ある日のバンコック日記2020(21)五輪は何のためにあるのか

3月11日(水)震災9周年

最近はバンコックでも連日コロナの話題ばかりで気が滅入る。そんな中、NHK7時のニュースを見てみると、女優の「のん」が生出演しているではないか。彼女は元々朝ドラあまちゃんで大ブレークしたが、その後トラブルがあったのか、テレビドラマへの出演も無くなり、我々の前から姿を消し、いつの間にか芸名すら変えていた。

その彼女、実に大人の表情になって、最近カムバックしてきており、注目されている。そして今回のNHK生出演。内容は東日本大震災9周年ということで、あまちゃん以降ゆかりのある東北に関する話題だった。もう9年も経ってしまったのか、というのが正直な感想だが、彼女は一つ一つ言葉をじっくり選びながら、話している様子が見て取れる。これは慣れていないせいなのか、性格なのか分からないが、好感が持てた。

私は9年前、26年務めた会社を辞めることが決まっており、後はいつまで出社するかを相談するだけという状態になっていた。そこにこの災害が起きてしまい、高層ビルの21階で、同僚たちと一緒に大きく揺られた。その後の混乱の中、既に戦力外になっていたので、2週間後に出社を止め、中国の茶畑に飛び出してしまったのだ。あれは私にとって日本からの逃避だったのだろうか、自分の行動を整理したことはいまだにないが、今回日本で起こっていることを見ると、その構造に変化がないことはよく分かる。

3月12日(木)聖火採火式

急に思い切って、明日ラオスに行くことにした。今回はもう旅ではなく、タイ滞在ビザ免除を延長することだけが目的となっている。徐々に緊迫しており、急がないと、日本人のタイ再入国が難しくなるかもしれない、などの、不測の事態が想定され始めてきていた。日本に帰るならはっきり決めないといけないのだが、ちょうど宿を延長したばかりでもあり、タイの方が日本より安心感が高いこと、今後の動きやすさを考えて、もう1か月タイに居ることにしたのだ。

夜またNHKを見ていると、ギリシャでオリンピックの聖火採火式というのをやっていた。本来は某元総理や吉田沙保里などが出向いて、その聖火を受け取る手はずであったが、既にギリシャに入国することすらままならないのに、まだ五輪をやると言っているのは滑稽以外の何ものでもない。勿論日本国民もそう思っていると思いたいが、一体だれが何のためにこんな茶番をしているのだろうか。

このために準備させられている人々の気持ちなどはどうでも良いのだろうか。某元総理の精神論ももう聞き飽きた。そもそも2回目の五輪なのだから金を掛けずにやるべきところを、結局なんだかんだ言って利権絡みで、膨大な予算をつぎ込んだことで、もし中止となればいい訳すらできないと思っているのだろう。海外から見ていると、これほど情けない政治家はいない。

元々オリンピックに批判的な人は多い。ただ私個人はスポーツ観戦好きであり、特にマイナースポーツに日が当たるのが、五輪しかないという現状から、五輪開催サポーターではある。ただ、東京で開催する必要性は全くない。むしろ日本という国で行うことで様々な雑音が入って来て、好ましいとは思っていない。ましてやこれを好機と考えて乗り出す政治家や企業などが好ましい訳はない。

ニュースの途中で不愉快になり、外へ出た。バスに乗ってプラカノーンに向かう。今晩はインドから戻ってきたMさんと1か月ぶりに会う。さすがに?インド帰りで腹の調子が今一つというが、コロナとは無関係らしい。一応お腹に優しい和食を食べたいというので、和食堂へ行く。この食堂、プラカノーン付近に何店舗もあり、安くてボリュームがあるという、昔ながらの食堂だった。折角なので、偶に食べたくなるレバニラ炒め定食を食べる。

私が5年マルチビザを申請しながら行けていないインドに、Mさんは先月も今月もスルっと行っているのが恐ろしい。しかも今回は滞在中に、ビザ一時停止措置が発令されたというのだから怖い。インドでもし隔離でもされたらどうするのだろうか、と心配になってしまう。

だが彼はバラナシに何日も滞在し(勿論入国済みのビザは有効)、平気でガンジス川を眺めていたらしい。私も兎に角コルカタだけでも行っておけば、5年マルチが有効になり、停止解除後自由にインドへ行くことができたのだ。だがこの申請は4か月以内に入国しないと無効になり、再度取り直さなければならない。果たしてこんなことがあった後に、インドが簡単に5年マルチを出すだろうか。やはり私のインド旅は完全に振出しに戻ってしまった。

因みにインドが完全にロックダウンするというのは、尋常な対応ではない。本当に外出もできないし、何といっても、インド人ですら入国できなくなるのだ。日本人駐在員の中には、家族を残して出張に出てしまい、家族を出国させることもできない人もいるというからやはり恐ろしい。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です