タイ巡礼、そして茶旅2017(19)よそ者に優しいナーン

10. ナーン
ナーンの宿

ナーンのバスターミナルは街から少し外れたところにあった。その周囲にはホテルがあるようには見えなかったので、取り敢えずバイタクを拾い、街中を目指す。予想通りお寺の間を縫うようにバイクは走っていく。そして街の真ん中のホテルの前で停まった。ここはこれまでと違って、そんなに古い感じではなかった。

 

1泊1000バーツとポンと言われ、一瞬他を探そうかと思ったが、面倒だからやめた。部屋は極めて簡素、そういえばフロントは華人系だったから、そういう経営なのだろう。タイ人のようなゆったりとは根本的に違うのだ。それにしてみれば、ホテルの建物の作りがちょっと不思議。中にかなりの空洞があり、無駄なスペースが多い。

 

外へ出ると小雨。隣には木造の雰囲気のよさそうな宿があり、こちらに変えようかと思ったが、ネットで見る限り宿代は2倍以上するので止めた。取り敢えず雨が上がったので外を散歩する。少し歩くとちょうどいい感じのお寺があったので中へ入り拝む。仏塔の形がよい。

 

既に昼を大きく過ぎており、ご飯を食べる場所が見付からない。ツーリストインフォメーションで聞いた方向へ進むと博物館らしきものが見えてきた。場所がよくわからずまごついたのだが、広い敷地の中にあるかなり古い洋館だった。ただ館内は改修中のようで展示物はほぼ見られなかった。残念。ほんの少しの写真などもタイ語しか表記がなく、意味は不明。唯一あったのがブラックアイボリーと書かれた不思議な像だった。

 

ようやく麺屋を見付けて飛び込む。優しい感じのおばさんが『日本から来たのか?』と英語で聞いてきたのにはちょっと驚く。ここの麺、大根や卵、内臓系などの具がいい。一気に汗が噴き出すと、扇風機を回してくれた。何となくホッとする空間だった。この近くにもゲストハウスがあるようだった。こちらへ越してこようかなと思うほど、のどかだった。何となくここの人は外国人慣れしているように思える。

 

フアクワンという中国系の寺が見えた。1500年代に出来た寺だという。中では新車のお祓い?をしてもらう信者がいた。日本は神頼みだが、ここではすべてが仏頼みなのだ。本堂に入るとすると、年老いた僧が2階を指して、皆が寝ている、という感じのジェスチャーをしたので上がらず退散した。

 

そのすぐ向こうにクリーム色の寺があった。何とも南国風な寺だった。ここに安置された数体の仏像はなかなかいい感じで長く座っていたかったが、ちょうど坊さんが掃除に来て邪魔そうだったので退散する。ワット・ミンムアンという大きな寺にも行ったが、ここも小坊主たちが掃除をしていた。午後のこんな時間が掃除タイムなのだろうか。

 

その道路沿いにバナナクレープを売る屋台があり、思わず買ってしまった。実に甘いのだが、疲れている体には心地よい。天気もすごくよくなって汗が出ていた。その後ナーンで一番有名なワット・プミンを訪ねる。堂に安置されている仏像は四面体。何となくすべての顔が違い、信者はそれぞれの好みで拝んでいるように見える。外では夜市の準備が始まっている。この付近が観光スポットらしい。

 

最後にもう一つ大きな寺に入ると、そこでは掃除をさぼっている小坊主と目が合う。中に一人だけきちんと箒を動かしている者がおり、好感が持てる。彼は一体何のために箒で掃いているのだろうか。ふとそんな思いに駆られるほど、熱心に掃いていた。夕暮れが近づき、宿に戻る。

 

暗くなると腹が減る。外へ出ると自然に市場に突き当たる。そのすぐ近くにパッタイの屋台が出ていた。おばさんたちがやっている。そこでパッタイを注文したが、言葉が通じていないのに、ちゃんと会話しているような心地よい雰囲気があり、好感が持てる。『おもてなし』とは本来このような物だろう。パッタイもイケる。夜を軽めに食べると寝心地もよい。

 

7月31日(月)
ナーン散歩

翌朝は相当早く起きた。暑くならないうちに郊外の寺まで行ってみるようと試みだ。宿からは3㎞以上ありそうだったが、交通手段がないので仕方がない。大きな道路沿いに歩いて行くと、何となく寺に導かれているようだ。前を托鉢僧が歩いているのもよい。ワット・プラチャ・チャエハーンに着いた頃には日も高くなり、薄っすら汗をかいていた。

 

この寺は規模が大きい。そしてきれいな仏塔がそびえている、特徴のある寺だった。寺は塀で囲まれていたが、開いているところがあり、そこから滑り込む。付近は公園のようになっており、敷地は相当に広い。仏塔の前でじっと眺めた後、またテクテクと宿の方へ戻っていく。

 

ナーンはラオスの国境に比較的近いせいか、漢字の看板が多く見られる。華人が中国からこの地までやってきて住み着いたことがよくわかる。何となく外から来た人間に寛容なのはこのせいかもしれない。宿泊先もそうだが、商売をしている家が多い。OTOPの店があり、開いていたので入ってみる。茶が売られていたので、取り敢えず買ってみる。何しろタイの茶産地は、チェンライ、チェンマイとここナーンの3県しかないのだ。今回はその3県を制覇したのだ。

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