ある日の埔里日記その3(12)千客万来

5月27日(土)
Mさんがやってきた

埔里のゲストハウスにYさんに連れられて泊まりに来たのは昨年の5月。その時、お手伝いをしていたのがMさんだった。何となくMさんの話を聞いているときわめて個性的な女性で面白いなと思った。その後オーストラリアへ行っていると思っていたが、いつの間にか岡山に住んでいるらしい。そのMさんから連絡があり、埔里に数日滞在するという。

 

GHに会いに行ってみる。このGHの常連、Iさんという女性もいた。この人も個性的で、埔里によく来るらしいが、特にやることもないという。何となく3人で夕飯を食べに行くことになった。と言っても、埔里で一人ご飯以外は殆ど知らない私。Mさんの後ろをついていくだけだ。

 

埔里にもこぎれいな食堂があった。だがそこは何と満員で入れなかった。仕方なくその辺をふらつくと、ビヤホールかと思うようなレストランがあった。よくわからないが原住民が経営しているらしい。ちょっと興味を惹かれ、入ってみる。店の中ではギターの生演奏をやっている。原住民仲間の集まりなのかもしれない。生ビールを飲んでワイワイやっている。

 

オーナーは勿論国語は話すが英語もうまい。名物は牛肉麺だというので、頼んでみた。この麺はこしがあり、なかなかうまい。山豚肉の炒め物もうまい。原住民の中に日本人が3人紛れ込んだので、先方も興味津々。こちらも彼らの歌を聞きながら、興味津々。何だかもっと両者が出会える場があればよいのに、と勝手に思ってしまった。Mさんといると何かが起こる気がする。

 

5月28日(日)
茶酔いさんがやって来た

今年三回目の埔里滞在もあとわずかだが、ラストスパートとばかりに、お客さんが来る。今日は夕方茶酔いさんがバスでやって来た。彼は台湾茶好きの人で、年に数回茶を求めて台湾に来るという。こちらもMさんの宿泊するGHへ投宿。ここへ来た目的は李さんに会うためらしい。中国語が殆どできないのに、台湾の茶農家と交流する茶酔いさんのバイタリティには敬服する。

 

茶酔いさんが到着すると、李さんが魚池からすぐにやって来た。この2人の関係はよくわからないが、李さんは何とも親切な人である。今は茶農家だが、昔はコックだった人で、何とGHから歩いて3分のところに、昔のオーナーが店を出していると言って連れて行ってくれた。ここは海鮮料理と書かれているが、日曜日のせいか、お客が多く、席はない。だが李さんは事前に連絡していたのか、ちゃんと席が設けられる。

 

注文をさばききれずに少し待ったが、李さんは自ら厨房の方に出向いていき、焼き魚やイカ、貝などの料理がどんどん出てきた。埔里で海鮮なんて初めてだ。我々は酒を飲まないので黙々と食べた。そしてお茶の話はまた明日、と約束して別れる。茶酔いさんは魚池に行くつもりはなかったようだが、流れ上そうなる。

 

5月29日(月)
茶摘み見学

翌朝は7時半にGHに行き、茶酔いさんと朝ご飯を探す。すぐ近くに古びた食堂があり、米粉を食べさせるというので寄ってみる。米粉は埔里名物と言われているが、埔里の街で食べられるところは多くない。何とも不思議だ。周りの人でも米粉を食べている人は多くない。まあ確かにすごく旨いということはない。

 

李さんが迎えに来て、魚池に向かう。天気が良く、ちょうど茶摘みが始まった茶園に直行した。地元のおばさんたちが手摘みしている姿を写真に撮る。既に気温はかなり上がっており、茶摘みは辛い作業になっている。完全防備のおばさんたちが手に刃を付けて起用に摘んでいく。

 

それから李さんのお兄さんの家でお茶を飲む。ここにも2度ほどお邪魔しているのでもう慣れたものだ。李さんは作業があるので我々はここで待機している。少しすると李さんが摘まれた茶葉を運んできて、茶工場へ向かうというので同行する。彼は道路沿いの茶工場を借りていた。生葉を2階に上げ、すぐに萎凋槽に入れる。

 

ここは博物館にもなっており、台湾紅茶の初心者や観光客が訪れ、土産を買う場所となっている。ここのオーナーが最初に日月潭紅茶をブランド化したということらしい。古い製茶機械が展示され、日本時代以降の歴史が語られている(一部に誤りあり)。そして2階では製茶の実演が一部見られるという訳だ。

 

もう昼時だというので魚池の牛肉麺屋へ行く。埔里でもあまり牛肉麺を食べないので久しぶり。上品というは店の名前だろうか。その後、李さんが埔里まで送ってくれ、茶酔いさんはバスターミナルからバスに乗って台中の方へ去っていく。何とも慌ただしい旅だが、普通の人の旅はそんなものか。

 

夜はまたMさんと食事をした。先日満員だった店に行ってみると、今晩は空いている。かなり波があるのだろう。そこで色々と話していて、ふと思い出した。私も明後日埔里を離れるのだが、部屋にはゴミが残っており、ごみ収集車は今晩来るということを。これを逃してはまずい。取りものも取り敢えず、Mさんを残して走り出したが、何と無情にも収集車はエリーゼのために、の音楽を鳴らしながら去って行ってしまった。ボー然と立ち尽くすのみ。最近ボケが進んでいるようだ。

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