《安徽お茶散歩 2009》(1)

2009年8月5-7日

《安徽省お茶散歩》2009年8月5-7日

今年からHPの題名を茶旅に変更した。それなのに、お茶の旅に全く出ていない。正直北京生活も2年を過ぎ、何となく疲れている。こんな時に結構パワーの必要な茶旅は難しい。ということで、今回はソフト茶旅、壮年茶旅と言うことで、無理をしない旅を心掛ける。

場所は未だ行っていない中国国内の6つの省に絞る。何とお茶所の安徽省があった。当然ここに決める。しかし黄山は高所恐怖症で難しい。中国10大銘茶の1つ、六安瓜片の古里、六安を目指すことになった。

2009年8月5日(水)

1.合肥
(1) 合肥へ

スケジュールはなかなか決まらなかった。暇な時は暇だが、いざとなるとちょこちょこと予定が入る。ちょうど北京の文化人(日本人)を支援するなど、これまで異なる活動も入り、いい意味で忙しい。結局出張で行くはずだった新疆行きが事件で中止となり、その期間を確保した。

朝8:05発の合肥行きに乗る。隣には全く分からない言葉を話す老夫婦が座っていた。おじいさんは飛行機に乗るのが初めてのようで、落ち着かない。肌の焼け具合から恐らくは、農家の人だろう。いよいよ国内線も団体旅行ではなく、個人旅行の時代か??

合肥の空港は思いの他、小さかった。きれいな建物であるから最近改修しているはずだが、ゲートから出口までも直ぐ。出口を出ても殆ど何もない、相当小さな地方空港であった。外へ出ても建物は広告の看板で覆われ、空港の名前さえなかった。不思議。

取り敢えず市内へ行こうと思い、空港バスを探すがそんな立派なものはなく、ミニバス1台が停まっているのみ。10元で駅や主要な場所へ行くようだが、乗る人も殆どなく、どう考えても、この空港にはバスが不要であることが分かる。発車もいつになるか分からず、下りる。

横のタクシー乗り場は、他の地方空港のように乱れている訳ではなく、料金交渉をする必要もなく、かなりきれいな車が停まっていたので、乗り込む。運転手は女性で非常に丁寧。しかし・・??『何処へ行くのか?』と聞かれてはたと困る。確かに市内に行くつもりだが、ホテルも決めていなかった。とっさに出た言葉は『暇日飯店』へ。休みに行くホテルとしては良い?と言うことではなく、単に日経新聞朝刊の小説『甘苦上海』の主人公が先日猫を追いかけて合肥に来て、泊まったホテルがホリデーインだっただけだ。

しかし『暇日飯店』は何処にあるのか、と聞かれてまたまた困る。殆ど事前調査をしない私の旅、思い出したのは先日貰ったホリデーインを含むホテルグループのカード。昨日中国の何処にあるのか確認したのだ。確か合肥には3つあったはず。そして確か『光明・・』?運転手は『分かった』と言う。本当か??

途中で合肥の茶葉市場の場所を聞く。『「鳥の巣」の巣と湖だよ』との答え。ホテルからも近いらしい。結局暇日飯店まで20分ぐらいで着いた。料金も僅か18元。それでは10元払ってミニバスに乗る人はいないだろう。ガッテン!!

他のホテルを探す手もあったが、今回の目標である『無理をしない壮年旅行』からして、折角着いたこのホテルに宿を取る。時間はまだ午前10時半。部屋はないと、最初言われたものの、最後は何だかチェックインできた。サービス料、朝食込みで470元、私の旅としては安くはないか高くもないか?インターネットが直ぐに繋がり、無料。気に入る。

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(2)逍遥津公園、明教寺、李鴻章故居

ホテルで地図を買い、直ぐに外に出る。先ずは明日行くつもりの六安行きバスターミナルをチェック。ホテルマンは直ぐそこだと言ったが、行ってみると何と六安行きのみは駅の横の別のターミナルであった。残念。

駅には行かずにそのまま歩く。市内中心部何だか、水に囲まれている。小さな川が流れており、何とその横にも暇日飯店がある。古井暇日飯店、どうやらこちらの方が若干高級であり、日経朝刊の女性もここに宿泊したと思われる。

橋を渡ると、右側に緑が見えてくる。非常にきれいな植え込みがあり、小川も流れている。しかし何故か向こうには観覧車も見える。ここは何だ?地図を見ると逍遥津公園とある。逍遥と見れば、坪内逍遥を思い出すが・・??

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正門からは入るといきなり遊園地となっており、夏休みで子供が歓声を上げている。その脇には広大な池があり、良い風が吹いている。奥に入ると徐々に静かになってくる。小さな池を配した庭などは日本的で、実にきれい。全体的に緑が多くてゆったり出来る空間がある。

この公園は215年孫権率いる呉の大軍10万が、僅か800人の魏の張遼に敗れた三国志演義でも良く知られた古戦場。夜の奇襲、また撤退時の待ち伏せにより、孫権は脱兎のごとく、逃げていったとの故事がある。張遼の墓と墓碑はかなり奥まった所にひっそりとある。ここまで来てお参りをする人は殆どいない。

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公園の向かい側に明教寺という古刹があると聞き、訪ねた。ところがなかなか見付からない。古刹と聞いて古い通りを想像したのがいけなかった。実は街中の開発されたショッピング街の中に何とお寺があったのである。

寺は階段を登って入る。信者は無料だが、見学は10元取られる。明教寺は南朝後梁年間(555~587)に創建された寺。寺の造りは中国で一般的に見られるものであったが、ここには三国志の曹操が兵士の弩(弓)の訓練の為に築いたと言われる教弩台(きょうぬだい)、高さ5m、面積3700㎡の弩台跡がある。台の上には269年に掘られたといわれる井戸もある。

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しかしその場所まで行くと、信者なのか近所のおばさんが数人陣取っており、中に入ることができなかった。弓の訓練をした台が今ではおばさん達の井戸端会議の場所とは??(井戸の上で井戸端会議とは??)

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昼の時間を過ぎていたので、その辺の横道の道端で麺を食べた。合肥は小店が多いようだ。この暑いのに名物だと言うことで、砂鍋粉糸を選ぶ。土鍋で煮込んだ感じで極めて熱い。汗がにじみ出たが、味はいける。ズーランと呼ばれる香料が効いている。何度も休みながら完食した。5元。

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今度は清末の大政治家李鴻章の故居を探す。これまた地図がいい加減で見付からない。1周回って気が付いた。何と明教寺の直ぐ北側、同じ道にあったのだ。こんな歴史的な名刹の横に家がある、それだけで李家のこの地での地位がわかる。

立派な門構えを中に入ると入場料20元を払う。内部は復元されたと見えて、かなり新しい感じ。何故かバナナの木などもあり、南国風。広さも相当に広い。彼が太平天国の乱に際して准軍を組織できた財力と人望はここにあったのだと分かる。

 

 

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ここから安徽省博物館まで歩く。曇りの天気で暑くないと思ったが、さにあらず。途中から汗が吹き出てきて困る。3kmぐらい歩いただろうか?無謀なことであった。

ようやくたどり着いた博物館は無料であったが、門の所で入場券を取る必要があった。それを入り口のおじさんに渡すだけ。何故こんな面倒なことをするのか?以前は有料だった全国の博物館は皆無料となり、印刷されたチケットが余ったので、これを使って入場者数を数えているのではないか?だとすれば、入場者の迷惑など考えない、如何にも中国的な手法である。

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肝心の博物館の中身だが、これも残念ながら、いまひとつ。苦労して歩いてきて後悔した?と言っても、安徽省の古い建築物の紹介など、参考になるものもあった。が、安徽省の歴史などの纏まった紹介などは全くなく残念。 

(3) 茶葉市場

疲れていたのでタクシーに乗り、巣湖路にある茶葉市場に到着。何となく茶葉市場と言うイメージはなく、どこかのお店と言う感じの入り口。中は両側にお店がずらり。更に奥に行くと、後ろにも建物があった。かなり細長い市場である。

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しかし今は夏。平日の午後ということもあり、お客の姿は殆ど見られない。お店の人々も居眠りか、マージャンかカードをしており、商売する気は殆どない。そんな中を歩く私はある意味では好奇の的。みんなチラチラと見ている。

ここは安徽省の市場らしく、黄山毛峰、太平猴魅、そして六安瓜片など安徽省のお茶を中心に売っている(最近進出したのか、福建省の鉄観音を扱う店が後ろの方に数軒あったが)。暑さで茶葉が悪くなるという理由か、店頭から茶葉を撤去している店も多い。

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見ていても埒が明かないので、お姐さんに誘われて1軒の店に入る。比較的若めの男性(老板)が2種類の瓜片をガラスのコップに入れてくれた。比較してみようと口を近づけたが、何と熱湯で熱くて飲めない。安徽省では緑茶を100度で入れるのだろうか?その後六安の事など質問してみたが、何となくかみ合わない。先方も訳の分からない人間が行き成り来たので面食らったかもしれないが、話を継続する気にもなれず、外へ出た。

建物を通り抜けて裏に出てしまった。このまま去ろうかと考えたが、何となくもう一度引き返す。最初の入り口に近い所まで戻ってしまったあたりで、おばさんと目が遭う。看板には農民の店、とある。ちょっと気になって入る。おばさんは大きな声で何かを呼ぶ。おじさんが出て来た。おじさんは『何のお茶が欲しいのか?』と聞いてきた。どんなお茶があるのか分からないので、いいお茶を、と答える。おじさんは狭い店の2階に上がり、茶葉を取り出してくる。

ガラスのコップに茶葉を入れ、お湯を注ぐ。お湯の温度も程よいようで、少し濃厚な感じが広がる。六安瓜片はさっぱりしている物が多い中、少し独特。香りはほどほど。

おじさんの言葉はかなりの訛りがあり、聞き取りにくい。しかし何故か単語がところどころ分かり、意味が繋がる。不思議だ。六安瓜片の産地は金塞県、合肥から3時間余りかかるらしい。更にその付近にはダムがあり、船で斉頭山へ向かう。斉頭山は海抜800m、山の上の方で採れるお茶が本当の瓜片だ、と。

 

今は夏で斉頭山に行くのは結構大変。来年春に来れば、おじさんが案内してくれると言う。彼は『自分達は農民で、商売は良く分からない。その代り人を騙すような事はしない。』と。確かにはじめてやって来た人間に対して、非常に親切であり、お茶が好きだと言うだけで仲間になれる雰囲気がある。こういう感じが好きなのである。

この市場は2001年に出来た。元々あった市場が取り壊しにあい、場所を探した所、違う商品を扱う市場であったこの場所がちょうど空いていたので引っ越して来たらしい。当初はかなり厳しい環境であったようだ。15軒で始まった市場は今では10倍近い。

家賃は当初からいる店は数百元だが、後から来た人々は2000-3000元/月と違っている。殆どが六安瓜片を売る店だが、最近鉄観音を売る店も登場。安徽でも香りの立つ鉄観音を飲む人々が出てきたようだ。

名残は惜しかったが、席を立つ。おじさんとおばさんが手を振ってくれた。そして出口付近に来ると、何故かまた向かいのお姐さんと目が合う。どうぞ、と言う感じの目。思わず茶葉を見る。実は六安にも色々な名前の茶葉がある。

中に入って、お茶を飲む。彼女が蓋碗を使って緑茶を入れる。これはこれで変化があってよい。ガラスのコップは茶葉を見せるのには良いが、香りを上手く嗅ぐには適さない。今回は香りを中心に見る。彼女も金塞県の出身。『さっきからこの辺をウロウロしていたでしょう。だから声を掛けた。』と親切。金塞県は空気が良く、水も豊富。何もないけれどいい所だと言う。それだけあれば十分なのかもしれない。

合肥では何処へ行ったかと聞く。既に行った場所を答えると『直ぐそこに包公公園があるから行くと良い』とアドバイスしてくれる。有り難い。もう一度裏口まで行き、言われた通り進む。

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