バンコック ヨーガの旅2016(4)インド人もヨーガを始めた!

この合宿、ワンサニットの広い敷地内のいくつかの場所を使って行われる。昨日のイントロは、この施設の象徴的な建物である、通称『池ハウス』。周囲を池に囲まれ、蓮の花でも咲けば、天国かと思われる作り。この施設を所有する財団のオフィスがあり、その関係で唯一Wi-Fiが使える。日本から来た人は基本的にシムフリーの携帯ではないので、ここに来てネットへ繋ぐことになる。私も前回はちょくちょくここへ来ていたが、今やタイのシムを入れており、どこでも繋ぐことができるので、ここに来る回数は相当減った。

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朝は2階建ての2階、瞑想ホール。早朝の瞑想に始まり、実習も夜のビデオ鑑賞もここで行われる。そして昼間の講義は通称『土ハウス』。天井の高い、立派な建物なのだが、前回はアリが入り込み、かなり噛まれる。実はアリに嚙まれると相当に痛いとこの時に知った。しかし今回は入り口に盛り土がしてあり、侵入が阻まれていて助かった。この施設の横には新しいセミナーホールも出来ており、そちらはエアコンルームだそうだ。

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参加者には各人当番が割り当てられる。私はプロジェクターなどの移動が担当。土ハウスと瞑想ホールの間をプロジェクターを担いで往復し、その設置も行う。何だか楽しい。講義は、以前も何度も聞いている内容のはずだが、なかなか頭に入ってこない。もう歳だ、専門的な用語は特にすぐに忘れてしまう。それでも講義に触れることで、ヨーガが体操ではないこと、その奥深いポイントを少し垣間見ることができる。

 

講義だけでは頭に入らないのは私だけではない。そのため参考図書なども紹介されるが、何と移動図書館として、かなりの量の本が持ち込まれており、実際に手に取って本を眺め、必要な書籍を確認することができる。インドにおいてもヨーガ研究の歴史は1920年代から、というので、参考図書もヨーガだけではなく、インド哲学から日本仏教、そして心理学など様々な要素が取り込まれていて、面白い。

 

講義で初めて、『マインドフルネス』という言葉が流行していると聞いた。瞑想をベースに今現在自らの内面や外面に起こっていることに注意を向けること、無意識に注意を向けること、といった定義がなされているらしい。これはこれまで何度となく、合宿で聞いてきた話ではないのか。普段聞いてもピンとこないだろうが、ここで聞くと何となく分かった気になる。

 

これが『心のエクササイズ』と言われ、ストレス解消法、うつ病対策になる、と巷では言われているらしい。そういう話を聞くと、どうしても胡散臭い、ビジネス的なものを感じてしまう。取り敢えず問題になっていることの対処法を探してきて商売の種にする、という人達がいる。ヨーガもインド伝来と言いながら、中身はアメリカのエクササイズ、ということが少なくない。マインドフルネスの考え方自体は良いと思うが、流行に流されるのではなく、一人一人が自ら考え、静かに実践していくのが望ましい。

 

またランチがやって来た。ここでは基本的に1日のメインがランチとなる。夜は軽めの食事、というのが胃腸の負担を和らげるので、有り難い。現代の暴飲暴食生活、時間との闘い、から隔絶されたゆっくりした空間で、ゆっくりご飯を食べれば、それだけでも健康になるだろう。

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更に私にとっては、『1日中お茶を飲まない』ということが、実は体に良い、ということをこの合宿で体感している。勿論お茶が体に悪いということではないが、1日に何種類ものお茶を次々に飲んでいけば、それはやはり体内にストレスとなる。お腹も減るので食べる量も増え、太っていく原因にもなる。何事も過ぎたるは及ばざるがごとし、だ。お茶当番の人が淹れてくれる、一杯の日本茶、で十分だ。

 

ランチの後は昼寝。11月終わりとはいえ、タイの日中はそれなりに日差しがある。勿論この部屋にはエアコンなどがないが、十分に快適なのは、森に囲まれているからだろうか。都会は暑い、ということも、ここにいればよくわかる。昨晩の寒さを体験し、日中の涼しさが心地よい。

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午後の講義で、昨今のインドヨーガ事情が出てきた。2年半前に就任したモディ首相はインド至上主義者。聖なる河、ガンジスがどうしてあんなに汚いのかと、浄化作戦も練られているらしい。モディ首相本人が毎日90分やっていると言われるヨーガ。日本では彼の経済的な手腕ばかり語られているが、インドの伝統的なヨーガを世界に発信してもいる。国連で自ら発言し、政府の担当部署を格上げして、相当に力を入れているらしい。

 

この機会にヨーガが再定義され、インストラクターの資格も決められ、インド人にもヨーガを推奨し、一般への普及も図っている。まさにインド人がヨーガを始めた、のだ。これまでのヒンズー教の考え方では人は生まれながらに身分が決まってしまい、現代社会とは明らかに不適合。この中で生きる人々のストレスは従来にも増しており、半端ないはずだ。企業の福利厚生でヨーガが始まっている。

 

インド人がヨーガを通して健康になり、またヒンズーからも自由になれば、凄い活力が生まれるのだろう。首相はそこまで考えて、ヨーガを発信しているのだろうか。500ルピーと1000ルピーの高額紙幣をあっという間に廃止してしまった手腕。インドは大混乱に陥っているというが金を持たない庶民からは拍手喝采とか。大胆な政治はインドをどう変えていくのだろう。興味深い。

 

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