ある日の台北日記2019その2(7)お茶の歴史調査で

4月21日(日)
本屋へ

茶の歴史調査、ここのところヒアリング調査が主になっていたが、やはり資料との睨めっこも必要だと思い、偶には本屋に足を運ぶ。図書館では色々な資料を見てきたが、出来れば手元に置きたい本もある。最近出た雑誌にも興味深いものがある。なぜか南京路の方に出向いていく。

 

この辺に本屋があったな、という辺りに来てみる。よく見ると何とそこはフランス語専門書店?ちょっとおしゃれだなと気になっていたがよく見ずに失敗した。そこには入らず(入っても読めない)、歩き出すとオシャレな出版社?が見える。中に入るとレストランになっており、大勢が食事をしていた。

 

本を読みながら食事する、お茶を飲みながら本を読む、そんな空間のようだ。最近台北にはこんなところが増えている。2階には本の展示があるというので上がってみたが、何と硬派な政治家の本が並び政局が語られている。出版社も不況で、硬軟取り混ぜた様々なアイデアを出している。日本の出版社はどうなんだろう。本が売れないとただ嘆いても何の解決にもならない。

 

結局歩きに歩いて、誠品に行きつく。ここの売り場は広く、探そうとしていた茶関連の雑誌は、何と2冊も置かれている。台湾史コーナーも充実していて驚く。図書館で読んだ本も何冊かは販売されており、思わず購入してしまった。UCCのインタントコーヒーが1つ無料で付いてきた。

 

 

こんな近くに立派な書店があるとは気が付かなかった。これからは偶に顔を出してチェックしよう。そういえば中高生の頃は本屋に行くのが楽しみだったことを急に思い出す。台湾の書店は、若者が通路に座り込んで本を読んでいてもOK。買った本を隣のカフェで読んでいる人もおり、何となく楽しそうだ。そういえば誠品は東京に進出するらしい。本屋もあるのだろうか。

 

一度家に帰って、夕方またバスに乗り出掛けた。先日突然30年来のお知り合いであるTさんから連絡があった。ずっと北京にいると思っていたのだが、何と台北に来たらしい。しかもこれからはここに駐在するという。早々宿泊先のホテルを訪ね、久々の再会を果たす。実はこの界隈は、私が30年前に住んだ場所だが、殆ど変わっており、店もよくわからない。

 

Tさんはスタスタと歩きだし、一軒の日本食屋に入った。東京でも有名なうなぎ屋らしい。こういう店が、フラッとあるのが今の台北だろう。店員の案内も待たずに空いた席に着く。店員がちょっと困った顔をする。Tさんはまだ何となく、中国大陸的振る舞いが抜けていないようだ。それは私も十分に分かるのだが、これで北方の普通話を話せば、台湾で嫌がられる可能性もあるので、そのことだけは伝えておいた。今の空気感、北京と台北ではかなりの差があるだろう。あなご丼は美味しかった。これからはTさんが台北にいるので楽しみだ。

 

4月23日(火)
製茶公会へ

今日は製茶公会に黄顧問を訪ねることにしていた。その前にいつもの銀行で両替。順番を待っていると、前のお客が窓口で日本円への両替を申し出た。そして出てきた札を見て、『このお札、まだ使えるの。大丈夫?』と何度も聞いていた。係りの女性は『使えます!』ときっぱり答えていたが、私の番が来ると小声で『日本って、いつからお札新しくなるの?』と聞いてくる。

 

私は思わず、『心配ご無用、確か2024年からだから』と答えると、そこにいた全員が唖然とした表情を浮かべ、『なんでそんなに時間がかかるの?』と聞かれても、『それは日本だからさ』としか答えようがなかった。余りのスピード感のなさに驚く、というか、なぜこのタイミングで5年先のことを発表するのか確かに理解に苦しむ。

 

昼過ぎに公会近くまで行き、久々に客家料理屋に入る。やはりここのホルモン系はいつ食べてもおいしい。肉はささみやヒレではなく、脂身や皮、そして内臓系がうまいと思う。でも我が家では私は完全少数派であり、台湾などで一人楽しむしか仕方がない。本当にうまいものとはなにか、を考える。

 

公会では黄顧問と総幹事がいつものように、色々と教えてくれた。黄さんは理事長として、林復氏と一緒に活動したこともあり、勿論呉振鐸氏とは常に顔を合わせていた。林馥泉氏、林復氏は共に製茶公会の総幹事を長く勤めているが、残念ながらその資料はさほど残ってはいないらしい。

 

理事長は注目されるが、縁の下の力持ちで、実質的に会を取り仕切る総幹事については、書き残されていない(自分で書くわけにもいかない)のが実情だ。ただ両氏には文才があり、公会の雑誌にはかなりの文章を寄せていることが後で分かった。ただこれとて、本人の履歴を知る手掛かりとはなっても、決定打にはなり難い。資料集めは苦労が絶えない。

 

帰りに中山の誠品に寄ってみた。本は先日見たので、地下に降りると、きれいなフードコートがあった。日本食店も見られ、私はなぜか讃岐うどんに引きずられた。急に食べたくなるのだ、うどんは。温泉卵入り豚肉うどん、美味し!丸亀製麺は時々食べるけど、こっちの方が美味しいかな。時間が早かったから席があったけど、夕飯時なら座れないかもしれない。何となく幸せに一日が終わる。

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