあった。タクシーに配慮して、案内も出ていない。外国人はタクシーに金を落とせ、ということだろう。バスは僅か2mrだから。

 

少し待っているとバスが来た。きれいなバスだが、荷物を置く所などないので、立って荷物を支えていく。バスはマレー人で満員だった。30分もかからずに、市内のバスターミナルに着いた。まずは宿を探すが、適当なところがなく、歩く。大きな通りに出ると、ちょうど角に88mrという表示があった。外観もきれいそうだったので、そこにしようと行ってみたが、その部屋は既に満室で128mrになってしまう。

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それなら仕方ないと、一旦外へ出て別のホテルを探したが、結局良いものに巡り合えず、ここに戻ってきてチェックインする。フロントの女性は普通に英語を話すマレー人。『ほら、言った通りでしょう』という顔をしていた。部屋は古かったが、まあ快適だ。因みに彼女は英語が話せたが、翌朝の男性は全く英語が出来なかった。この辺からマレー人の街に入ったことを実感する。

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腹が減った。外は既に夕やみに包まれている。ふらふら歩いていると、中華食堂があり、思わず入る。おじさんが勢いよく鍋を動かしている。いい匂いがする。なぜだか、とても辛い物が食べたくなり、辛い炒め物を頼む。これがまた激ウマ!どんどん口に入ってしまったのだが、その後冷たいジュースを飲み、一息つくと、何だか腹がひりひりした。疲れている時に、辛い物を腹に入れるのは良くない。そしてつめたい飲み物を入れるのはさらに良くない。この原則を完全に破ってしまった。そして体調不良に陥り、夜は静かに寝る。

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98日(木)
圧倒されるモスク

翌朝は早めに起きた。クアンタンは見る所がないと言っても、街歩きすらしないで去るのは何とも惜しい。そこで朝の散歩だけをして、それからバスに乗ろうと思った。外はすでに明るくなり、日が登り始めている。マレー人の街ながら、やはりどうしても目立つのは華人の家。海南会館など、華人が建てた同郷会がいくつか見える。

 

車が殆ど走っていない大きな道を更に進んでいくと、海?河?に出た。朝の散歩が清々しい場所。その裏にはやはり華人のショップハウスが軒を並べ、往時の海上貿易などを仕切っていた様子が伺われるが、今はひっそりとした暮らしが見えてくる。栄えたのは今から何年前だろうか。

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見上げると他を圧倒する、そして何とも優美なモスクが見えてきた。スルタンアフメッド1世モスク。遠くから見えたその姿は、実に美しく、朝日を浴びて輝いていた。近づいてみると、凛とした雰囲気が立ち込め、朝の祈りを捧げる人たちがいた。私は場違いだと思い、すぐにそこを離れ、再び遠くからモスクを拝む。

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ホテルに戻り、朝食を食べる。昨晩体に異変があったので、あまり食べる気がなかったのだが、食堂へ行くと、スタッフが冷たいジュースを出してくれたので、トーストと一緒に飲む。朝は暖かいものにすればよかったのだが、言葉が通じない悲しさ。これで完全に調子を崩した。

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バスがない

チェックアウトして、昨日のバスターミナルから郊外行きのバスに乗り、大型ターミナルに着いた。そして2階に上がり、バスチケットを買う。ところが『トレンガヌ行は売り切れだよ』となんとも意外な返事。そして『恐らくどこへ行っても買えないと思うよ』とダメを押されてしまった。これは一体どうしたことだ。係員はカレンダーを指さし、『ハリラヤだから』とだけ告げる。

 

私はハリラヤに意味も分らず、途方に暮れる。気を取り直して、他のブースを回るが、悉く首が横に振られた。だが最後に来たブースでは『トレンガヌまではないが、途中のドゥーンまでなら買える。そこでローカルバスに乗り換えれば行けるよ』というので、藁をもつかむ思いで、チケットを買う。バスの発車まで1時間ほどあり、しばし休息。

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フラフラしているとタバコを吸っているおじさんに話し掛けられた。KLに住むマレー人だが、今日どうしてもコタバルに行く必要があり、チケットがなく困っていた。話していると電話が入り、友人が車で送ってくれるという。私も一緒にどうか、という雰囲気だったが、既にチケットを買ったこと告げるとそれ以上の話はなかった。もしこの時この車に乗ってくれば楽だっただろうか。それともこれは新手の白タクだったのだろうか。

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