茶の源流を訪ねるベトナム茶旅2015(15)ムンライという街で

6.ムンライ2

運転手の家

5日ぶりにムンライに帰ってきた。懐かしいような、ホッとしたような気分で、また同じリゾートホテルに投宿した。ホテル環境は抜群だが、ネット環境はここの方が良くない。まあ1泊だけなので、ゆったりした気分に浸る。

 

まだ外は明るいが、特にやることもないので、市場見学に出掛ける。前回は夕方入って来て、翌朝出掛けてしまったので、この村をゆっくり見ることはなかった。まあそれほど大きな村ではない。市場もそれほどの規模ではなく、しかも日が傾いている。野菜や魚を売る人々は既にやる気はなく、のんびりムード。魚だけが焼かれていて、いい匂いはしていたが。

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市場のゲートの所に、座り込んでいる女性がいた。何かを売っているのかと思ったが、商品は見えない。どうもやら目が悪いように見えた。横には息子だろうか、男の子がいた。彼は何となくこちらに目をやり、近づこうか、止めようか、と迷っているように見える。そして母親の手を引き、ユルユルとこちらにやってきた。気が付いた運転手がすぐに手を振って追い払った。彼らはそれ以上来なかった。後で聞いたところ、M先生は彼らにこっそり、何がしかのお金を渡したと聞く。

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実は運転手の1人はこの村の出身でタイ族だった。彼の家を訪ねることになる。行ってみるとかなり大きな家だった。彼の奥さんが幼い子供を抱っこして迎えてくれた。典型的な高床式の住居で、2階へ上がる。大きなテレビ、ソファーもあり、部屋もいくつもあった。部屋と部屋の間、真ん中あたりには神棚のようなものも置かれていた。また部屋が並んでいるところと反対に1つだけ部屋があった。嫁さんはこちらで寝るという。お母さんも出てきた。

 

彼のお父さんはトラックで荷物を運ぶ仕事をしているようだ。彼自身も数年前に車を買い、仕事があれば運転手をしているという。ランドクルーザーを買えるのだから、そしてこの家を建てられるのだから、それなりの財力がある。この財はどこからやってくるのだろうか。

 

Uさんがまた得意の抹茶を点てて皆さんに振る舞う。奥さんもお母さんも『美味しいです』と言いながら、この場から姿を消していた。やはりこの苦味は、苦手なのではないだろうか。ただ運転手の彼だけが、とても興味を持ち、Uさんの指導で、実際に茶筅を使ってお茶を立ててみた。その手つきの良いこと、まるですでにどこかで習っていたようにしか見えない。茶を点てる潜在的才能というがあるのだろうか。

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ホテルに戻ると夕暮れ時。前回はあまり見なかったのだが、ホテルの裏側にある、古い木造の建物を見た。私ならこちらに泊まってみたい、と思ったのだが、設備がとても古く、今はガイドなどしか泊まっていないという。つい最近手前に新しい棟を建てたことが分かる。旅行客の増加を見込んだのだろうか。前回M先生らが来た時は、ここのオーナーも来ており、親しく懇談したようだが、今回その姿は見えない。どう見てもオフシーズンなのだろう。

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新しい建物の屋上へ行くと、向こうに川が見え、そして遥か遠く、微かに水力発電所が見えた。送電線が川沿いを伝っている。ベトナムの電力供給は現在どうなっているのだろう。最近あまり停電という事態に遭遇しないのは、それなりに行き届いてきていることを示しているといえるのかもしれない。

 

部屋の前ではTさんがお茶を点て始めた。Y先生が庭に咲いていた小さな花を摘んできて、その脇に活けた。このようなちょっとした心遣いが風流だと感じられる。自然な心というのだろうか。一人一人お点前を頂き、心地よいひと時を過ごす。夜が少しずつ近づいてくる気配がした。

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夕飯はまたあの広い食堂で食べた。今日も我々しか客がいない。これまでの4日間と違って、味付けがより中国的になる。それを美味しいと感じるのは、やはり日本人だからだろうか。海外に出た日本人が日本食を食べられない時、中華を食べてホッとする心境に似ている。まあ最近は中華よりも韓国料理かもしれない。今や韓国料理もアジア中、大体どこにでもある。

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食後、お待ちかねのカラオケとなる。前回M先生たちは、ここでカラオケを大いに楽しんだと聞いていた。特に若手のO君が活躍したようで、彼も張り切っている。そしてカラオケセットの準備を始めたのだが、どうしても日本の歌が出てこない。今やカラオケも衛星配信だから、その通信に問題があるかと思ったが、ベトナム語の歌は出てくる。結局日本人客は来ないし、来てもカラオケなどやらないということで、契約を打ち切ったらしいと諦める。

 

それでも収まりがつかないO君、英語の歌を歌い出したが、慣れていないせいか、フラストレーションが溜まる。すると宴会部長のSさんは、素早くIpadを持ち込み、何やら操作している。何とIpadの中に、曲が入っており、これを見ながら歌うことが出来た。これには一同ビックリしたが、M先生も懐かしい歌を探して、歌い始めた。良く考えてみれば、今回のグループの年齢差は最大60歳。当然知っている歌も違ってくる。それをここベトナムで歌う。何だかとても面白い。

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