ミャンマー紀行2005(22)ヤンゴン 川の夕日とおいしい夕食

(6)対岸

ストラッドホテルの直ぐ近くにフェリー乗り場がある。沢山のタクシーが停まっている。TTMが私を引っ張って部屋に入る。外国人はフェリー代1ドルを徴収される。たった1ドルの切符のために立派な係員が立ち会う。私の名前を用紙に記入している。不思議だ。一般ミャンマー人は100k?直ぐにフェリーが到着し、大勢の人が降りてくる。船は20-30分に一本ある。写真を撮るのに夢中で、乗りそこないそうになる。本当に大勢が乗り込む。夕方である。ヤンゴンに通勤し、家に帰るのであろうか?

Myanmar2005b 191m

 

船はかなり広い2階に上がると男女が床に座っている。日本の風呂場にあるプラスチックの椅子をTTMが持ってきた。50kだという。不思議な商売である。断って端に立つ。夕陽が落ちて行くのが見える。なかなかよい。ストラッドホテルを含む優雅な建物が遠くに見える。客船が一艘岸壁に横付けされている。その横では貨物船がわずかな荷物を荷揚げしている。おじいさんと小学生の孫娘が立ったまま夕陽を眺めていた。その光景を斜め後ろから見ると後光が射しているように見える。この二人は何を思っているのだろう?いや何も考えていないのだろう。この風景も悪くない。

Myanmar2005b 198m

 

何故このフェリーに乗ったのか?それは先日会った下川裕治さんが『ヤンゴン川の向こう岸に焼き物工場がありましたよ』とアドバイスしてくれたからだ。ところがTTMによればその焼き物の町トウンテーはその岸から更にピックアップで1時間掛かるらしい。ガイドブックには『町全体が素焼きの壷に埋もれている』とある。是非行ってみたいのだが、さすがにそこまで行く暇はなく、せめてフェリーに乗るぐらいはしたいと思ったわけである。

 

対岸が近づく。閑散とした質素な乗り場である。ところがフェリーから人が降り始めると一面人の山と化した。物を売る人達が座り込んでいるが、今にも踏み潰されそうだ。木製の橋は軋んで折れそうである。乗り場を出ると、ピックアップが数台待っている。人がどんどん乗り込んで行く。若者は屋根の上に乗る。後ろには立ったまま車の外の手すりを掴んでいる人もいる。どこまで行くのだろうか?

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道端に座って野菜を売る者、豆を売る者、ざるの上に商品を並べている。中には細い鉄の鼎を使ってざるを支えているものもある。野菜はどれも近郊で取れたようで、新鮮である。TTMは早速手に取って品定めをしている。もう少し歩くと市場のように露天が連なっている場所があった。みんなゆったりとしている。商売っけはない。夕暮れが近づき、暑さが和らぎ、風が心地よい。何にもない場所ではあるが、非常によい場所である。

Myanmar2005b 203m

 

帰りもフェリーで戻る。夕陽がヤンゴン川に沈んでいく。パガンの夕陽ほどではないが、ゆっくりと川面に落ちていく。低い山波が遠くで色を変えていく。うーん、静かだ。フェリーから眺める夕陽もよい。ターミナルに戻るとまた雑踏が待っていた。巻き込まれたくない状況である。しかし人に押されて前へ。TTMは家に戻るタクシーを必死で探している。値段と場所の折り合いがつかず、断られている。ここでは運転手有利の状況である。既に日は落ち暗くなっている。

 

(7)夕飯

何とかTTM家に戻る。そこには腹を空かしたSSが待っていた。食事は何がよいかというので、最後だからミャンマー料理と答える。SSは大好きなホットポットを希望していたのだろうが、そうするといつも同じになってしまうので、別の店に連れて行ってもらう。運転手は用事が終わったのか、戻ってきており、早速出かける。真っ暗な中を15分ほど行く。民家の庭に車が入り込む。そこがシェミエであった。民家を改造したレストランである。時間が早いせいかお客さんはいない。

 

ウエイトレスが一人出て来て注文を取る。何がよいかと聞かれても、実はいつも誰かが注文してくれているため、料理の名前をよく知らない。するとTTMは奥からオーナーの男性を連れて来た。今日のお勧めを聞いている。突然TTMが『この人日本語できますよ』と言う?オーナーは仕切りに出来ないというゼスチャーをしていたが、これもまた突然『サンドミンです。サンは山、ドは土、ミンは民で山土民です』とほぼ日本人が使う日本語を話した。ビックリ。

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聞けば東京の高田馬場に10年以上住んでいた。貿易をやっていたということだが、どんなことをしていたのだろうか?それにしても日本語が上手い。ここは奥さんの店だと言うが、自分でも料理している。なかなか器用である。料理はミャンマー料理だというが、はじめてみる物もいくつもある。オクラ、キュウリ、レタスに辛いたれをかけて食べる生野菜。大きな鱈子の煮物?をご飯にかけるとバカウマである。この味は日本に近い。濃い味付けの中にザラザラした舌触り。地鶏のから揚げも日本風?エビ卵炒め、空心菜炒めは定番でだが、全て美味しい。ミャンマー最後の夜に相応しい料理であった。

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食事を終えてどうしようか??前回行ったカラオケにでも行くか??SSは期待しているかも?しかしお母さん、TTMはそんなことは許さない。最後の夜はミャンマーらしく、ということでパゴダに行くことになる。チャウッターチーパゴダ。ガイドブックにあった涅槃物のあるパゴダである。以前バゴーで行って見たシュエターリャウン涅槃物に匹敵する規模といわれて見てみたくなった。暗い坂道を上がるとパゴダがある。夜道には人影は全くない。いるのは犬だけである。SSによれば、最近ヤンゴンには捨て犬が多いという。捨てるというか、殺生できない仏教徒であるから、皆が寺に置いて行くのだそうだ。それで寺の近くには犬が多くなる。犬ばかりではなく、猫もいるようだ。ヤンゴンの変化としては重大な話のような気がする。

 

パゴダは大きかった。中に入ると明るい。寺というより体育館に入った感じ。手前には広い空間があり、この時間でも座って話している人々がいた。仕事が終わった後友人同士ここに来ておしゃべりしているのだろうか?ここの涅槃物も大きかった。全長70m、高さ17m。比較的新しい仏のようできれい。そして寝姿は柔らかく、優美。更には大きな足の裏に不思議な絵図が描かれている。仏教宇宙観図?何であろうか?暫く眺めたが、全く分からず。しかし涅槃物を見ているうちにこちらも眠くなってきた。思い返せば、今日は朝5時台に起きている。眠いのも当然である。急にTTM家に戻る。そしてシャワーすら浴びずに居心地のよい2階のベッドで眠りに着く。

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