ある日の台北日記2019その1(11)既成概念を取り払いたい

1月27日(日)
いつもの店で

今日はそろそろ米が食べたくなり、いつもの食堂に行く。そしていつもと同じものを頼もうとしたが、店に掛かっているメニューを見て驚く。これまでバラバラに単品を注文していたのだが、何と定食があるではないか。今回は定食を頼んでみる。だがなぜか別に野菜も頼んでしまい、定食と野菜がダブる。

 

今回分かったことは、兎に角台湾には定食の概念があるのだから、一人で食べるなら、定食があるかどうか、または出来るかどうかを確認すべきだということ。単品注文よりかなり安くなる上、量的にもちょうどよくなるはずだ。それが食べ過ぎ注意にも有効に働き、一石二鳥は間違えない。

 

台北生活にもかなり慣れてしまい、ルーティン化してしまっているという自覚がある。まだまだ知らないことだらけだから、もう少しチャレンジしてみる必要があると痛感する。今回はあと僅かで台北を去るし、旧正月が近いのであまり冒険は出来ないが、次に来訪時には今より大胆になろう。

 

1月28日(月)
サッカー

今日は明日のセミナーの準備をしていた。これまで台湾茶については、台湾紅茶、包種茶というように、各茶の歴史について調べたことをお話してきたが、明日は『台湾茶と日本の繋がり』がテーマだから、その一部を抜き出し、再構成する必要がある。しかも話の時間は僅か30分。一つのお茶について、90-120分話すことに慣れている者にとって、これは試練に違いない。コンテンツは豊富にあるが、何を伝えるかは意外と難しい。

 

そんなことをしていると、時間はどんどん経ってしまう。夜も更けてきた。気分転換にサッカーを見ることにする。UAEで行われているサッカーのアジアカップ。日本はここまで苦戦しながら何とか勝ち上がってきたという印象があったが、準決勝の相手は、アジア最強のイラン。ただずっとアジアサッカーをけん引してきたイランなのに、アジアカップ優勝は1976年を最後にない。しかも決勝にすら進んでいない。これは面白いデータだった。

 

まあ、難しい試合になるだろうと思って見ていたが、前半を互角に渡り合うと、何と後半、一瞬のスキを突いて半端ない大迫が先制する。そしてイランのリズムが崩れたところで、追加点を奪い、快勝してしまった。日本代表の試合で久々にスカッとするゲームだった。一瞬のスキ、これをモノにできるかどうかが勝敗の分かれ目だった。これはサッカー以外にも言えることだが、今の日本にはこのようなチャンスを生かせる雰囲気がないように思う。海外組はその辺が鍛えられているのだろうか。

 

1月29日(火)
セミナー

今日も引き続き、セミナー準備に追われる。短く伝えるべきものだけを伝えることは本当に難しい。しかも台湾に詳しい方々ばかりだとは思うが、茶に詳しい方はいないだろうから、余計に伝え方を考えなければならない。言い方を誤ると、妙な誤解を生み、炎上しかねない。

 

あっという間に日が暮れる。MRTで会場に向かう。会場はニニ八公園の向こう側だ。その場所から交差点を眺めて驚いた。ここは日本時代に辻利茶舗があったと言われている場所だろうか。勿論建物の前へ行ってもそのような表示はないのだが、今はスタバになっており、レトロな茶空間を演出しているように見えた。またこの周辺には、陸羽茶芸などもあり、老舗茶荘も目に入ってくる。突然日本時代に隆盛を極めた茶業が眼前に現れた感覚になる。

 

今晩は、お知り合いのTさんが最近発起した新しいロータリークラブでお話しした。もう年末も年末で、しかも正式会合でもないとのこと、一種の忘年会に呼んで頂いたようだ。会場も老舗上海料理屋さん。何となく懐かしい料理と新しい料理が並んでいる。会員もTさんのクラブとそれ以外の台北にある日本語ロータリークラブから、日本人と台湾人、20人近くが集まっていて、ちょっと緊張。

 

私はこれまで何度か言ってきたことがあった。『台湾紅茶の守護者として近年新井耕吉郎氏が顕彰されており、それは茶業界にとっては悪いことではないが、最後の紅茶支所長が顕彰されるのであれば、日本時代初期に苦労して茶業試験場を作った初代場長も顕彰すべきだろう』と。そしてこの2年間調べた、生家にも行った藤江勝太郎についても触れた。

 

三井の日東紅茶ももっとクローズアップされるべきだろう。1970年代の台湾煎茶の大量輸出、そして日本茶とのブレンドなどについても、静岡は沈黙したままだ。もう歴史なのだから、きちんと歴史を残した方がよい。ちょうど静岡の方もいたが、そんな歴史、誰も知らないのだ。それでよいのか。そんな話をした。中には関心を持って頂いた方もいたようで、今後色々と繋がっていくことに期待したい。

 

そして翌日、もう年末でこれ以上の活動は難しくなったので、松山空港から東京へ向かった。エバ航空で東京に向かい人も、何となくいつもより日本人観光客が多かった。機内安全ビデオが、とても斬新なダンスパフォーマンスになっていて驚いた。クリスハートの音楽でぐっすり寝入る。

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