カンボジア・タイ 国境の旅2016(11)タイ人と華人のコントラスト

教会を抜けて歩いていくとそこには古い民家が並んでいた。そのままくねくねと進んでいくといつの間にか、川に出た。遠くに教会が見える。そこには宮があった。この辺は華人が住むのであろうか。橋を渡るとまた原石市場へ。なかなか面白い。原石市場を通り過ぎるとそこはチャイナタウン。観光用に整備された雰囲気で、古い家はあるが、きれいになっている。今やアジアのどこでもチャイナタウンはきれいになり、観光地化されている。ちょっと残念な気分になる。

数種類の色の芋を焼き芋にして売っていたので思わず手が出てしまった。売り子はタイ人女性で明るい。こうなると焼き鳥、焼き豚にも手が出てしまい、沢山持ち帰って部屋で食べることになった。この街並、川のすぐ横を平行に走っており、往時はこの川を利用して交易が行われていたと容易に推測できる。原石は川で運んだろうか、いや小さくて価値のあるものは別の運び方があったのではないか。華人は川と共にある、とはバッタンバンも同じだったな。

部屋で結構休息し、夜外へ出たが、飯を食べる場所が意外となかった。結局また麺を食べることになる。だが麺一杯だけではどうしても物足りず、ウロウロと探すと華人系の店があったので入る。そこのおばさんはつっけんどんにメニューを渡し、あまり金にならない客だとみると邪険な対応だった。料理もなぜか辛くて食べにくかった。華人はどこでも厳しい感じだが、タイ人はにこにこしていてこのコントラストはいつ見ても面白い。

 

81日(月)
朝から歩く

朝は早めに起きたが、8時前に外へ出る。何とも解放感に溢れる旅、予定もない、会うべき人もいない、見なければいけないものもない、これがこんなにも気持ちを楽にしてくれるとは正直思ってもいなかった。考えてみれば今年に入り、ミャンマー、ラオス、スリランカ、そして3月のシベリア鉄道+α、4月の雲南ラオス、福建、5月の台湾、6月の内モンゴル、湖北など、比較的激しい旅が続いてしまい、体が対応できない状況に陥っていたのかもしれない。たまにはこんな旅をして、旅の原点に戻り、リフレッシュもしよう!

 

朝ご飯はホテルの横にあるカフェに入ってみた。明るい感じの店、トーストが食べたくて入ったのだが、残念ながら英語が通じず、トーストも砂糖と蜂蜜たっぷりの代物だった。だが対応は丁寧で、コーヒーもゆっくり淹れてくれた。こんな雰囲気もまた嬉しい。この店は靴を脱いで上がるシステム。これがまたタイらしくて好ましい。料金も安くて満足した。

そのまままた散歩に出る。昨日行き損ねたお寺へ向かう。そこには涅槃仏があるというのだが、川を渡り行ってみると、そこは何と昨日も通ったところだった。ただ建物が開いているとは思わず、しかも中に大きな仏が寝ているなど想像もしなかったのだ。だが今朝はまだ早いのかどこにも入る所がない。下で若者に聞くとちょっと待て、という。少し待つとおばさんが花を持ってやってきて、鍵を開けてくれる。中の仏はまだ眠っているように見えたが、目はしっかりと開いている。

それからまた昨日の教会の前を通る。今朝は信者がテーブルを出して食事をしていた。何か集まりでもあったのだろうか。川を渡り、チャイナタウンを抜けたが、人通りは殆どなかった。既に日差しは相当に強く、歩くのも苦痛になる。急いでホテルに戻り、シャワーを浴びてチェックアウトの準備をする。10時過ぎにはホテルを出て、暑い中、荷物を引いて、バスターミナルへ向かう。

この時点までどこへ行くか決めていなかった。一番早く乗れるのがよい、と思っていたが、あまり遠いと疲れるので、それを考慮した。ターミナルでどこへ行くんだ、と声を掛けられ、なぜか口からラヨーンという言葉が出た。自分でもちょっと不思議だったが、地図で見ていたので頭に残っていたらしい。ラヨーンと言えば20年以上前、前の仕事でタイを担当した時、日本企業が沢山進出を始めた場所であり、また石油化学などの産業が発達する機運が高まっていたのをよく覚えている。きっとそのことが頭にあり、行ってみたいと思ってしまったのだろう。確かに一度も訪れたことはなかったはずだ。

 

するとおじさんが今出るロットゥがあるから急げ、という。100bで何とか乗り込む。相変わらず私の荷物は邪魔になるが、誰も文句を言わない。ここがタイの凄いところだと思う。車は快適に国道を走る。後ろの男子三人は中国人、中国語で話している。どこへ行くつもりかと思っていると、1時間半ぐらいで、バンペーというビーチリゾートの島へ行くフェリーターミナルで降りた。ここからサメット島へ行けるらしい。私もここで降りてもよかったが、どうもビーチリゾート気分になれず、そのまま乗車した。車内もだいぶ空いてきて、ポロポロ降りる人も出てきた頃、車は市内に入り、バスターミナルより前で私を下ろして走り去った。ロットゥはどこ行きだったのだろうか。そしてここはどこなんだろうか。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です