埔里から茶旅する2016(6)鹿谷から埔里へ

 埔里へ

Uさんは若いからか、思いのほか回復しており、安全運転で埔里を目指した。山を下ると、そこには観光地として名高い日月潭が見えてくる。折角なのでと、観光した。路線バスではできないことだった。日月潭は昔より数段きれいになっており、観光客もそこそこにいた。私は興味がないのだがお土産物コーナーに行くと、日月潭紅茶アイスが売っており、Yさんが食べたいというので、後学のために食べてみた。紅茶の感じは出ていたが、それだけ。でも食べている人が多いので、いいアイデアなのかもしれない。

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更に進むと、日月潭の端に、魚池という場所がある。ここには茶業改良場の分場が置かれており、私は5年前にご縁でそこを訪れている。YさんとIさんは初めてだということで、寄り道して坂道を登ってもらった。途中に記念碑が見える。これが『台湾紅茶の守護者』、新井耕吉郎さんを祭る碑であり、歴代場長は朝ここにお参りしてから、出勤すると言われたところである。私は全く知らなかった新井さんについて、少し調べてみたことがあるが、その謎は深かった。そして日本人の誰もが知らなかった、この方の名前が台湾で広まった訳、それもまた旧懐日本ブームの一環であろうし、日月潭紅茶のブランド化、町興しなど、様々な要因が絡まっていることは見て取れた。これ以上は語らない。

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上まで登ると日本時代に茶業試験場として建てられた建物も残っているが、一般人が中に入ることは許されていない。外からそれを眺め、ついでに日月潭を一望し、また茶畑を少し見た。ここは風光明媚な場所として、週末は観光客が登ってくる場所であるが、今日は平日で人はいない。先ほどの新井さんらが尽力して、1936年に建てられたこの試験場。紅茶の輸出、外貨獲得の国策のために付近に茶樹を植えたが、戦争により、その夢は潰えていた。新井さんも戦後すぐに、この地で亡くなり、その魂はここに眠っている。丘の下には、日本時代の官舎が再現されたところがあるが、何となく真新しい。

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魚池から埔里まではあっという間に着く。途中に紅茶屋さんの看板が目立っているのは、数年前より、台湾が紅茶ブームだからだろう。私が以前訪れたことがある紅茶屋さんもあった。懐かしいので寄ってみたかったが、今回はご縁があるだろうか。埔里も何度か来たことはあるが、街中に泊まったことはなく、どこがどこやら、何もわからない。今回はYさんを頼って行動しようか。Uさんの車はゲストハウスの狭い路地に入った。

 

4. 埔里
埔里をフラフラする

そのゲストハウスの入り口は狭かったが、5階建て?で奥行きもあり、かなりの広さがあった。オーナーの日本人Wさんは在台湾20年以上。奥様も台湾人とのこと。埔里が好きになり、こちらのゲストハウスを作ったという。広いリビングのソファーに座り、少し休む。私はIさんと2人部屋、Yさんはいつものドミトリーに入った。外はそこそこ暑いのだが、建物の中はクーラーがなくても何とかなりそうな感じだった。

 

腹が減ったので昼ご飯を食べに行く。二日酔いのUさんのことを考え、Wさんに紹介された近所の麺屋へ行く。ここの麺の名前、何と傻瓜麺だというから驚きだ。日本語にすれば『バカ麺』、一体どんな麺かと興味津々で注文してみたが、あっさりした普通のスープ麺。なんで傻瓜なのかは、よくわからない。Wさんによれば、『傻瓜麵』の由来は台湾語(閩南語)の「撒乾麵」から来ているというが、どうなんだろうか。まあ、二日酔いにはよいのではないか。

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食後、ふらふら歩きながら、腹ごなしする。段ボール箱が沢山積まれているところを通ると、ポスターに美人腿大会とあった。何だろう、美脚コンテストのようだが。優勝すると10万元、というから、結構大きな大会だ。既に予選は終わっている。段ボールにもう一度目をやる。この箱の中にはマコモダケという筍にもちょっと似た農産物が入っている。これは埔里の名産品であり、街のイベントとして、白くて長いマコモダケを宣伝する目的で、この美脚大会が開催されており、台湾では有名だということを後で知る。

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セブンイレブンに寄る。台湾に来たら、やはりセブンだ。この狭い台湾に1万店舗はあるのだろうか。台湾人も殆どの人が利用しており、もしセブンがなければ生きていけなそうな人間も沢山見てきた。Uさんは『食後は黒松ですよ』と言ってドリンクを買う。黒松とは台湾の飲料メーカーの名前で私が台北に住んだ25年前にも売っていた。代表商品は沙士という炭酸飲料で、コーラのようなもの。台湾ではこれを体調が悪い時にも飲むらしい。ポカリスエットのような位置づけとでも言えばよいだろうか。兎に角ロングセラーだ。二日酔いのUさんはこれをぐびぐび飲んでいた。完全に現地化している。

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