シベリア鉄道で茶旅する2016(25)ペテルスブルクの福寿園

 サブサン特急

サブサン特急という名称のこの列車、流線型の車体は新幹線を思わせる。列車に乗り込んだ。何ともきれいでシベリア鉄道の歴史的な趣とはかなり違って近代的。座席もフカフカで、トイレもきれい。Wi-Fiも無料で繋がる。しかもすごく速い。これで3日間、音信不通だった人々に連絡することができた。充電も可能で言うことなし。車内放送に英語があり、車掌が普通に英語を話してくれるのは何とも有り難い。日本の新幹線の車掌は英語が普通に話せるのだろうか?

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荷物の置き場もちゃんと用意されており、私はケースをそこへ置く。すぐに車内販売の女性が2人やってきて、モーニングコーヒーを売り出す。もうこれは日常風景であり、資本主義社会だった。シベリアは現代でも完全に見放された別世界だったということか。皆がスマホをいじり、新聞を読み、中にはPCを取り出して仕事をしている人もいる。日本と全く変わらない風景に大いに和んでしまった。63時間の疲れも吹き飛んだ。そして僅か4時間など、目をつぶっていればすぐに過ぎる時間だと、シベリア鉄道で嫌というほど教えられていた。

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しかし車窓から外を覗くと、相変わらずの雪景色。天気は良いが、風が強い。平地を走っていることが多いのは、救いかもしれない。車内はポカポカ温かいが、外は結構寒いようだ。途中の駅でかなりの人が降りていく。どんな駅なのか、大都市はあるのか、車内からでは見当もつかない。折角なので、席を移動して、スマホの充電を行う。この列車はある意味で長距離列車とは言えないので、充電する人など殆どいない。

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9.サンクトペテルブルク
スリに遭う

4時間などあっと言う間に過ぎて行き、終点のサンクトに着いたのは午前11時半頃だった。モスクワ、サンクト間の時差はない。車両から降りて、ホームを抜けて、駅舎に入るところに荷物検査があった。私の後ろから人が突っ込んできて、私を追い抜いた。やけに乱暴なやつがいるなと思ったが、考えてみるとちょっと怪しい。背負っていた私のリュックを念のため見ると、何と小さなポケットが開いていた。まさかスリだったのか?

 

そしてどんどん先に行ってしまうS氏を追いかけて速度を上げていると、何と横からぶつかってきた若者がいた。すぐに彼は小走りに居なくなる。なんだかおかしい。もう一度リュックを見てみると、今度大きなチェックが完全に開いていた。何ということだ。5分の間に2人ものスリに遭った。こんな経験は初めてだった。だが幸いにして何も取られていないようだった。あとで地球の歩き方を見ると、サンクトではスリに注意と書かれていた。私は全くも幸運だったのか、それともスリが新米だったのか。

 

取り敢えず、ルーティーンの切符売場へ。しかしやはり、明日のムルマンスク行の切符は1枚もなかった。なぜだろうか、1日に2-3本はあるようなのに。明後日か、今日の夜か、この2日の切符はまたなぜかある。何とも究極の選択だった。それにしても体の洗濯がしたい!既に4日間、シャワーを浴びていない。今日は間違いなく浴びられるという思いで、ここまで来たのに、なぜこうなるのだろうか。しかしすでに体勢は決している。残りの二人は今晩発つつもりなのだ。もう仕方がない。

 

取り敢えず切符を買って、昼ご飯を食べる。駅前のカフェ。美味しそうなスープ、上からパンが被せてある。これを注文するとチンして温めてくれた。パンを破ってスープを口に含むと、濃厚で得も言われぬ美味しさ。中身はジャガイモと豚肉が中心だが、シベリアとはやはりちょっと違う。おしゃれだ。そう、ここサンクトペテルブルクもモスクワ同様、おしゃれなヨーロッパなのだ。兎に角今晩にはここを離れるのだから、エルミタージュ美術館だけはどうしても行きたい。

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お茶事情

駅からエルミタージュの方へ歩き出す。が、方向はよくわからない。周囲の人に聞くがやはりよくわからない。駅でもらった地図を見ながら進む。数分歩いたところに、ホテルがあったが、何気なくそのプレートを見ていると、何と福寿園の文字が見えるではないか。ふと京都の福寿園に行った時、『サンクトぺテルブルクにもお店が出たんです』と言われたのを思い出す。もしやこれがその店なのだろうか。S氏とNさんは興味がないようなので、一人で入ってみる。

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店は2階だというので上がっていくと、奥に日本茶が置かれており、急須やお菓子も売られていた。そこにいた男性に英語で声を掛けたが、無言で窓際を指さした。そこには日本人がいた。彼は以前よりロシアで貿易のビジネスをしており、今後ロシアでも日本茶の需要が伸びることを想定して、福寿園とタッグを組み、昨年ロシア市場に参入したという。煎茶だけではなく、抹茶やほうじ茶など、まんべんなく売れているとのことだった。

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