ある日の埔里日記2017その5(7)大稲埕散歩

夜は宿泊先へ戻り、隣の葉さんの家で夕飯をご馳走になる。タイ料理のデリバリー、折角台湾に来たS君にはどうか分らないが、私とUさんには有り難いチョイスだった。久々にタイカレーを食べて満足する。台湾もデリバリービジネスが飛躍的に伸びており、電話一本、いやネット注文で、何でも運ばれてくるようだ。有り難いことだ。

 

夕飯後、台湾の珍しいお茶を並べた品茶会が始まる。葉さん夫妻はお茶全般への興味と業務上から、実に様々な茶を集めており、初台湾のS君のために何種類も淹れてくれた。このダイニングは品茶が出来るような高さになっている。勿論料理教室などにも使える台だ。面白い。お茶も台湾最南端の港口茶から、蜜香紅茶、緑茶など、あまりお目に掛かれない台湾茶が続出。夜更けまで茶を飲み続けることになる。

 

更には葉さん夫妻の現在作っている茶葉入りアイスクリームの試食まで行った。本当に茶葉を混ぜ込んでおり、全部で12種類もある。抹茶や緑茶などお馴染みのモノもあれば、鉄観音や紅玉などの品種モノもあり、食べてみると微かにその品種の味がするという趣向だ。しかも甘さは相当控えめ。これは日本に持っていっても、少なくともお茶好きにはウケるのではないだろうか。台湾では観光地の日月潭などで、既に順調に売り上げを伸ばしているという。

 

10月28日(土)
大稲埕へ

翌朝は台北を離れる前にS君と大稲埕へ行ってみる。S君は昼からUさんと一緒に南投の鹿谷へ行くことになっていた。私は埔里へ帰る。その前に、ここ数日話に出ていた昔の輸出拠点、大稲埕を歩いて見る。MRTで双連駅まで行き、そこから歩きだす。途中にお粥の屋台があったので朝ご飯を食べる。お粥というより、昨日のスープの残りに米を入れたおじやかな。出汁が効いており、何だかとても懐かしい味がした。

 

それから有記茶荘に行く。まだ午前9時過ぎだったが、店主の王さんは既に店にいて、中の焙煎室を見せてもらった。焙煎は行われていなかったが、ほのかに残る茶の香りがいい。大稲埕の茶の輸出、その往時を偲ぶものはもうほとんどないが、ここに微かな残影があった。焙煎包種茶を淹れてもらうと、昨日、一昨日とはまた違った味わいがある。王さんとS君、ほぼ同じ世代の若者たちは、茶業をどうしていくだろうか。

 

それから大稲埕の門まで行ってみる。もうあまり時間が無いので、川を見ることはなく、そこから李春生の教会の脇を抜け、観光客向けの道を少し歩いた。今日は天気があまりよくない。そして最後に林茂森へ行く。ここは林華泰の分家だというがやけにきれいな店になっていた。ここも代替わりし、若者が経営しているという。観光客が大きな缶に入った茶葉を選んでいた。雰囲気は以前と様変わりだ。

 

その店の番頭さんに教わり、ちょっと北に歩くとMRTの駅があった。台北にはいつの間にか駅はどんどんできており、私の頭では追い付かない。ただその路線はちょっと遠回りになっており、私は途中の台北駅でS君と別れ、一人部屋に戻った。S君は指定された駅まで乗って行ったが、Uさんとの待ち合わせに遅れてしまったようで、申し訳ない。

 

荷物を持ちだして台北バスターミナルへ戻る。午後2時のバスは空いていた。そのままバスで眠っていると、もうすぐ埔里というところまで来ていた。やはり結構疲れてしまったようだ。若者と一緒に行動していると、自分がもう若くないことを改めて実感してしまうは悲しい。

 

疲れが出ている時に食べる物、それはニンニクの効いたこってり排骨スープと魯肉飯。これを食べると本当に体がポカポカ温まり、気力が湧いてくる。昼ご飯が何となくなく食べられなかったこともあり、凄い勢いで平らげてしまった。まだ10月末だというのに、何となく涼しい埔里であった。

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