ある日の台北日記2018その2(5)魚池から霧社へ

9月16日(日)
魚池で

今朝は早く起きた。久しぶりに古巣の魚池付近へ行くためだ。7時発のバスで台北を出発、日曜日で混んでいるかと思っていたが、非常に順調で3時間もかからずに埔里に入ってしまった。元々は日月潭へ行く予定だったのだが、何とこのバスは日月潭に何時に着くのか責任は持てないというので、全員がここで降りた。

 

何故今日はバスがそんなに時間が掛かるのか。それは昨夜李さんからの連絡で分かっていた。1年に一度の『日月潭万人水泳大会』が今朝から開催されており、交通規制が敷かれてしまっていたからだった。日月潭に行く道は一方通行となり、バスの終点までは湖を一周しないといけないのだ。当然大渋滞になっており、何時着くかは分からない、という話になる。

 

相当早く着いたこともあり、すぐに代わりのバスを探さないで、様子を見ることにした。埔里には行き付けの朝ご飯屋さんがあるので、そこでクラブサンドを食べて待った。店の人には私が台北に移ったことは伝えておらず、いつもの笑顔対応だったので、今回も言いそびれた。

 

今日は李さんに魚池を案内してもらおうと思っていた。日月潭には知り合いが泊まっていたのだが、迎えに行くことは出来ず、まず私がどこまで行けるのかを試してみる。結局埔里発のバスは魚池までしか行かないと分かり、それに乗って進む。魚池で降りると、李さんが迎えに来て、老茶廠まで行って、そこで日月潭から脱出する知り合いを待った。何とか落ち合い、まずは昼ご飯を食べに行く。地元の人が沢山食べているレストランがあった。鴨肉も、イカと野菜の炒め物も、そして地元のタケノコも、美味しいのだ。田舎を侮ってはいけない。いいものを食べている人が沢山いる。

 

李さんは知り合いの黄さんがもうすぐオープンするというカフェ?に連れて行ってくれた。これがまた、レトロ感あり、現代感もある不思議な空間だった。そこでまったりとお茶を頂く。紅茶は勿論、李さんが持ってきた高山茶などいくつもの茶を飲んでいると、もう動く気がなくなってしまう。それから茶作りをしている家があるというのでちょっとだけ寄って見学した。

 

夕方、本日宿泊予定の宿まで李さんに送ってもらった。そこは何とも可愛いペンション、という雰囲気だった。建物の中もゆったりしており、気持ちがよい。ただ茶葉は売っているものの、その名前とは違って茶作りは行っていなかった。暗くなる前に周辺を散歩した。小さな村で、付近に茶畑はない。ゆったりと家々があり、宿泊施設やお茶屋さんがあった。特に地図も持たなかったので曲がりくねった道を行くのはどうかと思ったが、無事に一周して宿に戻った。公道からも外れている落ち着きのある集落だった。

 

夜はまた李さんが迎えに来てくれ、先ほどの黄さんのカフェで夕飯をご馳走になった。この辺では行列ができる店でわざわざ買ってきてくれたという、蝦や肉、野菜などが揚げられているものが出され、恐縮しながら食べた。かなりのボリュームがあり、すぐに満腹になる。それからまたお茶を飲み始め、かなり遅くまで飲み続けた。

 

9月17日(月)
霧社へ

気持ちよい朝を迎え、周囲を散歩する。鳥の鳴き声がいいが、天気が良すぎて気温はぐんぐん上昇し、歩いているうちに暑さを感じるほどになる。朝飯は宿が用意してくれる。トーストや卵の洋食だが、お茶はミルクティーが出る。さすが紅茶の産地だけのことはあるが、台湾紅茶はあまりミルクを入れないので、ちょっと意外。

 

トミーが車で迎えに来た。今日はこれから霧社、廬山温泉の高山茶の歴史を訪ねに行く。ここからなら車で1時間半もかからないからちょうどよい。廬山温泉に降りる手前の道路脇で停まり、そこの原住民、セデック族の農家と話す。彼が天仁銘茶と初めて契約して茶栽培を始めたのだ。1980年頃のことだったが、一時は凄い勢いで生産が伸びた高山茶も最近はより高い場所の茶畑に移動して、彼は高原野菜栽培に切り替えていた。

 

廬山温泉で長く、茶を作り、販売している店にも寄った。廬山温泉は最盛期、相当の賑わいを見せており、その時期は茶も飛ぶように売れたらしい。ただ近年の洪水、地震などで、政府から温泉閉鎖が言い渡され、多くが廃業、いくらか残った温泉宿もお客は少ない。それでも息子がここを継いだから、まだ店を開いているという。何となく寂しい。

 

霧社に行き、霧社事件関連の場所をいくつか見学した。日本人はやはりここへきて、考えるべきではなかろうか。帰る前に公道に面している陽光茶園という店に寄る。ここはトミーが小さい頃からの知り合いだという。97歳、武漢出身の陽さんが自らお茶を淹れてくれたのには驚いた。1985年ぐらいから、茶作りを始め、現在も子に引き継がれている。何だかお茶が美味しかった。

 

埔里まで降りてきて時間があったので、東邦紅茶の郭さんを久しぶりに訪ねた。埔里滞在中は何度も来た場所だが、今後は気楽に来られないので、貴重な機会となる。郭さんの紅茶作りの技術は日増しに上がっているようで、好ましい。トミーに台中駅まで送ってもらい、高鐵で桃園まで行き、桃園空港まで深夜便の客人を送る。

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