埔里から茶旅する2016(21)台湾の地理中心

 527日(金)
取り残されて

翌朝、起きてから劉さんの連絡を待った。今日もどういうことになるのか、皆目わからない。9時前になっても特に連絡がない。Mさんとお客の女性がおにぎりを買いに行くというので一緒に行く。台湾でおにぎりのことを飯といい、白米ではなくもち米を使うことが多い。こちらのお店では巨大おにぎりを白米でももち米でもOKとだいう。125元するが、2個は食べられない大きさ。中身はたくあんなど、具がたくさん入っている。このお店、午前540分から営業していると書いてあるからすごい。如何にも台湾的な日本飯の処し方である。

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食べ終わると、Mさんたちは、『温泉に行ってきます!』と行って出掛けた。慌ててWさんが『バス停はそこだ』と指示したが、心配なのか、付いていった。廬山温泉、何とも懐かしい響きだ。1990年頃、業界のゴルフコンペに誘われて、たまたま1泊した場所だったが、その印象は強烈だった。1930年に起こった霧社事件の首謀者の一人の奥さんが、そこに現れ、流ちょうな日本語で朴訥にその経緯を語ってくれたのだから。正直そこで初めて我々も霧社事件について知ることになる。今なら日本統治時代の汚点、原住民の反乱、色々なワードが飛び交う。

 

当時は今とは違う、戒厳令解除直後。あの228事件を扱った映画『非情城市』が台湾内上映禁止、という時代に、台湾で霧社事件がどのように扱われていたのかは全く覚えていない。その時泊まった温泉宿は、その奥さんの長男が継いでいたが、彼こそは、奥さんが事件の混乱の中を、お腹に抱えて生き延びた証だった。彼は今どうしているのだろうか、あの温泉は今もあるのだろうか、大水の被害があったと聞くが。そんなことを考えていると私も行きたくなる。因みに廬山とは中国江西省の山で、蒋介石が愛した景勝の地。廬山会議など重要な歴史的な事件も起きている。蒋介石がこの地が廬山に似ていることから付けられた名前らしい。

 

だが劉さんからの連絡はない。仕方なくこちらから連絡してみると『今日は朝から茶葉が来て製茶で忙しいから付き合えない』という。それなら廬山温泉へ行こうか、と横を見るとWさんが、廬山温泉へ向かおうとしていた。何という好都合、かと思ったが『バイクで行くんで』とつれない返事。私だけがこの宿に取り残されてしまった。えー、そんな。すぐ後でFBを見ると、楽しそうに温泉に入っている3人がアップされていた。だがここは水着で入る温泉だった。私が行きたいところとは違うようだ。

 

私が今、やるべきことを考えてみたら、洗濯があった。このGHには洗濯機が備えられており、しかも3階で干すスペースも確保されていた。この作業を1時間やっていると、腹が減ってきたので、昼ご飯を探す。前から気になっていた温州大雲吞と魯肉飯。この雲吞がプリプリしていて旨い。スープもコショウが効いていて、あっさりしたいい味出している。かなりのボリュームがあり、これで75元はお得感満載だ。台湾というのは、本当に何気ない食べ物がうまく、そして安い。これは素晴らしいことだ。

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散歩

そのまま腹ごなしに散歩をする。今日は曇り気味で、日中でも歩ける感じだった。確か松ちゃんの家の方角に歩けば、何かの碑があったはずだ。取り敢えずそこを目指そう。10分以上歩くと、街の雰囲気が無くなる。そこに1つの碑が建っていた。『台湾地理中心』、この地が台湾の真ん中だ、という意味の碑だった。日本時代の1906年に測量され、制定されたとある。なるほど、あまり考えたこともなかったが、地理的な中心というものがあるのだな。では日本の地理中心はどこにあるのだろう。ふと、そんなことを考えてしまうが、ネットで検索しても明確な答えは出ていなかった。

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この碑には観光バスが停まり、観光客が記念写真を撮っている。実際にはここから小高い丘を登った上に、碑があるようだった。ただ非常にきつそうな階段を登らなければならず、この暑さの中、上に向かっていく人はいなかった。階段の前にもう一つの碑があった。『山清水秀』という文字が見えた。もう一度説明版をよく見ると、何とここは台湾の中心ではないことが判明したので、蒋経国総統が、この文字を送ったらしい。何だかよくわからない。

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ふらふら歩いていると、かなり暑さを感じてきた。そして先ほど昼ご飯を食べたばかりだというのに、なぜか甘いものが食べたくなり、前回Yさんと行ったメロンパン屋さんで、また餡子入りメロンパンを買う。それを大事に宿に持って帰り、お茶と一緒に、一人楽しむ。宿にはまだ誰も帰っていなかった。そのまま、誰もいないドミ部屋で寝入る。なんだか不思議な感じだが、悪い気にはならない。こんな日があってもいい。夕方、洗濯物を取り込むと短時間干しただけなのに、見事に乾いていた。

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