バンコック ヨーガの旅2016(2)タイの仏教見学

合宿はバンコック郊外のワンサニットというアシュラムで行われるのだが、今日はそこへ行く前に社会科見学がある。タイの仏教に触れる、ということで、お寺を2つ訪問する。「シャンティ・アソーク」と「スーアン・モッカ・バンコク(BIA)」、この対照的なお寺、5年前も訪問したが、その後どう変わっただろうか。日本の仏教とタイの上座部仏教の違いを垣間見る、良い機会となる。

 

因みに10月にプミポン国王が亡くなったタイは、どのような状況になっているのかにも、関心があった。正直昨晩歩いた感じでは、普段とそれほど変わった様子も見られなかったのだが、朝一番、私の普段着を見たA師は即座に、『これに着替えてください』と言って、黒のポロシャツが渡される。全員女性の前でいきなりシャツを脱いでポロシャツを着る羽目になった。さすがにお寺に行く場合、それなりの服装で行くべきなのであろう。

 

まずは車で1時間弱、原理主義的なシャンティ・アソークに行ってみる。ここは元々の仏教に帰ることを目指し、独自の規律で、出家各自がクティを作り、集団生活を送っている。まるで森の中で生活しているような環境にある。5年前に来た時はその原始的な様相に少なからず驚いたが、今回来てみると、クティがかなりきれいになっている。勿論僧たちは相変わらず厳しい顔をしているが、それでも前回よりはなじめる感じがあった。ここにいると何とも落ち着く。

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子供たちが托鉢の帰りなのか、朝礼のようなことをしている。ここに来ている信者の服装はほぼ皆黒。やはり黒のポロシャツは正解だった。裏門から出て、各自買い物タイムとなる。ワンサニットへ行くと、簡単に買い物できる場所はないので、必要なものはここで調達する。ここには有名なシャンティ・アソーク経営のレストランもあり、美味しいそうな湯気を立てていた。路上でも様々な食べ物が売られていたが、なぜか食欲は出ない。

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更に裏手ではトラックが横付けされ、若者が物資を下ろしていた。これもこの寺に住む若者たち。どこからか運ばれてきた食料を運んでいた。かなりの人数を食べさせることは、現代のタイでは托鉢だけでは難しいのだろうか。そもそも托鉢など行わない僧が増えているとも聞くが、ここは本来の仏教を実践する場だから、托鉢は欠かせないだろう。

 

続いてBIAに行く。ここも5年前に来て、極めて印象的だった。大きな目玉が描かれた絵が掛かっているところだ。現代アートと仏教が結びついている。あの目は何を見ているのだろうか。我々には何も見えていない、という表れだろうか。大きな池があり、施設は現代的で、ここも環境がよい。建物内ではセミナーが開かれているが、タイ語なので内容は分らない。

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輪廻について描かれた絵などもあり、ここにいると常に自らについて考える機会が与えられる。1室には暗い空間があり、その奥には非常に安らかに過ごせる場所が設定されている。皆思い思いに寝転んで、池を眺めたり、目をつぶったり。心地よい安らぎが訪れる。タイ人のバンダが同行しており、彼女からタイ式の礼拝の仕方などを習う。彼女とは、バンコックのヨーガクラスでも会ったし、何と言ってもインドのロナワラを訪ねた時、1年間のコースで勉強していたので馴染みである。今はタイに戻ってヨーガの先生をしているらしい。何とも優秀な女性である。

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施設内にショップがあり、皆さんは買い物を始める。これから始まる合宿に備えて、服などを買い揃えているのだが、私はまるで無頓着。A師と共に、自販機のコーヒーを飲んで待つ。それにしても、タイの仏教と言えば、一般人にはワットポーやワットアルンといった観光地の印象しかないが、随分と色々な面があるのだな、とつくづく思う。日本人ももっとタイの仏教を知るべきだろう。それが自分たちのためにもなる。

 

そういえば、5年前ここに来た時、ちょうどタイの高僧が来るというので、会いに行ったが、なんとそれは日本人だった。日本語で話しかけると日本語が返ってきた。タイで長年修行し、タイで誰もが知っているお坊さんになったというので驚いた。だがもっと驚いたのはその後、彼は突然恋に落ちて、還俗してしまったことだ。これは格好のスキャンダルとしてタイ全土を揺るがしたが、果たして信者のタイ人はどう思ったであろうか。

 

そしてまた車に乗り、ワンサニットへ。この2台のチャーターされたロットゥ。普段は普通に路線を走っているらしい。夫婦が個人で運転しており、今日はこの往復だけで十分に上がりがあるのだろう。荷物なども運んでくれて、実に親切。両側で花が売られている通りへ出ると、そこには懐かしいワンサニットアシュラムがあった。花屋?いや植木屋の規模もかなり拡大している。

 

このアシュラムへ入るには小さな川を越える必要があり、小舟に乗り、ロープを引いて渡らねばならない。一種の儀式のようで、何とも面白い。初めてここに来た10年前は、子供が手伝ってくれなければ渡れない感じだったが、今ではきれいになっている。いよいよここで私にとっての1週間の修行が始まる。

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