鉈先生と行く雲南ラオス茨の道2016(14)活気のない昆明茶葉市場

 茶葉市場で

その茶葉市場には10年前に一度来た記憶がある、老舗の市場だった。向かい側には立派な門構えの雄達茶城というのがあったが、何だか立派過ぎてテーマパークのようで入り難い。鉈先生も古い方の茶市場には行ったことのある茶荘があるはずだというので、そちらに入る。昆明でもとにかく茶葉市場が広がっている様子はよくわかる。

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だが午後のひと時、市場内は閑散としていた。店の人々もあまりやる気が感じられず、中には麻雀に興じている女性達までいる。今は茶のシーズンではないのだろうか。我々はラオス・雲南と厳しい旅を続けてきており、出来立ての茶葉をたくさん見てきた。魚でいえば、ここにある茶葉は鮮度が低いように見えてしまう。それはやはり、この市場のどんよりとしたムードと関係あるかもしれない。

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2013年以降、腐敗汚職撲滅運動が盛んになり、高級茶葉の売り上げは激減している。プーアール茶は高級茶葉の代表格だから、当然その打撃は大きい。本当に素晴らしい茶葉はそれでも売れるだろうが、バブルで舞い上がった茶葉は、どんどん落ちて行ったのではないか。それでもまだこれだけの茶荘があるのが不思議なぐらいだ。そして贈答品が減った言いながらも、包装屋さんはまだまだ多い。いずれにしても中国人はパッケージがよくなければ買わない時代がやってきているのを実感する。

 

私はフィーリングで茶荘に入る。どこを見ているのかは自分でも分らないが、ここだな、と思えるところへ突然入る。今回も大きな茶荘が沢山ある中、なぜか細い道にあった、何の変哲もない茶荘に入った。そこには赤ちゃんをあやしている若い女性がいた。彼女はお茶を淹れてくれたが、お茶には詳しくないと言い、ご主人を呼んできた。彼もまた若い。しかも聞いてみると地元雲南の出身ではなく、安徽省の出であるらしい。開業してまだ1年ぐらいとか。

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彼は昨日まで茶産地を回っていたという。そこで得た茶を淹れてくれたのだが、その中で野生紅茶と言って出された茶が実にうまかった。これは一体なんだ、と思ったが、彼によれば古茶樹の葉を使って紅茶を作ったのだという。雲南紅茶は有名であり、過去にもおいしいものを飲んだ記憶はあるが、これほどの物にはなかなか出会えない。来年はぜひその産地へ連れて行ってほしいと依頼したが、果たしてご縁はあるだろうか。

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帰りは地下鉄に乗ってみる。金星駅まで少し歩き、そこから昆明駅まで乗ったのだが、何と昆明駅へ行く人は、一つ前の駅で降りるようにとの、メッセージが張られていた。一体これは何だろうか?全く意味が分からない。折角なので敢えて昆明駅まで乗ってみた。確かにここで降りる人は少なかった。地上へ出ると、何と昆明駅の裏だった。しかも工事中で、昆明駅へ入ることはできない。これでは駅という名前では付けられない。そこには我々のような困った人のために、ちゃんと三輪車が待っていた。これに乗らなければ相当の道のりを歩かなければならないのは明白。5元だというので乗り込むと、大きく迂回して、線路を越え、また大きく戻って駅の近くで降ろされた。ちょうどこの辺は、12月にS氏とNさんと三人で寒さの中を歩いた場所であり、懐かしさがこみ上げる。

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部屋に戻ると疲れがどっと出た。夕飯はホテル内のレストランで早めに食べた。スープが名物と言われたが、それほど美味しいとは思わなかった。やはりホテルの食事は値段も高い。コスパは良くないと言わざるを得ない。食後は未だ明るさが残る中を散歩したが、特に目立つものはなかった。疲れがたまっており、また翌朝も早いので早々に寝てしまった。

 

4月15日(金)
鉈は

翌朝は早かった。7時台のフライトで北京へ向かうため、国内線とはいえ、1時間以上前には空港へ行く必要があった。このホテルの良いところは、空港行のバスが出ていることだった。タクシーを探す必要もない。前日フロントに始発時間を聞くと『5時だが、早めに来れば・・』と歯切れが悪かった。仕方ないので、4時40分には下に降りてチェックアウトした。外を見るとちょうどバスが入ってきた。

 

25元のチケットを買って、荷物を横のトランクに押し込み、バスに乗り込む。まだ発車まで間があるというので、トイレに行く。ところがロビーのトイレには鍵がかかっていた。フロントで鍵をもらってトイレに入り、またバスに向かった。ところがバスに乗ろうとしたところ『満員だからもう乗れない』と車掌が言う。私は荷物を預けており、友人も乗っていると言ったが、何と鉈先生の横にはすでに若い女性が座っているではないか。仕方なく、荷物を下ろして、次を待つ。

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次のバスも5時過ぎに出発したので、特に問題はなく、5時40分には空港に到着した。だがすでに空港にはかなりの人がいた。何とかチェックインを済ませたが、荷物チェックにも随分と時間が掛かった。そこを抜けるとたまたまラウンジが使えたのでそこへ入ってみた。すると係りの女性が『あなたの荷物の中に不審なものが入っているとの連絡がありました』というではないか。

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なんだろうと聞いてみると『包丁のようなものらしい』というので、それは鉈先生が少数民族から買った鉈だとわかる。慌てて、『それは小型のナイフで、危険ではない』と説明して何とか理解してもらった。普通なら没収だっただろう。何しろここ昆明では鉄道駅で殺傷事件があったので、殊の外敏感になっている。この先北京でも同じように問題になる可能性があったが、何とか事なきを得た。羽田でも問題はなかった。

 

北京まで行き、そこで羽田行に乗り換え、夜無事に到着した。しかし今日も長い一日だった。というか、今回の旅は本当に一日が長かった。この旅を乗り切ったことは非常に有意義だったが、なんとこの5日後にはまた中国が待っていた。もう疲れたよ、体は言っているのだが、これも流れだ、仕方がない。

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