NHKテレビで中国語コラム『アジアの中華メシ』2015年1月号第10回『暑い国で食べる美味しい鍋』

我々日本人も大好きな鍋料理。中国でも昔から、北方では涮羊肉(羊しゃぶしゃぶ)など美味しい鍋料理がありました。これが日本に伝わり、しゃぶしゃぶのルーツになったとの説もありますね。その他、最近では「鴛鴦火鍋」と呼ばれる、白湯と麻辣の2種類のスープを1つの鍋の中で仕切って入れ、2つの味を楽しむ火鍋が大流行しています。

庶民が家族で鍋を囲んで食べる、如何にも中国的でいいですね。肉に野菜、豆腐や春雨が入り、キノコ類も人気ですね。ただ火鍋は年々豪華になってきており、以前はシンプルな羊肉だったものが、最近は肥牛(鍋用の薄切り牛肉)に高級牛肉を使ったり、北方でも伊勢海老やホタテなどをふんだんに入れる、高級料理に変身しているところもありました。中国の経済パワーが垣間 見られますね。

涮羊肉に使う鍋をシンガポールやマレーシア辺りではスティームボートと呼び、それが名物料理になっています。エビやカニなど海鮮を中心にふんだんに具材を入れて、あっさりしたスープで煮込む豪快な料理ですが、これなどは中国から伝播したものと言えるでしょう。暑い国なのになぜか食べたくなる、不思議な鍋ですね。

一方、タイでも今や国民食とまで言われるタイスキがあります。「タイ風すき焼き」の略かと思いましたが、日本のすき焼きとは違いますね。いつ頃から食べられ始めたのかタイ人に聞いても良く分かりませんが、中国の鍋をヒントに華人が1950年代に「スキ」と言う名前で売り出したという話があるそうです。スキと言う名は当時海外で流行っていた日本のすき焼きからとったとか。まあ実際のタイスキは、日本で言えば寄せ鍋が近いかもしれません。

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特にタレにニンニク、唐辛子などを入れるのが中国的でもあり、タイ的でもあります。シメに麺を入れるか、卵を落としておじやを作るか、というところが日本的で、この名が付いたのかもしれません。現在ではタイ全土にチェーン展開している店もあり、今やタイのどこでも手軽に食べられますね。

ラオスやタイ東北部の鍋としてユニークなのはムーカタでしょうか。こちらは「タイ風焼き肉」とも言われていますが、筆者はラオスの首都ビエンチャンで初めて食べました。食文化的にはタイ東北部とラオスは殆ほとんど一緒だということです。

ムーは豚肉、カタは浅い鍋という意味だとか。日本から入った、いや韓国が起源だ、などと言われているようですが、見ている限り中国の鍋から来たように思えるのですが、どうでしょうか。

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そのムーカタですが、真ん中が盛り上がった鍋を使い、その盛り上がった部分で肉を焼きます。そして鍋の縁沿いにスープを入れ、焼き肉の肉汁と融合させ、そこへ野菜や海鮮類などを入れて煮込みます。焼き肉+鍋ということでしょう。このムーカタ料理店はバンコクにも何軒もあり、料金も手ごろなビュッフェ形式が多いようでした。家族や友人同士で鍋を囲み、様さまざま々な食材を好きなだけ取り、楽しそうに食べる、暑い東南アジアですが、なぜか鍋が似合うのです。

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