ある日の台北日記2019その3(16)チョコイベントへ

11月17日(日)
茶展からチョコイベントへ

今日はゆっくり起きて、また茶展に向かう。まだ挨拶していない茶業者も沢山いるので、この機会に纏めてご無沙汰を詫びる所存だった。日曜日なので人出は多いが、業界人は来ない日なので、余り直接的な商売にはならないらしい。どちらかというと一般人向け宣伝の日という位置付けかもしれない。

 

人だかりができているブースに行ってみると、Aさんたちが手もみの実演をしていた。その横では、以前お世話になったNさんたちが和服でお茶を点て接客に忙しい。こういうブースは非常に分かりやすくて人が集まる。その場で茶葉の販売もしており、日本茶普及への貢献度は高い。

 

少し離れた所に行くと、陽光茶園のブースが見えた。ふと覗くと楊さんもやはり来ていた。既に98歳だが、先日の南投茶博にも姿を見せており、霧社からここまでやってくる体力はすごい。魚池の李さんを見つけ、そこでお茶を飲んで休む。新しい茶工場もできたというので、次回は是非訪ねてみたい。三峡谷芳のブースも久しぶり。なぜかスペイン人の若者がここの緑茶に興味を持ち、あれこれ聞いている。

 

折角なので、横の食べ物コーナーも一通り見学する。食品卸しのブースが多いせいか、その場で食べられる場所は多くはない。私はいくつかサンプル品をつまんで腹が一杯になってきた。台湾には美味い物が一杯ある。更には反対側の酒コーナーもふらつく。酒を飲まない私には無縁の場所だが、お茶コーナーより多くの人が試飲などをしている。コンパニオンが酒を勧めるなど華やかさがある。日本酒のブースも人気だ。

 

確か夕方、知り合いが来るとか言っていたので待とうかと思っていると、葉さんが『今からチョコレートイベントに行かないか』という。茶展にも飽きてきたので、その誘いに乗ると、会場は市政府近くの百貨店であり、地下鉄で移動した。特設会場に着くと大勢の観衆がいた。そして驚いたのは、葉さんの茶葉をチョコレートやドリンクに混ぜて使っていたシェフは日本人だったのだ。

 

お茶とチョコのコラボ。そして台湾特産品とのコラボ、いわゆるペアリングだが、これを日本人シェフがアレンジして、台湾で提供するのは、実に面白い。実際には銀座の店で提供が始まっているらしい。非常に工夫されており、多彩で観客ウケもよい。お茶の扱い方を見直す時期が来ていることを感じさせる。

 

11月18日(月)
南港の茶農家へ

茶展最終日。昨日途中で抜けてしまったので、今日も行こうと地下鉄に乗る。鹿谷からUさんが出てきており、南港で待ち合わせることになっていた。ちょうど2年前Uさんと南港の茶農家に行ったのだが、彼は今日もそこへ行くというのでバスの時間を確認していた。ところが今日は大雨だった。

 

Uさんのお義父さんが車で送ってくれるというので、南港茶展に寄らず、駅で拾ってもらい、そのまま茶農家へ直行した。ここはいつ来ても懐かしさを感じさせる場所だった。そして素朴な農家が、昔ながらの茶作りをしているのが、何とも好ましい。数種類の包種茶を並べて試飲していると、その発酵度も若干高く、心地よい。ほぼ今年の茶は作り終えており、常連さんがどんどん買って行ってしまう。

 

奥さんは茶摘みのプロ(ご本人は長年やっているだけと言っているが)であり、全国茶摘みコンテストで準優勝するなど、その実力を発揮している。今や茶の摘み手不足が深刻化する中、貴重な存在だ。果たしてこの茶農家、いつまで続くのだろうか。台北市内から車であっという間なのに、この山の中。環境的にも面白い。

 

一度宿泊先に帰り、夜はTさん主催の浙江の会に参加させてもらった。先日は四川の会だったが、Tさんは昔から会を作って人を集めるのが得意なのだ。今晩も6人で杭州料理を食べた。奥さんが浙江人という方が中心だが、近々江蘇との合同会に発展するとか。台湾にも中国関係者が増えているということだろう。

 

今回の台北滞在1か月半も無事に終了した。茶の歴史はいくらでも広がっていくが、調べることの限界も見えてきている。そしてその広がりは台湾に留まらず、中国、そして東南アジアへと繋がっている。来年は少し台湾滞在が減り、東南アジアシフト及び中国への本格調査が始まるのかもしれない。

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