埔里から茶旅する2016(20)紅茶談義から梨山へ

作業が終わるとまた紅茶を飲みながらよもやま話。そうこするうちに昼前になる。すると奥さんも呼んできて『じゃあ、行くか』と車で出かける。出掛けると言っても5分も走らないうちに、畑と林の中のレストランに着いた。こんなところにレストランがあるのか、というロケーションだ。天井の高い、不思議な空間がある。お客はいない。だがそこで出される料理は何とも絶品だった。名物だという蒸し魚、豚肉の脂身炒め、空芯菜炒め、ニンニク炒めなど、どれも驚くほどに美味しい。シンプルな料理が美味いということは食材がよいということだろうか。大満足!

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午後はまた劉さんの家に戻り、話を続ける。『台湾茶の将来はどうあるべきか』といった、かなり大きな話題も出てくる。彼はやはり『ティバッグなど便利なもの』になるのではないかと考えているようだ。美味しい茶葉を入れたティバッグはコストが高いが、それでもペット飲料よりは、かなり安いはずだ。マイポットを持ち歩き、お湯さえ手に入れば、いつでも美味しいお茶を飲むことができるのだから、これを定着させるべきだ。特に紅茶は欧米でもほとんどがティバッグであり、抵抗感は少ない。問題は依然として、どうやって台湾人に紅茶を飲ませるのか、という根本的なところに突き当たっている。

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良質の紅茶の値段は高山茶に近づいてきている。それは良いことだが、また一般人には受け入れられない値段になってきているともいえる。1斤3000元以上するプレミアム紅茶にも需要はあるだろうが、台湾紅茶全体から見えればどうだろうか。リプトンのティバッグならかなり安いのだから。品質は高山茶と比べてどうなんだろうか。話せばきりがない。私は劉さんの茶畑を見せてもらおうと思っていたが、結局そこへ行く車の手配が出来なかった。ベンツで行けるようなところではないらしい。

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梨山へ

代わりに『今から行こう』と言われた場所は何と梨山だった。既に夕方になってきていたが、どうやら知り合いの茶業者から電話が入り『いいお茶ができたから』と声が掛かったようだ。流れに任せて私も同乗させてもらう。荷物を積み込み、魚池を後にした。また埔里を目指し、そこを越えて、山道を登り始めた。これで何回目だろうか、この道。劉さんはかなり運転に慣れていた。相当のスピードで駆け上がる。

 

途中の街で停まる。劉さんは食堂で何か注文している。出来上がるまで、セブンイレブンのトイレを借りる。こんな所にもセブンがある。さすが。食べ物は茶工場で働いている人たちへのお土産だった。山の上の工場では毎日似たような食事ばかりで飽きてしまう。2年前に行ったジョニーの茶工場でもそうだった。偶然寄ることができたセブンイレブンでジョニーが『20日ぶりだ』と実に嬉しそうにコーヒーを飲んでいたのはかなり強烈な印象として残っている。

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標高2000m近く、清境農場という、今や観光地?を通り過ぎ、着いたところは松崗という茶工場が並ぶエリア。その一軒に入っていくと、まさに茶作りも佳境に入っていた。かなり規模の大きな工場で、何人もの男たちが働き、室内で萎凋している茶葉を管理し、時間を見て、順番に揺青をしている。また別室で殺青などの作業も行われている。実にいいお茶の香りが鼻を衝く。外は暗くなろうとしていたが、靄がかなり掛かっており、如何にも茶産地の夕暮れの様相を呈していた。

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別室でお茶を頂く。老板のほか、近所の友人、遠方から茶を買いに来た人などが、出入りしている。茶ができると早速試飲が始まり、全員が品評委員のような顔をして、茶を飲んでいる。清香系のいい感じの茶だったが、1つ1つにかなり微妙な差異があった。それによって各人の評価も分れた。その内には劉さんの持ってきた紅茶がなども飲まれ、何だか分らない状態が続く。隣の女性は私に『九州ならどこへ行くのがお勧め?』などと日本観光の話題をふり始める。

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いつの間にか夜も更けてきた。劉さんは老板から茶葉を分けてもらい、ご満悦だった。皆が重い腰を上げたのは、午後10時近かった。そして劉さんが『ところでお前、今晩どこに泊まるんだ?』と聞いた。このセリフ、何回聞いたことだろうか。もう私の心は決まっていた。埔里のゲストハウスに戻る。Wさんに電話で戻ると告げると、さすがに驚いていた。劉さんは車で送ってくれた。彼もまた日本人が開いたゲストハウスには興味を持っていて、宿の前まで送ってくれた。そして『もし俺の茶畑が見たいのなら、明日行こう』と。

 

GHにはWさんも戻ってきており、ヘルパーMさんも半分呆れた様子で『おかえりなさい』という。今日は数名のお客がいたが、Wさんから『ドミトリーは誰もいないからそこで一人で寝たら。その方が個室より安いよ』と気を使われて、今日はドミに潜り込む。部屋には2段ベッドが3つあったが、真ん中の下を使う。疲れたので、さっとシャワーを浴びてぐっすりと休む。まさか今日もここに寝ることになるとは、本当に不思議だ。

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