《安徽お茶散歩 2009》(2)

(4)包公公園

確かに公園は直ぐに見付かった。実はホテルとも近かった。包孝粛公墓園と書かれた門を20元支払って入る。かなり静かな、広い空間がそこにある。神道を歩き、神門を潜る。両脇は木々に覆われ、細い道が如何にも神の道のよう。

その奥に包公の墓碑と墓があった。こんもりした墓は穏やかな雰囲気があった。包孝粛は合肥出身の北宋時代の官吏。非常に清廉潔白、公平無私の人物だったと言われており、中国では戯曲に何度も登場している。私も香港時代に彼を主人公とした『包青天』というドラマを見た記憶がある。日本で言う大岡越前の大岡裁きのような痛快な判断が話を面白くしている。彼が聖人と拝められると言う事象が『中国の官吏に清廉潔白な人物が如何に少ないか』を物語っている。

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実はこの墓の下には遺骨が納められており、我々も中に入ることが出来た。地下道には両側に明かりがあるものの、やはり暗い。写真も上手く撮れなかった。尚墓の近くには夫人及び子供の墓も作られていた。

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ここまでは包公祠であり、外へ出ると大きな公園になっている。いきなり猿を連れた男が飛び出してきて、猿が宙返りをする。何だろうと思っていると男が手を出し『10元』と叫ぶ。芸の押し売りだ。無視していくと何か叫んでいたが、周囲の中国人からも『あれで10元』と言った野次も聞かれた。

池があり、きれいな風景が見える。合肥は本当に良い公園が多いと思う。ゆったりと歩く。道端で水を筆に含ませて地面に字を書いている老人がいた。

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疲れが出てきたので、ホテルに戻り、夜も簡単に済ませて寝てしまう。

 

8月6日(木)
(5)朝

朝起きてテレビをつけると、広島の原爆式典をやっていた。麻生首相の挨拶が特に冴えなかった。政権交代か?朝食は満足の行くビュッフェであった。急ぐ旅でもないので、2度寝しようとしたが、それは無理だった。起き上がってチェックアウトする。

ホテルを出てタクシーに乗る。昨日調べた鉄道駅の隣のバスターミナルを目指すが、何とこれまた2つあった。これは不便である。幸い運転手が分かってくれたので、無事に到着。窓口で六安行きの切符を買う。所要時間を聞いたが、相手は全く聞いておらず、逆に私の手元を見て『50元札が2枚あるなら100元と取り替えて』と勝手なことを言い出す。相手にしていられないが、最近は笑える自分がいる。

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バスは中型。赤ちゃんが3人も乗っていて賑やか。満員ではなかったので、ゆったり座る。最初はエアコンが効かず暑かったが、スピードを上げると涼しくなる感じ??バスは市内を抜けるのに30分を要し、更に高速はないので、一般道をゆっくり走る。70kmしか離れていないのに1時間半掛かる理由である。

途中でバスが横道に入った。前のバスに習っている。何故?何と検査があった??と言うか形式的にチェックしたように見せていた。こういったことが無駄である。ミャンマーでは各関所で本当に身分証を運転手が持って走っていたのを思い出す。最後に道路を数百メートル逆送したのには呆れた。道路工事か事故かと思ってみていたが、何とバスターミナルに入るのに便利だからと言う理由。慣れている車もあったが、驚いて避けている車も。恐ろしい。雨が強く降っていた。

2.六安 
(1) 雨 
バスターミナルは南駅。ここが郊外だということは分かるが、一体何処??傘を取り出して何とかビルの中へ。次の目的地??河南省信陽へのバスを確認。六安の地図を買おうとしたが、どこにも売っていない。ここがどこかも分からず、どうすれば良いかも分からない。外へ出るとちょうどタクシーが客を降ろした。取り敢えず乗り込む。

『六安で一番良いホテルへ』。仕方なく伝える。地方都市だからそんなに高くないと高を括る。タクシーの初乗りも4元。10分ほどで市内中心へ。ここにも開発の波が来ている。ウォルマートが先月開業したと宣伝している。高級そうな建物も見える。そして立派なマンションとこれから開発する広大な敷地の間を抜けてタクシーはホテルに入った。8元。地方都市の省都の次のランクは今まさに市内中心を大規模開発中。バブルが弾けなければよいが。

晥西賓館、それは結構高級そうなホテル。ロビーも立派。フロントで料金を聞くと560元を35%オフの368元(サービス料、朝食込み)とのこと。雨で他を探す当てもなく、チェックイン。フロントの女性は皆若くて可愛い??日本人と分かると一生懸命英語を使ったりする。

(2) 張さん 
時刻は12時前。さてどうするか?唯一の当ては秦さんが紹介してくれた六安のお茶屋さん。何はともあれ、電話してみる。しかしどんな反応だろうか?秦さんの紹介文でも『最近取引は余りない。丁寧に説明すれば思い出すのでは?』と心許ない。

電話に人が出てホッとする。出なければ、全てが振り出し。しかし『秦さんを知っていますよね?』の問いに、『余り記憶にない』との答え。どうしようかと困っていると、『兎に角良く分からないので、ホテルに行くよ』という有り難いというか、申し訳ない答え。しかも今昼休みで家にいるので、1時には行けるとのこと。当方はちょうど良いので、昼食を抜いて待つ。最近の食べ過ぎで食欲も減退。

1時前に部屋のベルが鳴る。張さんがやって来た。旧知のように握手。部屋で話を始める。彼がどんな人かは秦さんのメールにも書いていなかった。住所はあったが、今はそこにはいないとのこと。晴れていれば直接行く所だった。

彼は六安瓜片の里、斉頭山の麓に茶葉工場を持っていた。同時に輸出を行う会社も経営。六安瓜片の産量は年間50万トン、彼の工場は1万トンを製造。よい瓜片は年1回の摘み取り、時期は穀雨の前後10日と非常に短い。その他、霍山黄芽という柔らかい芽を中心に摘み取った茶も製造。こちらは霍山に工場を所有。

輸出はアメリカ、フランス、ドイツ、ベルギーなど。日本向けもあるが多くはない。毎年春に欧米の取引先がやってきて、斉頭山で茶の製造を見学する。来年来れば案内するよ、と言ってくれる。因みに今は茶葉がない、その上雨で道が悪い。何と斉頭山に行くには途中までは車で行き、ダムのある所は船で行くそうだ。今日の様な雨では道路が危険とか。

張さんのお茶は秦さんが認めているのだから本物だろう。ホテルで話していても茶葉は出てこない。思い切って張さんのお茶を見せてもらいたいと頼む。既に最高級のお茶は売り切れとのことだが、快く承諾してくれた。

タクシーでオフィスに向かう。人民路を少し行くと茶葉市場があったが、素通りした。そこからかなり乗って漸く着いた場所も何と茶葉市場。張さんのオフィスはこの郊外の市場の中にあった。バスターミナルの東駅と開発区の近くらしい。聞けばこちらの市場はそれ程大きくないようで、先程通った市場は百数十軒とか。

シャッターを開けて店に入る。張さんはここ数日ここには来ていなかったようだ。早速六安瓜片が出てくる。茶葉は全て手摘み、機械だと葉っぱの外形はきれいだが、口当たりが良くない。茶葉の中に黄色掛かった少し異質の物がある。これは山の中で採れたものの証らしい。最近は麓の方で摘んだ茶葉も値段を吊り上げて売っているらしい。見分けは難しい。

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彼の工場で製造した良質の茶葉は既に輸出したか、地元で売ったか(少量)、友人に配ってしまい、500g、600元が最高だと言う。私のような一見さんには今あるお茶を高く売っても良さそうだが??400元の物と飲み比べた。一般的に六安瓜片は龍井などと異なり、少し重い感じのする緑茶である。日本人には向かないとも思える。しかし今回飲んだ茶葉は飲んだ後の感覚がすっきりしていた。

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霍山黄芽も飲ませて貰ったが、こちらは最近愛飲している黄山毛峰と似ており、値段が安い分だけお得かもしれない。結局瓜片を少し購入。入れ物は小型の茶筒で、これが気に入ったので購入したような物。結構な荷物を背負ってしまう。

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タクシーでホテルまで送ってもらい分かれる。張さんは他に用事があったようだが、態々付き合ってくれた。有り難い。

(3) もう一つの茶葉市場 
ホテルに戻り、一仕事を終えてぐったり。ところがこういう時に限って雨が止む。そうなると出掛けない訳には行かない。気を取り直す。先ずはフロントで明日のバスの予約をお願いする。お姐さんが一生懸命電話してくれるが、要領を得ず、何度も依頼する。しかし彼女らは一度も嫌な顔をせずに聞いてくれた。これは素晴らしい。今回発見したのは先程南駅で確認した掲示板と電話で言われた時刻がかなり違っていること。どちらが正しいのだろうか?明日は早起きになってしまった。

ホテルの隣には六安烈士記念公園があった。毛沢東の像が出迎えてくれる記念館。中に入ると六安付近から多くの将軍が出ていることが分かる。確かに清代も李鴻章の出身地として軍事に長けていた。正直山間の貧しい地域では軍隊に入るのは一つの就職だったかもしれない。それにしても志の高い人々がいた。革命、抗日で命を落とした人々が掲示されていた。鄧小平もこの付近で国民党と戦ったとある。意外と知られていない安徽省の一面である。

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公園自体はよく整備されていてきれいで気持ちが良い。記念館の裏には記念塔も建っている。そして周囲は池と緑、芝生も青い。散歩しようとすると何故かまた雨。実は南駅からホテルに到着した際、荷物に紛れて傘を忘れてしまったので、急いで探して買う。

そのまま人民路を歩いて行くと、博物館がある。六安博物館、入ってみる。料金は無料。

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北京の四合院のような造り。中庭はかなり整備されており、花が咲き、雨上がりで非常に瑞々しい。しかし展示物は余り無く、係員は本当に手持ち無沙汰。彼らは本を読むのにも飽き、やることは何もない。

 

 

博物館の先を右に折れると、茶葉市場がある。六安にあるもう一つの市場である。入り口には『????』と書かれ、両側に店が並ぶ。ここは1軒ずつ独立しており、雨のせいで戸を閉めている所が多く、入り難い。

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たまたま雨だったからかもしれないが、折角来たのに、何故かパスしてしまった。1軒も寄らないのは自分としても不思議。先程の張さんの案内で、満足してしまったと言うことか?それとも歳を取ったということか??

そのまま立ち去り、晥西路を歩く。この街、かなりの都会である。大きな地場百貨店がいくつもあり、不動産開発も結構盛ん。数年前は㎡数百元だったが、今は3000元程になっていると言う。それでも中国の一般的な都市よりは価格の値上がりは抑え気味。

ホテルの横も立派なマンションが建っている。その周りはブティックが並び、公園を借景としてなかなか雰囲気のよい散歩場所を提供している。ここ数日は雨が降ったせいもあり、夕方は特に涼しい。気分良く、散歩を続けた。

食事は簡単なものが良いと思い、小さなレストランで相談すると親切にあれこれ考えてくれる。どうやらこの辺りは味がかなり濃いらしい。普通の木耳豚肉炒めがよいと言うので、食べてみると、それでも唐辛子とピーマン、生姜も入り、結構辛い。

夜は早々に寝たが、何と夜中の12時に花火を上げられ、音で飛び起きたのには驚いた。どんな理由かは知らないが、こんな事は旧正月以来であろうか?そう言えば、隣の公園で京劇か何かを遅くまでやっていた。何の日なのだろうか??

8月7日(金) 
(4)朝 
朝6時前に起きる。ホテルの従業員が気を利かせて6時にモーニングコールが鳴る。こういうサービスは嬉しい。6時20分に1階の食堂に行ったが、食事の半分も無かった。こちらも余り食べる気が無かったので、麺を小椀で1杯とフルーツで済ませる。

それでもこのホテルの印象はよかった。さて、これからどうなるのだろうか?安徽では不完全燃焼??

 

 

 

 

 

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