ある日の台北日記2018その3(11)南港茶展始まる

11月16日(金)
茶展始まる

本日より年に一度の台北茶展が南港で始まる。私は一昨年に一日だけ見学したことがあるが、今回は折角台北にいるので、がっつり見て回ろうとちょっと張り切る。初日の朝、茶葉アイスで出店する葉さん夫妻と共に8時台に家を出て、9時過ぎには南港展示場についてしまう。葉さん達は出店準備で忙しいので、私は一人、開場前のブースを見て回った。

 

10時に開場すると多くの人が飛び込んできた。平日だが、それなりに来場者はいるのだ。葉さんのアイスは無料で配られるので、すぐに行列ができ、皆が旨そうにアイスをパクつき始めた。彼らは食べている人々に話し掛け、アンケートを取り、今後の商品づくりに生かそうと懸命だ。普段は企業間取引しかしていない彼らにとって、この場は貴重な機会なのだと分かる。花蓮から手伝いに来た甥っ子がアイス配りで活躍している。

 

トミーから連絡が入った。開幕式は4階で行われるというので、一応皆で行って見ると、そこには、茶業改良場、台湾農林など見知った顔が沢山あった。この開幕式で最初に挨拶したのが製茶公会の陳理事長。実はこの展覧会は製茶公会が主催だと初めて知る。合わせてコーヒー、酒展も行われており、合同開幕式にはヨーロッパや南米の駐在大使なども出席しており、お茶だけの会より、かなり華やかだ。日本からは交流協会の人が参加していたが、残念ながら日本の影は薄かった。

 

台湾がこれまでどんな外交を行ってきたのか、確かに国交を結んでいる国は減少しているが、国交だけが交流ではない、ということをこの会では見せられた思いがする。コーヒーや酒を通じて、商売を通じて繋がっていく、それは双方にとっていい関係とも言え、単に経済支援を一方的に受けるのはちょっと違うように感じる。それでも色々と問題はあるのだろうが、何となく皆楽しそうなのが良い。

 

1階に戻り、トミー達とブースを一軒ずつ回り始める。これまで高山茶、包種茶、紅茶、緑茶などの茶旅でお世話になった人々が沢山出店しており、旧交を温める。トミー達と一緒だと、更に知り合いの輪も広がっていき、楽しく過ごせるのは良い。基本的に私はお茶を飲んだり、買ったりする人ではなく、茶の歴史を学ぶ人だから、お茶屋さんにとっては、不必要な人間、特にこのような場ではそう思われるに違いないので。

 

中には珍しいお茶屋もあった。煎じた茶を独特の器に入れて、茶筅でかき回してお茶を点てている。これは伝統的な茶を淹れる手法なのだろうか。興味は惹かれるが、歴史的にはよく分からない。茶業改良場と共同して製茶機械を開発した会社はその展示を行っていた。品質を落とさず、人力を機械に替えられれば、非常にいい話だ。

 

日本からも、茶道具を売る店が来ていた。今や日本の茶道具は台湾でも人気ではあるが、どれだけの人が関心を持って、実際に買っただろうか。京都からは、職人さんもやってきて、匠の技を実演しているところもあった。こういうのは、言葉を介さなくても、何となく見ていれば分かる部分もあるのでよいが、やっている方は大変だろう。

 

 

午後はちょっと4階のコーヒーの方を見学する。こちらは茶展の3倍以上の面積を使っており、規模が大きい。そして若い人が多く、ブースに立っている。来場者の数も圧倒的にこちらに集まっており、それも若者が多いように感じた。コーヒーブーム、その勢いをまざまざと感じさせられた。しかもコーヒーブースの種類も豊富でユニーク。お茶にはやはり華やかさがないな、と勝手に思ってしまう。

 

夕方、知り合いのYさんが会場に来たというので、合流する。彼女は中国語が出来ないが、ちゃんと日本語のできる台湾男子を確保して、自分の好きなブースを歩き回っていた。この台湾男子は、有機栽培などに相当のこだわりがあり、それを売り物している店を歩いては、色々と質問を重ねている。とても熱心でよいとは思うのだが、どうも私は『有機』『オーガニック』への過度なこだわりにはついて行けない。いずれこの方面は市場が崩壊する?いや茶業全体が衰退か。

 

夜は製茶公会が開いた宴会に出席する。トミーの車で南港から中山北路に向かったが、さすがの大渋滞で、茶展参加者は軒並み遅れる。その中で、地下鉄で来た人々が早くも、ビールを飲み盛り上がっていた。日本からも輸出協会に人々が参加、このような関係が続くことは悪くない。久しぶりの北京ダックも美味しく頂く。今日は偶然にも陳理事長の誕生日で、ケーキも運ばれ、また盛り上がる。台湾茶業関係者ともお近づきになれ、有り難い宴席となった。

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