NHKテレビで中国語コラム『アジアで中国語を使ってみた』2014年2月号第11回『マレーシア』

第11回『マレーシア』

マレーシアの首都クアラルンプール。その中心、KLセントラル駅のすぐ近くにチャイナタウンがあります。ここも近年の経済発展で開発が進み、急速に街がきれいになってきています。夜、服や雑貨を売る露店を見てまわると一番多く聞こえてくるのは広東語でしょうか。基本的に華人は華人学校に行っているので、中国語は問題なく通じます。ただ店員の多くはマレー系ですので、あえて華人系の店員を探して中国語での値段交渉にチャレンジしてみてはいかがでしょうか。初めの言い値はかなり大胆にしてみてくださいね。

クアラルンプールからバスで2時間ほど行った所に、観光地マラッカがあります。ここは海外からの観光客が多い場所ですが、特に中国人が目立ちます。広東系華人のホテルのオーナーに聞いたところ「最近は中国人がグループではなく、個人で来るようになった」と言い、実際ロビーで遼寧省から来た一人旅の若い女性に出会いました。こういう若者たちがシンガポール人やマレーシア人、台湾・香港人と中国語で語り合う姿を見て、新しい華人ネットワークを予感させられました。

実はこのマラッカから内陸へ30㎞ほど行ったマチャバル(新村)という村へも出かけました。ここは1950年代に政府が開拓民を募り、多くの華人たちがマレーシア各地からここに移り住み、開墾をした場所だと言います。いわゆる華人村です。今車で行ってもそこそこ大変な場所、何もない土地にやってきた人々のことを思うと、そのたくましさにはいつも脱帽してしまいます。

ここに60年前に移り住み、現在レストランを経営している黄さんは「初めは大変だったがみんなで働いた。水もあり、山もあり、今や環境は本当にいいよ。でも最近若者はみんな都市へ行ってしまう。過疎化だよ」と嘆いていました。今でも村人のほとんどが華人という珍しい所でしたが、人口減少が悩みのようでした。

実はマレーシアはこの10年で人口が相当に増加しました。ただ増えているのはほとんどがマレー系であり、華人系は減少しています。人口構成でも以前はマレー6、華人3、インド1と言われていたのが、現在はマレー7、華人2、インド1に変わっているようです。これまで順調な経済発展を遂げてきたマレーシア。ある華人が「この国の経済を支えているのは我々華人なんだ。しかし人口的にはどんどんマイノリティーになってきている。この国の将来が実に心配だ」と繰り返し話をしており、少し心に残りました。

マレーシアは、クアラルンプールやマラッカ以外にもペナンやコタキナバルなど各地に華人がおり、話しかければ中国語が通じます。観光資源にも恵まれていますし、食事も日本人の口に合うものがあります。そういえば退職後を海外で暮らすロングステイ先としても注目されており、多くの日本人が各地に住んでいますよ。皆さんも一度出かけてみてはいかがでしょう。勉強した中国語を使ってみるにはよい国ではないかと思います。

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