ナムサン茶旅2016(6)パラウンの茶畑

食事が終わるとネピドーに用はなかった。すぐに車で郊外に出る。ネピドーにも列車の駅もあるが、今の街からは少し離れている。ここは10年前に当時の軍事政権により、一夜城のように極秘裏に突貫工事で作られた街だ。ヤンゴンとマンダレーのちょうど真ん中の都市、軍事上も重要な位置にあるとのことだったが、ヤンゴン一極集中の中、なんとも不便な首都である。それでも高速道路ができて、日帰りも可能となり、緩和されたというが、どうだろうか。新政権は首都機能をどこに置くのだろう。そんなことまで考える余裕などとてもないかもしれない。

 

パラウンの茶畑

車は高速道路から離れ、初めて通る道を行く。この道でシャン州タウンジーを目指す。なだらかに山道を登っていく。この辺もほとんど車は走っていない。途中、温泉リゾートと書かれた看板が見えた。果たしてどんな温泉なのか?興味はあったが、先を急ぐ。タウンジーまではまだかなり遠い。

 

単調な山道を行く。運転好きだというTさんは、『こんな道を走るのが好きだ』というのだが。あるところでTさんは車を停めた。『ここからの景色がとてもいいんです』という。下を見てみると、確かに周囲が一望でき、湖が見えた。ここに水力発電所を建設するため作られた人工の湖だという。そして集落も見える。労働力として移住してきた人々が暮らしている。元々人は住んでいたのだろうか。その人たちはどこかへ行ってしまったのだろうか。

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川があり、立派な橋を渡る。おそらく最近作られた橋だろうが、どう見ても、この辺には相応しくない。何か理由があって作られているのだろう。軍事目的、それとも対外援助?そこを過ぎると、バオー族が多く住む地域に入ってきた。ミャンマーには多くの少数民族がおり、私などはとても区別ができないが、ミャンマー経験が豊富なTさんは、いくつかの特徴から、見分けているらしい。

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そして両側に茶樹が植わっている場所が見えた。このあたりはピンラウンという地域だそうだ。それほど多くはないが、道路脇の少し上がったところに茶樹が並んでいた。バオー族が多いこの地域に、なぜ茶畑があるのだろうか。季節的な要因か、茶樹に元気はなく、冬枯れた?感じになっていた。

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もう少し行くと街道沿いに店があった。トイレ休憩方々、店を覗くと、そこでは茶が売られていた。店の人に茶について聞くと『これは緑茶だ』といい、作っているのはパラウン族だという。だいぶ前にパラウン族がここに移住してきて、茶作りを始めたというのだが、何か特別な理由でもあるのだろうか。ミャンマーは軍事政権時代に、少数民族を強制的に移住させたこともあったと聞くがどうだろうか。ここの茶は、ミャンマーのどこででも飲まれている緑茶であった。

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また道を進むと、両側に茶畑がある。この辺は管理もあまりされておらず、自由に茶樹が育っているようにも見える。急に霧が出てきた。この環境も茶作りにはよいのかもしれないが、周囲には誰一人、人がいないから聞くこともできない。民家も見えない。一体どこに住んで、この茶畑に来るのだろうか。なんとも不思議な地域だが、解明の手掛かりすらない。

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ネピドーを出て4時間、ずーっと人気のない道を行く。すでに日は西に傾いているが、タウンジーは遠い。タウンジーに行ったのは、2004年の1回だけだが、その時も、なかなかつかない場所だった、という印象しかない。標高1400mの山の上にある街、坂を上り始めてもすぐに着く訳ではない。

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3.タウンジー

タウンジーの夜

なぜこんなところに街ができたんだろう、というのがタウンジーに対する率直な感想であり、謎である。シャン州の交通の要所、とは、何度も聞いているが、ここが便利だとはどうしても思えない。まあ考えられるとすれば、他がもっと険しい山であるか、むしろ不便なところが便利ということなのかもいれない。

 

タウンジーの街に到着した時は、すでにあたりは暗くなっていた。ホテルはTさんが予約してくれていた。まあこんなものだろうが、1泊30ドルは少し高いと感じられる。シャン州の州都と聞いたが、ホテルはあまりないのだろうか。10年ぶりのタウンジーの街、変わっているかと聞かれても、もともとよく覚えていないので分らない。暗いせいかもしれない。

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今晩は、タウンジー在住日本人Sさんと会うことになっていた。実は半年前にTさんからSさんを紹介されており、タウンジーに来るはずだったのだが、その直前シャン州ラショーで寝込んでしまい、同行していたS氏とNさんだけがタウンジーに来て彼女に会っていたのだ。今回はTさんも一緒であり、せっかくの機会なので夕食を共にした。因みに彼女はかなり年の離れた大学の後輩にも当たる。

 

シャン料理のお店に行く。涼しい夜だったので、鍋が暖かく、とても美味しく感じられた。タウンジーには最近はおしゃれな店が増えたという。途中歩いていると『TOKYO CAFE』などという店も見えたのを思い出す。だがタウンジーに住む日本人はSさんと息子さん他、計4人しかいないという。

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