ある日の台北日記2019その1(10)見るものから考えさせられる

1月25日(金)
国家電影中心で

疲れが溜まってきたが、腹もかなり溜まっているように思えた。食べ過ぎは体調を崩す。ということで、本日午前中は部屋で大人しくして、食べないことにした。だが、一度大きくなった胃袋を急に小さくすることは出来ない。腹は減ってしまうのだ。午後1時過ぎ、我慢できずに、近所に麺を食べに行く。

 

牛肉麺はちょっと重たいと思い、今日は牛肉湯肉糸麺を注文してみる。まあ、これは牛肉の代わりに豚肉の細切り?が入っていると思えばよいのだが、スープはしっかり味わえ、刀削麺も同じで料金は牛肉麺の3分の2で済むので、とてもお得だと分かる。貧乏な私は今後の通常食としてこれを活用しよう。

 

午後もゆっくりと資料整理などして過ごす。元々は出掛ける予定はなかったが、先日会った黄さんから、『黄さん製作のショートフィルム試写会』のお知らせをもらったので、気分転換に出掛けてみる。場所は導善寺駅の近く。駅を出て会場に向かうが、やはり?腹が減って来た。既に午後7時を過ぎており、これから試写会を見終わると9時は過ぎてしまうだろう。

 

目の前にあった、マクドナルドに足が向いてしまう。店内には注文できる機械がデーンと置かれている。私も試してみたかったが、決済などがよく分からなかったので、カウンターに進んでしまう。ハンバーガーセットを注文すると飲み物を聞かれる。咄嗟に温かい紅茶と口から出てくる。マックで紅茶なんて頼んだことない。出てきたのはデリマのティーバッグ。これは喜ぶべきことだろうか。まあ、台湾紅茶は出てこないだろうな。

 

今回の会場は国家電影中心。台湾映画を中心に沢山のDVDや資料が所蔵されており、会員になれば、借りてみることもできるらしい。映画好きなら、一度は行って見るのも面白い。その奥に立派なシアターがあり、既に多くの人が集まっていた。私は一番後ろに座って、事の成り行きを眺める。

 

黄さんが昨年まで、3回位中国新疆に行っていたのは聞いていた。鉄道オタクである彼は、新疆のSLを映像に残していた。そしてもうすぐ終焉を迎える鉄道とそこに生きる人々のストーリーを朴訥な感じに仕上げていた。正直こんな立派なものを作っているとは全く知らず、大いに驚く。

 

試写会に来ていたのは、一緒に新疆に行った彼の仲間が中心だ。鉄道好きが多く、色々な感想が聞かれたが、『最近は中国当局の監視が厳しく、新疆に行くことが出来ない』との不満の声が多く聞かれた。そのショートフィルムにはウイグル族はほとんど出てこないし、物語の主体は新中国後に、東北地方から移住した漢族だった。それでも『台湾人が今新疆に行けば、どんな疑いをかけられるか分からない』『取材先に迷惑はかけられない』など、ここでも中台関係が頭をもたげていた。

 

映像では夜走っている汽車が素晴らしくきれいに映し出されていたが、その汽笛はどこかすすり泣いているようにも聞こえた。私ももう数年、新疆には行けていない。ウイグル人との交流が難しいからだ。私や台湾人が気楽に新疆に行ける日はいつになったら来るのだろうか。

 

1月26日(土)
テニスと相撲

相変わらず涼しい日が続いている。週末は原則遠出しないので、今日もゆっくりと原稿を書いていた。ただうまく書けないことが多く、それがストレスとなり、また食欲が出てしまう。寒いからお茶を飲む量が増えることも一因かもしれない。何となく悪循環に陥っていると感じる。

 

昼を過ぎるとやはり腹が減る。とにかく米を食べるのは控えようと思い、今日は近所に鍋焼麺を食べに行く。ここの鍋焼麺は、蝦や魚介類を多く使い、出汁が取れていて美味しい。麺も揚げ麺を頼むと、とてもいい感じにスープを吸い込んでいる。接客も丁寧で好感が持てる。熱々のスープが体に沁みる。

 

夕方、テレビを点けると、大相撲中継があった。ここ台湾でもNHKを通して、相撲を見ている人が結構いる。先日の王さんなどは、昨年11月に初めて会った時に開口一番『稀勢の里、大丈夫かね?』と心配していたほどだった。台湾人にとっても相撲は日本を感じさせる特別なスポーツだろう。だが最近は不祥事が相次ぎ、横綱・大関の休場も相次いでいる。ある種の職場放棄ではないか、と思わせる時すらある。今場所も関脇が優勝を争い、アナウンサーは新しい勢力を待望しているが、こういう興行をずっと見ているのは正直辛い。

 

同時刻に全豪オープンの女子シングルス決勝も行われている。大阪なおみが順調に勝ち上がり、決勝でも勝って見事に優勝した。世界ランクも1位になるらしい。元々パワーのある選手だったが、急にこんなに正確なショットを打てるようになるのだろうか、と思うほどに成長しており、これなら現時点の世界ナンバーワンも頷ける内容だった。

 

久しぶりの日本出身横綱である稀勢の里の引退、そしてアメリカ育ちの日本人大阪なおみの世界ランク一位、世の中は急激に変化しているのだが、日本国内ではなぜか『日本人への拘り』『誰が日本人か論争』などが聞こえてきて、驚いてしまう。二重国籍も大いに結構だと思うのだが、なぜそんなに出自に拘るのだろうか。大関高安や小結御嶽海も母親はフィリピン人だと言うが、大相撲の世界もどんどん多様化してくるだろうに。

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