車を呼んで茶葉博物館に向かった。恐らくここへ行くのは15年ぶりだろうか。運転手が話し掛けてきたが、安徽の訛りが強くて半分しか分からない。ただ彼が「何年か運転手しているけど、茶葉博物館まで客を乗せたのは2回目だ。あんたは何しに行くんだ」という言葉が印象的。決して多くの観光客が訪れる場所ではないということか。車は西湖の周りを走るが、日曜日ということか渋滞があり、なかなか進まなかった。

何とか博物館に着くと、周辺の茶畑に観光客がおり、ちょっとホッとした。入場料も取られず、名前とパスポート番号を登記すれば自由に見学できた。私は茶の歴史コーナーだけを丹念に見てみた。お茶の歴史も10数年前とはかなり状況が違っているはずで、やはりある程度新しい情報が反映されていた。最後に現代茶業に貢献した人々がイラストで紹介されていたが、その中心はやはり呉覚農だった。ここだけ見るのに1時間以上かかってしまう。


あとは、お茶の試飲をちょっとして、庭のようになっている敷地内を歩いていき、静けさの中を散歩する。これはこれでとても良い。ここは国家級博物館なので、さすがに展示内容も多く、敷地も広い。陸羽像もある。外には試験場のような茶畑もある。すぐ近所には龍井村もある。

ここからどうするかと悩んだが、車を呼んでも渋滞になるのなら、とバスに乗ってみた。市内は一律2元なので、現金で払ってみる。バスはそれほど混んでいなので座ってゆっくり行く。途中に岳王廟があったので降りてみたが、廟には寄らず、反対側の庭園に入り、散策する。西湖の周囲はさすがに見学に値する場所が多いので、そのままフラフラ歩いてみる。とてもいい風景が広がる。


また湖と反対側を歩くと杭州飯店がある。ここは38年前に泊まりたかったが、未だに泊まれていないホテル、シャングリラだ。この近くに有名はレストランがあったような気がする。100年以上前に開業した新新飯店(旅館)も建っている。更にはお寺の跡地がいくつかある。その中で少し奥に入ると瑪瑙寺と書かれた場所があり、観光客が入っていく。


ここには「連横記念館」との文字が見える。連横、どこかで聞いた名だと思い入ってみると、何と台湾歴史の展示館があるので驚く。同時に彼が「台湾通史」の作者であることも思い出す。この展示館、かなり詳細な台湾史の記述があり、日本統治時代についても書かれているので驚いた。そしてこの連横の子孫が連戦であり、ここにきた写真が飾られていた。庭園はキレイでなかなか雰囲気が良く、写真を撮るために入ってくる若者観光客が多いが、この微妙は雰囲気を感じることはないだろう。一本裏の道には歴史が溢れているように見えた。



そのままトボトボと歩いて行くと、湖から離れ繁華街に入った。何となく腹が減ったが観光客相手の店が多く、素通りしていく。随分宿の方まで戻ったあたりで、良さそうな食堂を見付けた。そこで「杭州の焼きそば」と頼んでみると、老板が「どっから来たんだ?」と聞くので「日本」と答えるとかなり驚いて、如何にも昔出くわしたおじさんの対応で自分の知っている日本を繰り出してきたので笑ってしまった。

焼きそばは牛肉が入っていてなかなか美味しい。味付けがちょっと日本人好みかな、と思う。老板はしきりにうちの看板は牛肉麺と言っていたが、スープ麺も美味しかったかもしれない。因みにうちは老舗だから、と何度か言っていたが、創業は2008年で老舗とは言い難い。いや、動きの速い中国で15年以上営業しているのなら、それはそれで素晴らしい。そのまま繁華街を抜けて宿まで帰り、疲れたのでゆっくりと休んだ。
