梅ヶ島茶旅2015(1)聖一国師所縁の地をバスで

《梅ヶ島茶旅2015》  2015年6月13日‐14日

 

日本の茶畑に行ってみよう、ということで、東京にベースを移してみた。何しろ円安だ。今やバンコックから航空券を買うより、東京で買った方が安い場合が多いという、これまででは考えられない現象が起こっている。日本には茶畑が沢山あるし、日本を旅するコストも格段に低下してきている。

 

今回は今年3月、鎌倉のお茶講座で出会ったSさんのお誘いを受け、静岡県の梅ヶ島というところへ行ってみることにした。『天空の茶園』というキャッチフレーズに惹かれたのだが、どんなところなのだろうか。スケジュールは当初15日の月曜日に伺うことになっていたが、何とお茶繋がりのHさんもこの茶園に関係していることが分かり、『13-14日に週末ツアーがあるので参加してみては』と言われて、その気になった。だが色々と誤解もあり・・・?

 

6月13日(土)

梅ヶ島まで

突然に決まった静岡行き。梅ヶ島というところへ行くには静岡駅からバスに乗るらしい。最終バスを調べてみると、午後3時20分だったが、その日は女子ワールドカップ、なでしこジャパンの試合があり、午後1時過ぎまではテレビの前でカメルーン戦の勝利を見ていた。そして走って外へ出た。2時過ぎに品川から新幹線に乗らなければ間に合わない。かなりギリギリの選択だが、これ以外にはありえない。そもそも新幹線は料金が高いから乗らない、と決めていたのだが、あっさりとその禁を破る。これも運命、いや流れというヤツだろう。

 

品川駅に何とかたどり着いた。昼ごはんを食べていなかったので、崎陽軒のポケットシューマイを買う。これ、280円で6個入っており、安くてウマイ。私のお気に入りだ。新幹線は5分に一本というハイペースで出ているのだが、静岡駅で停まる列車は30分に一本ぐらいしかないのがやや意外だった。結局新幹線とは京都や大阪へ行く人のためにある線なのだろう。自由席に乗り込んでシューマイを食べるとすぐに、静岡に着いてしまった。僅か1時間。これで片道6000円は決して安くはないが、今回は時間を買ったので仕方ないと諦める。

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時刻は3時を過ぎていた。駅前のバスターミナルには多くのバスが発着する。その中から梅ヶ島行きを探して、列に並ぶ。意外と乗る人がいるんだな、と思っていると、違う路線が先に来て、間違えて乗りそうになる。そして時間通りに梅ヶ島温泉が来て、乗り込む。乗客はそこそこいたが、街中を走っている間に大半が下りてしまい、30分後には私以外誰もいなくなっていた。梅ヶ島は静岡市内だと聞いていたが、何とバスで1時間半もかかる所。

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バスは黙々と進む。片側はずっと山が繋がっている。途中蕨野というところで、聖一国師墓所と書かれた看板が見えた。静岡茶はこの僧侶が中国浙江省の径山寺に修行に行き、そこから茶の種を持ち帰った。静岡茶の始祖と呼ばれる聖一国師は「本山茶」の種を安倍川筋にまいて,静岡茶を日本一にする基をつくったとして崇められている。他に誰も乗っていないのだから、『停まって』と言いたかったが、そこは路線バス。せめて『看板の写真を撮るまで停まっていて』とは言いたかったが、無情にも信号が変わり通り過ぎてしまった。その看板、もっとじっくりと見てみたかった。

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ところでその中国の寺、径山寺へ行ったことがある。杭州から車で1時間半、そこには静岡の人々が建てた聖一国師の石碑があり、日本茶の源流とも書かれていたので、驚いた記憶がある。寺の裏はまるで日本かと思うような風情の竹林があり、また山裾に茶畑が広がっていた。今でも寺が茶園を所有し、修行の一環として、僧侶による茶摘み、製茶が行われている。寺院内には、ちゃんと製茶室があり、製茶道具が置かれている。勿論かなりイベント化していると思われるが、それでも仏教と茶の関係、日本に何故僧侶が茶をもたらしたのかが、何となく分かる気がした。

 

安倍川の横の道をバスは遡って行く。3月に行った川根の場合も、大井川に沿って進んでいった。確か山の方には温泉もあったと思う。梅ヶ島の茶畑も同じような環境で作られているのだろうか。輸送を考えるとやはり川沿いが便利なのだろうな。そして静岡駅から1時間半を過ぎ、ついに指示された大野木、という停留所で降りた。梅ヶ島温泉まではあと6₋7㎞はある場所だった。運転手さんが何となくホッとした様子を見せた。何と乗車料金は1400円もかかった。単独の路線バスでこんなに支払ったことは今までないだろう。そこには道路はあり、ログハウスのレストランが1つあるだけで、他には何もない、トンでもない田舎へやって来てしまい、唖然とした。

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