埔里から茶旅する2016(11)居心地の良い埔里を去る

 マッサージが終わるとYさんが夜市に行きたいという。金曜と土曜だけやっている大きな夜市が街外れにあると聞いていたが、スマホで確認すると歩けそうだったので、歩いていく。最初は腹ごなしに良いと言って歩き始めたのだが、予想外に遠かった。折角脚マッサージで軽くなったのに、また足が重くなってくる。この街はそう大きくはないと侮ったのがいけなかった。さりとて、タクシーがその辺を頻繁に走っているようにも思えない。バスは行先が分らない。歩くしかなかった、のかもしれない。

 

30分以上あるいて、ようやく夜市に辿り着く。結構人が出ているのに驚く。兎に角腹が減ったので、何を食べるのかと思っていると、Yさんは鉄板焼きの前で止まった。夜市のステーキ、と言えば、30年以上前、初めて台湾に来た時、屋台でご馳走になったのを思い出す。懐かしい。目の前の鉄板で焼いてくれるのかと思っていたが、後ろで焼いて、出してくる。まずはキャベツともやし炒め、その後に肉がやってきた。ご飯とスープはセルフサービス。まあそれでも屋台でステーキがあるのは、台湾ぐらいかもしれず、久しぶりに昔を懐かしんだ。

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食べ終わると、その辺を歩き回る。伝統的な金魚すくいもあったが、金魚が機械の中に入っており、ガチャポンのようにお金を入れると出てきてカップで救うという、ちょっと恐ろしいものがあった。また巨大な輪投げと言うべきものもあり、ぬいぐるみなどの商品がズラッと並んでいた。今や田舎の夜市とは家族が友人がみんなで一緒に遊びに行く場所、単に食べ物を食べるだけではなく遊べる場所、として設定していないと集客できないことがよく分かった。帰りに古い夜市の前を通り過ぎたが、お客はまばらで活気がなかった。

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5月21日(土)
台北へ

翌日はだらだらしてゆっくり起きた。何だか夜中に咳き込んでしまった。意外と涼しい。風邪で引いてしまったのか。私の部屋はIさんがいなくなり、一人部屋になっていた。部屋の外にはテラスがあり、鳥のさえずりを聞きながら、ボーっとすることができた。この宿はドミトリーもあるが、個室もいくつもあり、年配者の私には嬉しい。やはりドミで若者と一緒というのは、夜中にトイレに起きるとか、クーラーが寒すぎるとか、色々と不便なことが多い。3階の部屋ではネットが繋がり難いという問題はあるが、ゲストハウスではリビングに皆が集い、情報交換したりするのには、この方が良いのかもしれない。因みにトイレとシャワーは各階にあり、これも便利だった。

 

朝ご飯はパスして、リビングでYさんが起きてくるのを待つ。宿泊客は日本人ばかりだったが、皆さん早くにチェックアウトしてしまい、ヘルパーのMさんだけがそこにいた。彼女はオーストラリアに4年住んで勉強していたとかで、日本に戻る前にここに1か月ほど滞在しているという。そいう旅の仕方もあるのか、と参考になる。面白そうな人なので色々と話したいと思ったが、今日は台北に戻ることにしていたので、あまり時間がなかった。

 

Yさんが起きてきて、バスに乗る前に食事をすることにした。今日は土曜日だからか、閉まっている店もいくつかある。Yさんは感性で動く人なので、歩いていると突然『あれが食べたい』と見付けた店に寄っていく。竹筍肉包を買い、豆乳も買い、更には麺も食べた。何だかYさんだけでなく、私も埔里の街は居心地が良い、と感じ始めていた。だがもうお別れ、旅とはそんなものだ。宿に戻り、荷物を引き取り、バスターミナルに向かう。

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12時のバスに乗ろうと思ったが、『ウエーティング』と言われてしまう。昨日のIさんも同じだったので、まあ乗れるだろうと思っていたが、土曜日のせいか、思いのほか乗客が多く、ギリギリで何とか乗り込めた。以前は5時間以上かかった台北までのバス旅、いつの間にか高速道路が完備され、3時間で着くようになっていた。それにしても台北まで385元は安い。1000円ちょっとで行けるなんて、日本では考えられない。交通費が安いというのが台湾旅で有り難いところだ。。

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バスが出発してから、我々二人はおしゃべりしていた。信号でバスが停まると運転手が、運転席からクルッと我々の方に向き直り、『皆さん、車内では静かにしてください。寝ている方もいるんですから』ときっぱり言って席に戻った。乗客は皆唖然としている。我々が日本語では話いたのがいけなかったのかと反省したが、運転手の目は一番前の老夫婦に注がれていたように見えた。だが彼らの会話も我々にはあまり聞こえないほど小声だった。一体何が気に障ったのだろうか。初めて見る光景に驚く。その後は誰も話す人がいなくなり、携帯もならず、静かに過ごした。2時間はたっぷり寝ただろうか。気が付くともう板橋を過ぎ、橋を渡ると台北だった。少し雨が降り出していた。

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