ある日のバンコック日記2020(13)無人のスワナンプーム空港

《ある日のバンコック日記2020》  2020年2月19日-3月13日

2月19日(水)空港で

パクセーから乗ったラオス国際航空のフライトは、1時間でスワナンプーム空港に降り立った。果たしてすぐに降りられるのか、それとも機内に検疫官が乗り込んでくるのかと、緊張した。だが、皆何事もないように降りていく。ただタラップを降りて、バスでターミナルに向かった。

ターミナルに着いても、何の検疫もなかった。そのまま入国審査の前まで来たが、私が先頭を歩いており、前には一人の乗客もいなかったので、本当に驚いてしまった。そしていつもは長い列が出来ている外国パスポートの審査場にも、ただの一人もおらず、係員が欠伸をしていたおり、我々を見て急に動き出した。

いきなり入国審査台にパスポートを差し出す。これまでの渡航歴など、色々と聞かれると覚悟していると、係官は一言、『ウエルカム』と言って、スタンプを押した。恐らくタイ入国でウエルカムと言われたのは長い歴史の中で初めてだろう。勿論サーモグラフィーで検温はしていただろうが、結局何のチェックもなく、外へ出てしまって、完全に拍子抜けだった。

因みに荷物受け取りのターテーブル付近にも乗客の姿は殆どなかった。到着便の案内は沢山出ているのに、なぜ人がいないのか。他国から来た便は、どこか別の場所に隔離されているのだろうか。いずれにしても、ここまで人がいないスワナンプームを見たことはなく、正直怖くなってしまった。

タクシーに乗るのも何なので、地下まで行き、エアポートリンクに乗る。いつもは乗客で混んでいるチケット売り場にも人影がない。もうゴーストタウン状態だった。ホームに行くと、多少乗客がいて、ホッとする自分がいた。この時期でも白人旅行者が乗り込んでいるのには驚くが、立場的には私と同じで、東南アジアを回っているのだろうか。

MRTの乗客は若干少ない程度だったが、マスク率はかなり上がっていた。駅から宿まではバイタクに乗った。バイタクは濃厚接触とか、言われないのだろうか。そろそろ何でも気になってくる。それはやはりSARSを経験しているからだろうか。あの時は香港で2か月閉じ込められたから、印象は鮮明だ。とにかく人と接触しないことを叩きこまれたものだ。ただまだタイでは感染者も多くはなく、そこまで神経質になる必要は無さそうだ。

これから考えなければならないことがいくつかあった。3月5日に北京経由で東京に戻るフライトが予約されていたので、まずはこの便には乗らないことを決めた。今や中国経由で帰国したら、最悪隔離措置だ(日本はなぜか中国からの入国者を隔離していないが)。そして東京に戻るべきか、バンコックに残るべきか、はたまた第三国へ行くべきか、真剣に考え始める。

台湾からは『こっちの方が安全だから早く来たら』と言ってもらったが、茶の歴史関連の資料が東京にあるので、東京に取りに行く必要があり、台湾に直行できないので、現実的な選択肢ではなかった。何より日本への懸念が強まっている。各国は今後日本からの入国を制限されるだろう。そうなると旅をする者としては活動を大幅に制限されてしまうので、最も好ましくない。取り敢えずタイに留まって様子を見ることにした。

そうなると、3月に東京付近で予定されていたいくつかの講座を取り止めねばならない。既に1件は主催者よりキャンセルの連絡があったが、他の2つはやる気満々のようだ。残りの一つは自分が主催なので、早々に取りやめを通知する。やる気の2つも最後は『帰国しないので』と言って、こちらから中止してもらった。既に相当厳しい状況に陥っている海外をよそに、日本だけが別世界かな、と感じた瞬間であった。

更には、フライトのキャンセルなどを考慮し始める。エアチャイナは当然フライトキャンセルになる可能性があり、そのまま放置することにした。その方がキャンセル返還料をもらえそうだったからだ。その次に3月の台北行きをキャンセルする必要があったが、これも特典航空券だったので、そのままにしておいた。

更に台北からすぐに四川省成都へ行く便を押さえており、これはCtripで予約したので、キャンセルしようとしたが、何と中国の電話番号にパスワードが送られてくるというので、困ってしまった。ところが運のよいことに、いつも使っている中国シムカードも持参しており、何とかパスワードを取得してキャンセルに漕ぎつけた。返金は2週間後にアリペイに全額入金された。成都のホテルはすぐにキャンセルができ、即金でアリペイに返金された。やはりキャッシュレスの世界では、中国の方が便利だ。

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