ミャンマー紀行2005(23)ヤンゴン 別れの朝

1月21日(金)

10.ヤンゴン最後の朝
(1)散歩

さすがに朝早く起きた。暗い中で寝入ったため、窓が少し開いている。そこから涼しい風が入り込んで少し寒い。その窓からは鳥のさえずりが聞こえる。外は既に明るくなってきている。下に降りていくとTTMは既に台所にいた。朝ごはんをどうするのか考えていたようだ。テーブルには昨日トレーダーズホテルで買ったパウンドケーキが置かれている。確かにこれを食べればよい。しかし・・??

Myanmar2005b 225m

 

そこにSSが眠そうな眼で起きてきた。彼女はTTMに何か言っている。TTMも厳しく何か言っている。うーん、何だろうか?何となく朝ごはんの事だと思った私は、『SS、散歩に行かないか?』と言って見た。SSの顔がフッと輝いた。どうやらSSには食べたい朝ごはんがあるのだ。しかし前回もナンジーを食べに行っているし、朝から外食とはTTMに贅沢だと窘められていたのだろう。私にとってパウンドケーキはいつでも食べられるが、モヒンガーやナンジーはここでしか食べられない。当然食べたいのは後者。SSと利害が一致したわけだ。しかしただで食べさせるわけではない。私のガイドとして散歩に行くことが条件だ。

 

朝の爽やかな道を歩く。つい数日前にも歩いたのだが、かなり気分は違っている。SSとの深密度も今回の旅を通じて更に深まっている。SSに秘密があるという。それは・・・??なかなか言わなかったが、どうやらもう直ぐ誕生日であるらしい。そして誕生プレゼントを父親替わりのS氏からもらいたいのだ。S氏は覚えてくれているのだろうか?それが心配らしい。

 

歩いて行くと病院があった。何気なく看板を見ると何と日本語が書かれている。『PMCではこんなサービスが受けられます』、日本人が来る病院なのだろうか?医者は日本に留学した人なのだろうか?SSも全く知らないという。ヤンゴンにはいまだ未知の世界が色々とある。古い中国系寺院もあった。古びた門には漢字で名前が書かれていた。これは昔からいる華人のためのものであろう。奥は小高くなっていて、塔のような建物が見えている。かなり由緒正しい建物のようだ。日本の洋館の雰囲気である。いったいどんな人間が住んでいるのか?

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何となく家の周りを大きく1周した。最後に池のある公園へ。ここがガイドブックにもあるインヤー湖。今までTTM家の正確な場所すら知らなかったのだ。インヤー湖がこんなに近いとは?ここは本当に静かだ。木々が濃く、緑豊かだ。体操をしている老人がいる。どこの国でもおんなじ光景だ。湖というより池であるが、規模は大きい。湖沿いに歩いていくと永遠に続いていくようだったので、途中で引き返す。こんなよい散歩先があるのなら、次回は毎朝散歩しよう。

Myanmar2005b 220m

 

そしてSSはようやく足を速めてレストランへ。ミリオネアーと英語で書かれたこじんまりした場所だ。モヒンガーはここが美味いのだと言う。確かに朝から大勢の人が来ている。大きなぷりぷりのエビがたくさん入っている美味そうな碗が出てきた。スープの味噌がいい。麺もしこしこしている。あっという間に1杯平らげる。本当は2杯食べたかったが、やはり食べ過ぎなのだ。我慢した。

Myanmar2005b 222m

 

(2)別れ

家に戻るとTTMが美味しそうにパウンドケーキを頬張っていた。パウンドケーキは日本で食べるより、海外の方が美味しい。しかしこんな高価な朝ごはんはないだろう。おかしなものだ。麺はこのケーキの何分の一かの値段ではあるが、また違ったよさがある。ようは値段ではない。価値は食べる人の中にある。

 

今日はとうとうミャンマーを離れ、バンコックへ向かう。いつもと同じフライトである。別れの時間が近づいている。みんなそれは分かっているが、誰もそれを口にしない。ゆっくりミャンマー茶を飲んでいる。そして時間がやってきた。運転手は外で待っていた。SSが荷物を持って車の方へ。いよいよ出発である。SSが門を開けて車に乗り込む。振り返ると少し霧がかかったTTM家が小さくなる。

 

道は空いていた。殆ど何も話さないうちに空港に着いてしまった。まだ時間があったが、この国ではチェックインを早めにする必要がある。『さようなら』と一言だけ言って分かれてしまった。あまりにも呆気ない。チェックインの作業は相変わらず、ゆっくりである。決して手際がよいとはいえない。それでも遅々としてでも進んでいるのでイライラはしない。荷物検査の時に何か少ない気がしたが、その時は分からなかった。後で考えてみるとチャウメイで買ったお茶が入っていなかったのだ。しかしまた行けばよいので、と素直に諦める。

 

上を見上げるとTTMとSSが手を振っている。旅行社社員ということで2階に入ることが出来るようだ。彼らの旅行社は今後どうなるのだろうか?上手くやっていけるのだろうか?皆一生懸命やっているのだから、何とかなるだろう。

 

今回の旅はミャンマー旅行の恐ろしさ?を体験した。車での長距離移動の連続、デジカメの充電にも事欠く電気事情など。それでもこの国に来るとホッとするのはなぜか?次回はそれを確かめに来よう。そしてもう一つ、TTM、SSに頼る旅から脱却したい!と思うのだが、それは無謀だろうか。

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