NHKテレビで中国語コラム『アジアの中華メシ』2014年11月号第8回『日本式ラーメンと アジアの麺料理』

友人の中国人から「日本人は何であんなにラーメンが好きなんだ」と聞かれたことがあります。そばやうどんもあるのになぜと、どうしても理解できないようでした。本当の理由は定かではありませんが、麺やスープの種類、日本各地のご当地ラーメンを見ても、拘こだわり好きな日本人には格好の題材だったのかもしれません。そして今ではアジアの主要都市に日本式ラーメン店が列をなしており、日本食の象徴のように見られています。

ラーメンは勿論中国の発祥。名前の由来はいくつもあるようですが、筆者は「拉麺」だと思っています。中国語の“拉”は「引っ張る」ですよね。現在中国国内で有名な拉麺といえば、蘭州拉麺。現地に行くと確かにマジックショーのように麺を伸ばしていたりします。この麺、とてもこしがあって美味しいです。因ちなみに蘭州では拉麺は朝食べるものだそうで、「飲んだ後にラーメン」と夜行っても食べられません。実はアジア各地でも麺は朝食、というところが意外に多いようです。

日本ではラーメンは元々中華そばなどと呼ばれて華僑が持ち込み、中華街などで食されていました。ただアジアへは日本発の「インスタントラーメン」という形で出て行きましたね。便利で安くて美味しい、今やアジアのどこへ行ってもカップ麺、袋麺ともにある種の主食と化しているほど発達しています。

韓国でプデチゲという鍋を食べていたら、最後にインスタント麺を入れていました。プデとは部隊という意味のようです。香港では日本のインスタント麺の名称がメニューに載っており、その上に具をトッピングして提供されています。

マレーシアの屋台で汁麺を頼んだらインスタント麺か生麺か選べ、と言われたこともありました。箸を使わないモンゴルではフォークで食べられるように麺が短くなっています。

食べ物の屋台が所狭しと並ぶタイのバンコク。こちらでも様さまざま々な麺が食されていますが、比較的ラーメンに近いのはバミーと呼ばれる小麦卵麺でしょうか。日本のラーメンのように叉焼などを入れるものもありますが、魚のすり身団だん子ご や野菜、鴨かも肉など、具のバラエティーが豊富で楽しめます。東南アジアではパクチー(香菜)が入ることもありますので苦手な方は気をつけてくださいね。

またスープの味付けもベースは鶏ガラなどで取りますが、日本と違い最後は自分の味にするため、調味料を混ぜます。意外とこれで失敗することもありますので要注意です。またタイではテイクアウトの文化が発達しているのですが、何とバミーなどの汁麺をビニール袋に入れて持ち帰り、家で椀わんにあけて食べることもよく行われています。ジュースもペットボトルが普及するまではビニール袋でしたから驚くことはないのでしょうが、うーん。

なお日本ではそばやラーメンを食べる際、音を立てて麺を吸い込みますが、アジアでは原則これは礼儀に反するようです。屋台などで周囲がガヤガヤしていたとしても、音は立てずに静かに楽しみましょう。

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