タイ北部、中部を旅する2019(12)国境の街 サンクラブリー

今日は昨日のカンチャナブリと違い、暑くないので有難い。やはり山沿いだからだろうか。1㎞ぐらい歩いて行くと比較的大きな川があり、そこに見事な橋が架かっていた。なんでも30年以上前に川向うに住むモン族が自力で作った橋だという。それにしては立派な木造の橋で、芸術的でもあり、一見の価値がある。

 

その橋を渡っていくといい風が吹いては来るが、下もよく見えるので、高所恐怖症には少し辛い。橋を渡りきると、そこには観光客向けの土産物屋などが並んでいる。そこを抜けてさらに2㎞以上歩いていくと、左右に寺があるらしい。まずは右に行くと、立派な建物が何棟もあった。タイ式でもあり、ビルマ式にも見える。モン族の高僧、ウッタマ師が建立したという。仏像を拝む。

 

もう一つの寺もウッタマ師の建立らしい。こちらはインド式の高い仏塔で、獅子が鎮座している。ちょうど工事中で中に入るのは躊躇われた。更にもう少し離れた寺へも行こうとしたが、道を間違え、近隣の村に紛れ込む。ここには妙に懐かしい風景がある。こちらが笑顔で少し頭を下げれば、誰も怪しまない。不思議な心地よさがあった。

 

歩いて橋まで戻ってくると、雲行きが急に怪しくなり、ぽつりぽつりと雨が降り出した。慌てて橋を渡るが、意外と長さがあり、途中でかなり濡れてしまった。橋の袂に休憩用の茶店(食堂)があり、そこで飲み物を飲みながら止むのを待つ。雨に降られる木造の橋は絵になっていた。

 

雨が止んでから、別の道を歩いて帰る。サンクラブリーは本当に小さな街だと分かる。こういう場所では夕飯を食べ損ねる恐れがあるので、まだ明るかったが、市場の横の店に入る。ここではタイ語が使われているのか、ミャンマー語なのかもわからないが、いずれにしてもできないので、身振りで豚肉野菜炒めを注文する。これが意外や美味い。

 

部屋はきれいなのだが、ミャンマー式なのか、テーブルや椅子はなく、床に座ってPCを使う羽目になる。腰が痛くならないように注意が必要だった。バストイレは広いのだが、使い勝手は良くない。それでも熱いお湯が出るので良しとしよう。夜は本当に静かな街なので、ぐっすりと眠れてうれしい。

 

7月22日(月)
国境へ

今日は朝からミャンマー国境へ行くことにしていた。タクシーなどを使うとかなりの費用が掛かるらしく、宿の横のターミナルから出るソンテウで向かうことにした。これなら僅か30バーツで済む。ソンテウは40分に一本ぐらい出ているというから、それなりに往来はある。

 

乗客は見る感じ、ミャンマー人だな。満員のソンテウはすぐに出発し、20㎞ほどきれいな道を走っていく。特に山越えもなく、30分程度で終点まで来た。運転手は私の方を見て、スリーパゴダパスはあっちだ、と指さした。だが私以外の乗客で国境方面に向かう人はいなかった。皆この辺で働いているのだろう。

 

スリーパゴダパスとは、小さなパゴダが3つ並んでいる場所であり、そこが国境のイミグレになっていた。タイ側のイミグレで聞いてみたが『第3国人は通行できない』とあっさりと言われてしまう。以前はパスポートを預けて日帰りでミャンマーへ渡れたようだが、何か事件でもあっただろうか。周辺には国境を往来する人を当て込んだ、服や雑貨を売る店、そして食堂などがあったが、お客は全くいなかった。

 

帰りのソンテウまで時間を持て余していた。道路沿いを歩いていると屋台が見えた。麺を食べている人がいる。よく見るとそれはミャンマーの朝ごはん、モヒンガーだった。味もまあまあで懐かしい。1杯20バーツ。それを食べ終わると、先ほど乗客たちが歩いて行った方に行ってみる。そこは完全にミャンマーの街であり、懐かしい路地の風景だった。縫製工場などがあり、ミャンマー人が働いている。

 

女性がその先の小川をひょいと渡ったので私も後をついて行ったら、子供が何か言っていたが言葉が分からない。周囲の大人は特に何も言わず、制止もしなかったが、ただ何となく、『ここはミャンマーだよ』と言われているような気になり、引き返した。確かにそこにあった看板にはミャンマービールと書かれていた。この付近の人々は正式な国境を通過することなどなく、路地の道を渡っていることがよく分かった。陸路の国境とはそのようなものだろう。

 

帰りのソンテウは、乗客も少なく、あっという間に街に戻ってきた。疲れたので、部屋で休み、昼にはまた昨日の店で麺を食べて過ごした。既にこの街にいる理由は無くなっていたが、何となく涼しいし、人も少ないので気に入ってはいた。街から一歩出ると、そこにも寺があり、大きな涅槃像などが安置されている。それを眺めているとまた雨になり、部屋で休む。夕飯もまた同じところで食べて、すぐに寝入る。

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